6月

30日

各種情報
 
 MERS 新規1例
  FluTrackers #840

 サウジアラビア保健省
  ジッダ、15歳男性、有症状、家庭隔離


Flawed Saudi Response Fueled Outbreak of MERS, Middle East Virus New York Times  (米国)  不完全なサウジアラビアの対応がMERS拡大を起こした

 ジッダでは院内でMERSウイルスが次々と患者に感染し、院内を恐怖に陥れた。

 何人かの医師やナースたちは患者の治療を拒否した。患者間ではパニックが起きた。

 「すべての人々は恐れていた」、とこの春のMERS感染者の増加について、医師のモハメド・アーメドは語っている。

 以下、ジッダの医療機関の不十分な感染対策が原因でMERS患者が増加したことなどを中心に、現在のサウジの対策状況をまとめている。

 多くのイスラム教徒はジッダ港から入国する(2~300万人)。
 ジッダでは多くの感染者が出た。
 続いて首都リヤドが続いた。
 そして聖都メッカでも多数でた。

 大巡礼は10月まで行われないが、多くのイスラム教徒はラマダン(聖なる月、絶食月)中にメッカを訪れる(7月)。しかしオフシーズンにはウイルスはすでにイラン、ヨルダン、そしてアルジェリアに広がった。

 

 サウジ当局はMERS対策が緊急を要することは知っているが、当局では現在感染拡大は制御されているとしている。
 しかしながら2013年末以来感染者数と死者数が3倍になった事実は、この超保守的な君主国がとってきた対策に大きな欠陥があったことを当局は認めざるを得ない。

 アブドゥラ国王は4月に保健大臣と大臣補を罷免した。
 国際的専門家たちは高官たちの入れ替えが、情報の透明性と国際的協力につながるが疑問視した。
 サウジアラビアには情報の公開という慣習はない、と専門家はコメントする。

 WHOの緊急委員会は今月、4月に始まった感染者の増加は収束しているとコメントしたが、”状況は未だ深刻である”とした。そして病院における集団発生の原因は、何が問題であったのかを詳細に調査しなければならないとした。

 「自分は我々は心配していないとは言ってないが、問題点はコントロールできる類いのものである」、とハナン・バルキー国立病院管理局長が語っている。
 「もしこれがエボラ出血熱であるならば、国王にこの王国を隔離する必要があると上申するだろう」、と同氏は語っている。

 SARSもMERSもコロナウイルスで発生する。両ウイルスともコウモリ由来と考えられ、それが他の動物に感染するようになり、そこから人に感染していると推定されている。
 SARSウイルスは森の中に生息するジャコウネコのような動物に感染していて、それを南中国では摂食することで感染した。
 一方、MERSはラクダに感染しているが、それは中東では一般市民の間でポピュラーな動物である。
 MERSは容易に(ラクダから)人に感染するようになっていると思われる。可能性からいうと生のミルクを介していると推定されているが、SARSほど容易に人人感染はしない。

 有力な仮説として、MERSは春に発生のピークがあるとし、その理由はその時期にラクダの子が生まれるからとしている。母ラクダは子ラクダのためにミルクを大量に産生する。その中にウイルスが含まれていると考えられている。
 人またはラクダに対するワクチン製造が可能になるまで、人はラクダに接触するのに十分注意すべきとされている。特に春は要注意とされる。

 それでも今年の大流行は医療機関における感染対策に重大な欠陥があったことが、ラクダ以上に理由としてあげられている。
 数百人の感染者の大部分が医療機関、透析機関、または他の保健施設などで感染し、その中には多くの医療担当者含まれている。

 以下略

 
29日

 特記すべき情報なし

 夏場に入ってMERSもH7N9も感染力を弱めているのかもしれない。
 7月のラマダンおよび10月のメッカ大巡礼でMERS感染者がそれほどでなければ、サウジアラビアでの感染拡大対策が成功を収めたといわれるかもしれない。
 ラクダからの1次感染がブロックされると、環境内、感染者からの2次感染が減少する。
 もっともウイルスが人のウイルスとして独り立ちしていなければの話であるが。その場合は人人感染の持続的感染リングが形成されている。

 中国のH7N9は鳥インフルエンザウイルスであるから、秋以降に感染力を強めると思われるが、ウイルスの増殖源(保有宿主)が明確でないだけ、明確な予測は難しい。
 中国南部からベトナム、バングラデシュ、インドネシアなどの生家きん市場のある地域への拡大が今警戒されている(先のNature論文:18日AFB日本語版で紹介)。

28日

 各種情報
 
 MERS
  新規報告なし

Saudi Arabia reports MERS case, weighs camel import ban CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) サウジアラビア、MERS新規例を報告;アフリカの角(ソマリア・ジブチ・エチオピア)付近からのラクダ輸入禁止を検討に

 サウジ保健省は本日1例のMERS患者を報告した。58歳男性の外人労働者でビシャ在住だった。現在ICUで治療を受けている。

 また保健省はロイター通信に、{アフリカの角}地域からのラクダの輸入禁止を検討していると伝えた。MERSコロナウイルスがラクダとともに輸入されてくる可能性を考えている。


27日

各種情報
 
 MERS
 
 サウジアラビア 1例  累積感染者数711人 、死者数292人
 保健省

 58歳男性、外国人労働者、ビーシャ、顕性感染、ICU管理、併病なし、


WHO fills in blanks on 113 MERS cases in Saudi Arabia  CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) WHO、サウジアラビアが追加した113MERS症例の内訳を確認

 6月3日にサウジ保健省がそれまで報告されてなかった113MERS症例を追加発表したが、内容に関しては明確にされてなかった。

 WHOはそれら113例の内容をチェックして報告した。
 それによると死者数が92例とされていたが、WHOによると34例であり、サウジの発表には以前に発病して死亡した例が多数含まれていた。
 またサウジが報告漏れしていた113例の多くは3月初旬以降の症例で、三分の一以上が医療担当者であった。

26日

各種情報
 
 MERS
  新規情報なし

 H5N1鳥インフルエンザ
  エジプト 新規例1人
   34歳男性、重体
   Egypt Independent

 コメント:エジプトで久しぶりにH5N1鳥インフルエンザ感染者が報告された。今年度3例目である。かっては感染者の多くは子供で、それも軽症であった。鶏の世話を行う主婦や若い娘たちも感染し、彼女たちは重症、または死亡していた。2012年頃から感染者は減少しているが、政治的混乱の中で感染者の把握と報告が十分なされていない可能性がないのか気になっていた。
 H5N1感染者の世界統計は香港保健省がよくまとめている。保健省ページ

Coronavirus on the wane, says Fakeih  Saudi Gazette  (サウジアラビア) サウジ保健大臣代理、コロナウイルス(感染者)は減少している

 ジッダで、政府の2010年に策定した”疾病対策と効果ある保健サービス提供”の10年計画に関して、初の会議が開かれ、保健大臣補はMERSは減少しているが、大巡礼を前に対策を強化していると語った。

25日

各種情報
 
 MERS
  FluTrackers  #837-#838
 
 サウジアラビア 2例、累積感染者数710人 、死者数292人
 保健省

  46歳男性、外国人労働者、リヤド、顕性感染、病棟隔離、
  57歳男性、サウジアラビア人、ジッダ、顕性感染、病棟隔離

  コメント:感染源は不明だが、散発的に感染者がでるのは不気味ではある。このようにMERS感染者が2012年春以前(ヨルダンの病院で集団発生が初めての報告となっている)にも、散発的にでも発生していたのか、サウジの疫学情報にはない。もし本当に発生していなかったとしたなら、感染源はラクダ等とサウジ当局やWHOは示唆しているが、2012年以降にウイルスは変異したか、それともどこかの星から隕石とともにやってきたとしか思えない。


Following advisory on virus, screening begins at airports  The Hindu (インド) MERSに対する情報提供に続き、空港でのスクリーニングが開始

People suffering from chronic diseases advised to postpone Haj, Umrah  Peninsula On-line (カタール) 慢性疾患を保有する人々は巡礼を延期するように忠告

Visitors from Middle East asked to declare health status at entry  Thanh Nien Dail (ベトナム) 中東からの入国者は健康状態を申告の必要

24日


各種情報
 
 MERS
  新規例なし


As Muslims prep for hajj, Israel confident MERS is no danger The Times of Israel (イスラエル) イスラム教徒がメッカ大巡礼の準備を始めているが、イスラエル政府はMERSは危険ではないと判断

 数百万人のイスラム教徒が大巡礼に向かうが、その中に数千人のイスラエル人とパレスティナ人が含まれている。

 サウジアラビア近隣のヨルダンやレバノンで感染者が出ているが、イスラエルでは未だ感染者は出ていない。
 この2年間、少数のMERS感染疑い者がイスラエルで見つかったが、検査ですべてウイルスは陰性だった。

 イスラエル保健省の公衆衛生局長官の説明。
 MERSはラクダとの接触または発病者との濃厚接触で感染する。
 動物との接触に注意し、発病者との濃厚接触を回避する限りMERSには感染しない。
 手洗いなどの衛生管理に十分気をつけることで、大巡礼でウイルスに感染し、それを母国に拡大させる危険性は非常に小さい。

Experts call for better clinical research on MERS  CIDRAP (米国) 専門家、MERSに関する臨床研究がさらに必要と

 3人のウイルス学専門家が、MERSに関してさらなる情報を得るために、多くの臨床研究が必要と訴えた。
 Lancet Infectious Diseasesの補遺集に論文が掲載された。

 少数の臨床研究しか行われていないため、ウイルスの感染臓器、ウイルスの増殖様式、ウイルスに対する自然および獲得免疫反応、そして感染者の遺伝的素因等が全く不明である。

 MERSの治療は、適切な抗ウイルス治療および免疫調節治療がなく、単に対症療法で経過を追うしかない。

 そうした中、現在最善の治療法は回復者の血漿輸注療法、または他の方法で得られたウイルス中和抗体を含む製剤の投与である、と論文著者たちはコメントしている。
 回復血漿を用いる方法には制限があるが、遺伝的に修飾された牛を用いて、モノクローナル抗体や免疫グロブリンを作製し利用することは、別なオプションとして可能性がある、とも著者たちは記述している。
 また、ラクダから得られる抗体を用いた治療方法も可能性の一つとして上がられている


MERS-CoV: Evaluating Patients and Managing Close Contacts  Medscape (米国) MERSコロナウイルス:患者の診断と接触者対応
 米国CDC暫定ガイドラインに沿った専門家の説明

Be on the Lookout for MERS-CoV Medscape (米国) MERSコロナウイルスに警戒の必要
 米国CDC専門家によるMERSの説明。

23日

 
各種情報
 
 MERS
 FluTrackers  #836

 サウジアラビア 1例  累積感染者数708人 、死者数291人
 保健省
 85歳男性、サウジアラビア人、ジッダ、顕性感染、病棟隔離

 コメント:感染者の発生は非常に少なくなっているが、ここまで散発的となると、感染源が少なくなっていることが推測される。現在の感染者はラクダ由来なのだろうか。

 H7N9
 FluTrackers #451

 中国浙江省
 マカオ新聞局 中国語
 51歳男性、台州市、市場販売員、家禽既往歴、6月2日発症、6月20日入院、危篤、
 
 コメント:浙江省としては、2月28日確認以来の新規例。しかしウイルスは家禽の間に存在していることは確かで、この秋以降に再び感染者が増加するかどうかが懸念される。現時点で市場の家きんのウイルス調査は行っているのだろうか。


22日
 
各種情報
 
 MERS
  FluTrackers 未記載

 サウジアラビア 1例
  保健省
  タブーク 57歳男性、ICU

21日


エディトリアル

 イラクを舞台としてイスラム教スンニ派過激集団と、イランの支援を背景とした現政権シーア派との間の戦闘が拡大してきた。そこに再び米国もからんでくる。現イラク政権を応援する可能性が高い日本も間接的にからんでくる。

 スンニ派が国教とされているサウジアラビアは過激集団と関わりを持つ。

 多分、今後、中東内外でイスラム教徒による紛争が拡大すると思われる。

 かってスペインインフルエンザが流行した際、起きていた第一次世界大戦の終結が、ソ連に向かっていたドイツ軍がインフルエンザにより多数の死者が出たことから早まったという事実がある。

 今後起きるであろう中東における戦乱が、MERS流行で早期に終結するという話はあり得る。

 イラクやシリアではMERS感染者や死者が出ていても、それを把握して発表するシステムは壊れているはずだ。

 決して突飛な話ではない。

各種情報
 
 MERS
  新規例なし

 スーダン、ポートスーダン市のMERS疑い流行病はデング熱であった-WHO報告から

 スーダンの紅海州で6月19日にデング熱発生が報告され、17日の段階が738人が確認され、6人の死亡が報告された。
 21人が州都ポートスーダンから報告されている。


20日

各種情報
 
 MERS
 FluTrackers  #834

 サウジ保健省
 サウジアラビア 1例  累積感染者数706人 、死者数290人
 45歳男性、外国人労働者、リヤド、顕性感染、病棟隔離


 バングラデシュのMERS事例は陰性:WHO
WHO: MERS report in Bangladesh looks like false alarm
CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) WHO:バングラデシュの報告しMERS症例は、詳細検査でウイルスは陰性らしいと判断

 地域のWHO協力研究機関に送られた検体でウイルスは陰性のようだと判断された。



19日


エディトリアル

 報道機関によるMERS発生情報に関して未確定なものがある。

 WHOによるとバングラデシュ人の男性のケースは、確定されたものではないようだ。
 同国保健省が報道機関に発表しているが、検査内容がいまいち確かなものではないようだ。
 WHOが確認して発表されるまでしばし時間を要するのかもしれない。

 スーダンのポートスーダンにおけるMERS様感染症の発生に関して、その後のフォロー記事がない。
 現場の確認と患者の検査が行われていないのか、それとも単なる噂程度のものだったのかは不明である。

 昨日、アブダビでインドネシア人がMERS感染が確認されたとの情報が、インドネシアの報道から出された。
 これは内容から間違いはないと思われるが、フォロー記事は本日の段階で見られてない。

 いずれにしてもフォロー記事がない限り、確かめようはない。

 他にイランでの感染例は間違いはないが、その後周辺で発生していないのか否かについては情報は出ていない。

 疫学情報が本当に役立つ局面は、ポジティブとネガティブ、両方の結果が示される時である。すなわちMERS発生地の確認と非発生地の確認である。
 イランでは3人以外感染者は出ていないというためには、他では出ていないというエビデンスが必要。
 シリアではどうか?感染者情報は得られてない。すなわち状況は分からない。
 イラクではどうか?状況は分からない。

 一方、日本を含む公衆衛生学的先進国では、感染症の監視は抜け目なく行われているので、MERSが出ても見逃される可能性は低いので、発生報告がないことは、発生していないと判断が可能となる。


 
 各種情報

 MERS
  FluTrackers  #833

 サウジアラビア  1例  累積感染者数705人 、死者数290人 
  保健省
  38歳女性、サウジアラビア人、リヤド、顕性感染、病棟隔離


18日

エディトリアル

 WHO緊急会議での結論は予期されたものであるが、この秋のメッカ大巡礼でのウイルス拡大が懸念されている。
 現在でもサウジアラビアから各国への輸出例が散発しており、それが秋の大巡礼で100万人以上の巡礼者が世界中からサウジアラビアに集まるのだから、当然ウイルスの拡大は起きえる。
 それまでサウジ当局とWHOはウイルスをサウジから一掃したいはずであるが、それは難しい。
 ウイルスを持ち帰る巡礼者が増えても、ウイルスが人人感染する能力が強くなければ、MERSがパンデミックを起こさないと推定可能ではある。
 巡礼者を送り出し、再び入国させる各国に十分なる対策と、巡礼者に対する十分なる情報提供を求めている。

 また人の主要なウイルス感染源がラクダである可能性もWHOは強調しだしているが、それはMERS感染の根源を断ち切ることが可能であることを示唆している。しかし、ウイルスが人の間で感染リングを形成し、人を感染宿主とする前に成功させる必要がある。でも非常に難しいはずである。
 サウジアラビア当局がラクダとの接触、生肉、生ミルクの摂食をやめるように警告しているが、特に生ミルクを飲料とすることは長い間の習慣となっていることから、その啓発は困難である。

 MERSはいつから人の間で発生しているのか?
 それは本当にラクダからウイルス感染しだしたせいなのか?
  未だ未定である。

 各種情報

 MERS

 サウジアラビア 新規例なし

 アブダビ(アラブ首長国連邦) 1例発生、インドネシアからの巡礼者
  AntraNews(インドネシア)

 H5N1鳥インフルエンザ

 インドネシア ジャカルタの33歳男性がH5N1鳥インフルエンザで先月死亡。本年2例目の死亡者
 Jakarta `Post



 主要情報

 WHO緊急会議、MERSは未だ世界的緊急事態にはなっていないが、メッカ大巡礼でのウイルス拡大が懸念と結論

WHO panel still sees no MERS emergency CIDRAP (ミネソタ大学感染症情報センター) WHO緊急委員会、未だMERSは緊急事態に至ってないと評価

 WHO緊急委員会は、MERSは国際的に大変憂慮すべき状態ではあるが、未だ緊急事態とまではいえないと結論を出した。

 またWHOは6月15日に発表されたバングラデシュの事例は未だ確定されたものではないとし、検査が続行中であることを発表した。

MERS Virus News Update: WHO Worried About Disease Spread With Upcoming ... University Herald  (米国) MERSウイルス情報更新:WHO、メッカ大巡礼でのウイルス拡大を懸念

 4月に増加したサウジアラビアのMERSは現在減少している。MERSは未だ世界的緊急事態には至ってない。しかし10月に開かれるメッカ大巡礼でウイルスが拡大する可能性がある。

MERS Cases In Decline, But Outbreak Could Spread With Annual Hajj ...  Headlines & Global News  (米国) MERSは減少しているが、メッカ大巡礼で拡大する可能性がある:WHO


MERS Outbreak Could Spread With Annual Pilgrimage: Officials  NBCNews.com  (米国) MERSはメッカ大巡礼で拡大する可能性がある:WHO

 謎のMERS流行は未だ世界的緊急事態には至ってないが、この10月に開催されるメッカ大巡礼(Hajj )はウイルスが拡大する機会となり得ると、WHOは17日に発表した。

 以下略。

WHO says MERS virus of concern before haj, surge abating  Reuters (国際) WHO緊急会議:MERSは減少しているが、メッカ大巡礼を控えて対策の強化が必要

 17日WHOはMERS緊急会議を開いたが、MERSは未だ重大な公衆衛生上の感染症として継続していて、特にメッカ大巡礼を前に重大な関心が持たれているが、最近は感染者数が減ってきているとコメントした。

 MERSはサウジアラビア周辺国に広がり、少数ではあるがヨーロッパ、アジア、及び米国にも拡大している。少なくとも世界中で315人が死亡している。

 緊急会議終了後に発表した声明文では、4月に始まったサウジアラビアの感染者数の増加は、現在減少していて、また社会における継続的人人感染が起きている事実はないとし、委員会は全員一致でMERSは世界的公衆衛生上の緊急事態には達してないと結論した。
 以下略。

WHO statement on the Sixth Meeting of the IHR Emergency Committee concerning MERS-CoV WHO声明 2014年6月17日 

 MERSに関する第6回目の緊急会議がテレカンファレンスで6月16日に行われた。

 結論として前回と同じくMERSは、未だ国際的公衆衛生緊急事態には至ってないとされた。

 医療機関における診断の正確性と検査の実施の重要性などが強調。
 またラクダから人が感染している可能性が高いことも記述されている。


 他情報

シンガポール大使館からのMERS情報--間違った内容を含むことに注意
 6月14日情報とされている
 シンガポール保健省の情報として以下の内容を引用しているが、事実ではない。

 ”1.発生状況
シンガポールにおいてMERS の発生は確認されていない。
シンガポールと隣接するマレーシアのジョホール州では、メッカ巡礼から帰国
した54歳の男性が本年4月13 日にMERS により死亡したという事案が発生して
おり、また、当男性と同地区に住む多数の人にMERS の症状が出ている。”

 男性から周辺に感染が広がったという事実はない。

 大使館情報PDFファイル



 H7N9型鳥インフル、さらにアジア5か国に発生リスク  AFPBB News (AFP日本語版)

 {【6月18日 AFP】2013年3月の発生以来、約100人の死者を出しているH7N9型鳥インフルエンザが、中国に続いてアジアの5か国で発生する恐れがあるとした研究論文が17日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。

 ベルギー・ブリュッセル自由大学(Free University of Brussels)などの国際研究チームによると、バングラデシュ、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナムの5か国の一部地域では、生きた鳥を扱う市場が人口密集地に存在するため、中国と同様に鳥インフルエンザ発生の危険性があるという。

 感染の危険が高い地域として挙げられているのは、H7N9型の発生がまだ報告されていない中国東部・南東部の沿岸都市の中心部、バングラデシュとインドのベンガル(Bengal)地方の一部地域、ベトナムの紅河デルタ(Red River Delta)とメコンデルタ(Mekong Delta)、インドネシアとフィリピンの隔絶した地域など。

 論文には、H7N9型が突発的に発生する恐れのある地域を監視機関が特定できるようにするために作られた地図が掲載されている。

 H7N9型はH5N1型に続き、近年に生鳥市場を介して発生した2番目の鳥ウイルス。生鳥市場は、販売業者や買い物客が感染したニワトリやアヒルに接触する場となっている。

 H5N1型はH7N9型に比べて、人間に対する危険度ははるかに高いが、感染した家禽(かきん)類は通常その兆候を示すため、鳥を介した拡散は容易に検知できる。一方でH7N9型は、鳥に疾病の兆候が現れない場合がある。

「中国の中部と南部で報告されているH7N9型の感染がゆっくりと地域を拡大していることは、著しく厳重な管理の取り組みがなされているにもかかわらず、家禽市場のネットワークに沿ってH7N9型を封じ込めるのは困難であることを示している」と論文は警告している。

 H7N9型は「これまでに報告されている人間の症例によって示される分布を超えて拡散する可能性がある」という。

 今回の研究は、ブリュッセル自由大の他、ケニア・国際家畜研究所(International Livestock Research Institute、ILRI)、英オックスフォード大学(Oxford University)、中国疾病予防抑制センター(Chinese Centre for Disease Control and Prevention)の科学者らが主導した。

 研究チームは、鶏肉の生産が盛んな中国北東部の調査で得られた証拠から判断して、大規模な養鶏場が同地域でのH7N9拡散において重要な役割を果たした可能性は低いと指摘している。

 このことは、家禽類が野生の鳥と接触する可能性が高い小規模の飼育場と、地方市場での感染した家禽類の取引が、H7N9ウイルス拡散の重大な経路になっているとするこれまでの研究を裏付けている。(c)AFP}

 韓国でH5N8鳥インフルエンザが農場で発生している。情報はメニューの国内情報で


17日


エディトリアル

 サウジアラビアで多くのMERS感染者を出してきたジッダ市の紅海を挟んだ対面にあるポートスーダン市。
 MERSを思わせる感染症が発生しているとの報道。
 現在、AllAfrica.comからの情報のみとなっている。
 もしMERSであっても市中での感染はなく、70名前後と伝えられる感染者が院内感染であれば、サウジやUAEの二の舞といえる。それにしても数が多い。早く次の情報が欲しいところである。

 Dubai Chronicle はよくまとまった論説を掲載している。
 管理人が先に書いたように、UAEが最近国内の医療機関にMERSはいないとしていたが、実は検査すると感染者が見つかっているとコメントしている。Dubai(ドバイ)もUAE連邦の一国である。
 さらにそのドバイの空港で乗り継ぎの航空便を待っていたバングラデシュの男性も感染している。ウイルスはどこにいるか分からない状況である。
 他にもイラン、アルジェリア等でもサウジの巡礼帰りの人々が発症している。

 MERSコロナウイルスの存在の診断は難しいことが多い。喀痰での検査が推奨されているが、果たしてどの程度喀痰で検査を行っているか疑問であるが、一般の市民を対象の疫学を目的とした検査では、せいぜい咽頭スワブを検体としたPCR検査までと考えられる。

 昨年に比較してサウジ以外で見つかる感染者の数は多くなっているが、それが検査の徹底によるものなのか、それともウイルスが感染しやすくなっているせいなのかは分からない。しかしWHOは前者の見方をしているようだ。
 急性の重症呼吸器感染症(Acute severe respiratory infection)、および原因不明の肺炎は徹底的にMERSも疑って検査するように何度も通達をウエブから出している。
 

各種情報

 MERS
  FluTrackers #832

 サウジアラビア 1例 累積感染者数704人 、死者数289人
 保健省

 H7N9鳥インフルエンザ

 広東省1人
 広東省衛生計画出産委員会

 42歳男性、江門市、6月9日確認、死亡



 MERSウイルス、多くの国に広がり始めた

MERS Virus Spreads among Countries Dubai Chronicle  (アラブ首長国連邦、ドバイ) MERSウイルス、多くの国に広がる

 サウジアラビアが断食月の巡礼を受け入れているなか、新しいMERS感染者がいくつかの国に広がっている。

 2012年9月に初めて検出されて以来、MERSはサウジアアラビアで最も多く報告されている。最近、402人の感染者の半数近くが死亡している。WHOは6月16日、世界的に感染者は701人となり249人が死亡したと発表した。

 本年4月11日から6月9日まで、サウジアラビアはWHOに515例の感染者(402例が検査室診断、113例が他の方法)を報告している。32人はメディナ、132人は首都リヤド、208人はメッカ州である。死者数は114人とされるが、さらに38人の死者が16日に報告された。

 アラブ首長国連邦(UAE)は先に国内の医療機関で治療中のMERS患者はいないと発表したが、6月4日、36歳のアブダビの”と殺場”で働く男性が感染していることが確認された。
 他の感染例とは異なり、男性は旅行歴はなく、また発病者との接触歴もない。しかし羊やラクダの”と殺場”で働いていた。
 一方、イランも感染者を確認した。これは同国で2例目の確認であり、看護助手をしていた35歳女性である(訳者注:3例目の感染者である。1及び2例目の患者の看護をしていた)。

 6月14日、アルジェリアも初のMERS感染者を報告した。
 感染者は2例で、66歳と59歳の男性でサウジアラビアに巡礼に出かけて帰国した。帰国後に入院治療を受けているが、1人は死亡した。

 さらに15日、バングラデシュはMERS感染者を確認したが、22番目のMERS感染者確認国となった。患者は53歳のバングラデシュ生まれの男性で米国在住者である。
 同国保健省によると、男性はアブダビ経由で米国からバングラデシュに帰国する間に感染したと推定されている。アブダビの空港と機内で各3時間滞在および滞空した。

 致死的MERSウイルスはいくつかの国々を越えて拡大しつつある;サウジアラビア、UAE、カタール、エジプト、レバノン、イラン、オランダ、バングラデシュ、ドイツ、英国、米国、他。


 スーダンでMERS流行か?
   
サウジのジッダと対面するポートスーダン

Port Sudan Hit by Unknown Virus, MERS Suspected  AllAfrica.com  (国際) スーダンで不明ウイルス流行、MERS疑い

 スーダンの紅海に面するポートスーダンで不明ウイルスが流行し、1名が死亡し、70名が発病したと連邦保健省疫学局のHayat Salaheldin長官が15日発表した。
 関係者によるとMERSが疑われており、15日に医療チームがポートスーダンに到着する予定となっている。

 ポートスーダンは紅海に面した大都市であるが、対面のサウジのジッダ市との間での交通の重要な拠点となっている。
 


 コメント:現時点では詳細は分からない。もしMERSコロナウイルスが確認された場合、新たなMERSの展開となる。MERS感染者が多数でていたサウジアラビアのジッダ市と紅海を挟んで対面しており、多数の人々の行き来がある。




16日

管理人エディトリアル

 アラブ首長国連邦(UAE)では5月上旬以降MERS感染者の報告はなかった。アブダビの院内感染などが終結して以降、連邦保健省は連邦内にはMERS感染者はいないと発表していた。またWHOも同連邦保健省の提出したデータを調べて、感染者発生原因は医療機関での感染予防対策の不備が原因と結論し、また同時にUAE側の提出したデータの内容に満足の意を表していた。

 しかし6月13日に”と殺場(山羊とラクダ)”作業員の喀痰検査でウイルスが検出されたと発表している。これはややショッキングなニュースであるが、理由は無症状の”と殺場”作業員が無症候性感染を起こしていた事実、またそうした例が検査をされなければ、医療機関を受診するような有症状になっていない限り、それも重症化しない限り分からない可能性があるということである。
 UAEは連邦内に感染者はいないとつい一週間ほど前に報道機関に発表していた。それは多分、連邦内の医療機関にMERS患者はいないという意味のようだった。
 そして昨日、バングラデシュ人男性が米国からUAEに属するアブダビ経由で帰国して数日後にMERSを発症してICUに収容されている。
 詳細は未だ明らかになってないが、各報道によるとアブダビで航空便を待っている間に感染した疑いがもたれている。

 要するにUAE内にはウイルスが存在し、それがどのような形で存在しているのか分からないということである。
 多分、サウジアラビアも同じかもしれない。

 怖いのはMERSコロナウイルスが中東を離れて世界各地に一人旅を始めることである。

各種情報

 MERS

  サウジアラビア 新規例なし

15日


管理人エディトリアル

 WHOがMERS情報を定期的に更新しているが、世界の公的機関であるから内容は正しいと思う。
 しかし、よく見ていると非常に曖昧な内容も多いことと、調査に入れない、または情報を発信してない国に関しては、感染者数がゼロではなく不明とした方が正しいと思う。

 イランで感染者が発生して、さらに医療担当者も感染している。
 最初の感染者はサウジへの巡礼者であるが、今回の事例がイランで初めてであるのかは不明だ。
 また同様のことはイラクでは起きていないとはいえない。情報がないだけである。
 シリアも然り。

 またWHO情報を見ていると、すごく曖昧に記事を書いていることが多い。これは担当者が複数以上いるのかもしれないが、決して論理的記述ばかりではない。

 イランでの感染者の確定は、咽頭スワブでの検査結果となっている。一方、アラブ首長国連邦(UAE)で最近見つかった”と殺場”従業員の例は、喀痰を検体として用いている。
 UAEの場合は”と殺場”従業員の検査を定期的に行い始めたようだ。検体に喀痰を用いるのは正しいことで、より正確な結果が得られる。

 昨年WHOはMERSのPCR検査は、可能な限り下部気道分泌物、すなわち喀痰や気管支の奥からの吸引物を用いるように指導している。
 咽頭スワブでは陰性のことが多い。すなわちMERSウイルスは上部気道ではあまり増殖しないことから、感染の有無を確かめるには喀痰検査が勧められるということになっている。
 咽頭スワブ検査は容易である。鼻腔の奥まで綿棒を入れてそこの分泌物を採取すればいい。インフルエンザ検査で通常行われている方法である。

 イランでの感染者は咽頭スワブで確定されている。
 それで陽性であったから診断がついているが、陰性であったなら喀痰検査を行ったのだろうか。疑問が残る。
 イランでの患者周辺の検査は何を検体として行われているのだろうか?
 WHOはそれを気にしているんだろうか?

 喀痰採取は面倒だし、咳があまりないと喀痰は得られにくい。
 
 昨年(2013年)6月27日、WHOは以下の内容のMERS検査のガイドラインを発表している。
 {感染疑い者の鼻咽頭分泌物からのウイルス検出率は低い。
 疑い者の確定診断には下部気道分泌物で行う必要がある。
 潜伏期間は通常1週間以内であるが、時には最長1から2週間の可能性もある。}

  WHO PDF

 サウジアラビアも含めて、このように下部気道からの検体を診断に用いるように、WHOが強力に指導しているかが、管理人には疑わしく思える。
 

 本日夜、バングラデシュで初のMERS感染者が確認されたとの情報が入った。
 2週間前に入国した男性で、ニューヨークから帰国する際に航空便を乗り換えたアブダビ空港で感染したと推定されている。
 患者の状態に関する詳細は発表されてない。

 それにしても発表が遅すぎる。
 WHOに国際保健規則に従って報告したとされるが、空港では中東からの入国者をチェックしていなかったとし、1~2日以内にチェック体制を整えるとしている。
 周辺へのウイルス拡大調査はきちんと行われているのだろうか?心配だ。

各種情報

  MERS  
   FluTrackers #830-831

 サウジアラビア 1例  累積感染者数703人 、死者数289人
  保健省
 58歳男性、リヤド、外国人労働者、顕性感染、病状安定、

 バングラデシュ 1例
  保健省発表 53歳男性、アブダビ空港で感染、ICU収容


主要情報

 バングラデシュで初のMERS感染者、アブダビ経由で米国から帰国

Bangladesh reports first case of Mers virus  gulfnews.com  (アラブ首長国連邦) バングラデシュ、初のMERSを報告
 AFP

 15日、バングラデシュは初のMERS感染者を報告した。バングラデシュ生まれで現在米国に居住している53歳男性である。沿岸地域を経由して母国に到着した数日後に入院した。

 未だICUに入院しているが、当局によると状態は改善してきているという。

 疫学疾病制御研究所のラーマン長官によると、男性は6月4日に帰国し、2日後に発症したという。いくつかの検査を行い、昨日MERSコロナウイルスに感染していることが確認されたと説明している。
 
 バングラデシュで初の感染例であるが、発生国としては世界で22番目になると同長官はコメントしている。


MERS detected first time in Bangladesh  The Daily Star  (バングラデシュ) バングラデシュで初のMERS感染者が確認

 52歳の海外居住者であるバングラデシュ人の男性が2週間前に、アブダビ経由でニューヨークからダッカに着いたが、当局は男性がバングラデシュ初のMERSに感染していることを確認した。

 空港では中東からの入国者のチェックは行っていなかったが、1~2日以内にチェック体制を整えるとしている。


Bangladesh reports first case of MERS infection Reuters (国際) バングラデシュで初のMERS感染者が確認

 53歳男性が米国からアブダビ経由でバングラデシュに帰国。MERSを発症。
 疫学疾病制御および研究センター付属病院に入院。

 当局ではアラブ首長国連邦のアブダビで航空便を乗り換えた際にウイルス感染を受けたと推定している。


 コメント:アブダビ空港で乗り換えした際にMERSウイルス感染したとしたなら、アブダビでは最近感染報告はないとしているが、ウイルスは結構存在している可能性がある。


 他情報

MERS-CoV likely to enter Vietnam VietNamNet Bridge (ベトナム) ベトナム当局、MERSコロナウイルスがベトナム国内に入ってくる可能性が高い

 空港などでの旅行客に対する啓発を強化。


14日


管理人エディトリアル

 MERSはイランでの院内感染を起こしているが、10年前のSARSに比較して似ている点と、大きく相違している点が明らかになっている。

 MERSは診断されている感染者中、死亡者の数は3割前後である。しかし院内感染を受けた医療担当者の重症者は意外と少ない。もちろん重症で死亡した事例はサウジのジッダの病院や2012年春に発生したヨルダンの院内集団感染がある(当時はMERSウイルスは知られてなかった)。

 一方SARSでの院内感染での医療担当者の多くは重症化し、死者数も多かった。しかし全体での致死率は10%程度だった。->SARS統計

 一方最近のMERSの医療担当者感染は決して少なくないが、多くは不顕性感染か軽症である。

 SARS、致死率10%、感染医療担当者の重症&死亡率は高い
 MERS、致死率30%、感染医療担当者の重症&死亡率は低い

 上記の数値は何を意味しているのだろうか?

 SARSは検査診断ができなかったことから、感染者数は状況からの推定値(可能性例)であった。すなわち感染地域からの帰国者で急性呼吸器感染症状があった例。
 感染者数は世界で8000人といわれたが、実は正確な数値は不明である。米国でも多数可能性例は報告されていたが、死亡例は出ていない。先進国ではカナダを除き発症数は少なかったが、死亡例はゼロだった。->SARS統計  死亡例は中国、香港、台湾、ベトナム(死亡率は非常に少なかった)、シンガポールなどで多かった。
 ちなみに日本ではWHOの定義からすると50人以上の可能性例が出ていたようであるが、死亡例はなく、また国内の委員会で検討して、SARS感染者はいないとされ、WHOに報告されてない。
 これらの事実は何を意味しているかというと、先進国でのSARS感染者(可能性例)の多くは、SARSウイルス感染者ではなかった可能性である。中国でもSARS可能性例は多く出ているが、それらは検査による確定例ではない。
 実際にはウイルス感染してなかった例も多く含んだSARSの致死率は過小評価されていて、実際は多分10%以上であり、カナダ、トロントの17%という値に近いと考えられる。

 一方、MERSは検査室診断でウイルス感染が確かめられた症例だけの統計となっている。報告されている感染者は間違いなくウイルス感染していると考えられるが、MERSの場合は無症状者および軽症者が多いため、医療機関で検査をうけていない感染者が非常に多い可能性がある。
 勝手な推測をすれば、MERSコロナウイルス感染者数は現在の数倍以上、5000人以上存在していると管理人は思っている。死者数も実際は多少多いと思われれるが(重症例は検査を受けている率が高い)、致死率は10%以下で、もしかしたら2%前後(スペイン風邪と類似)と推定している。
 MERSには軽症者が多いのは、ウイルスが未だ十分人に感染するように変異し切れてないことが理由かもしれないし、このままの状態で消えてゆく(SARSウイルスのように)のかもしれない。しかしそれは神のみぞしることであり、数年後に明確になることでもある。

 なお本日発表されたWHOによる最近のMERS分析であるが、医療担当者の感染が全体の25%を超えていること(因みにSARSは21%とされている)、しかし二次感染者の症状が軽く、そこからさらに感染者が出ていないこと及び海外への感染輸出例が発生国で周辺に感染を起こしていないことから、MERSコロナウイルスの人への感染力は未だ弱く、国際的緊急状況とはいえないとしている。

 このWHOの意見は、当ウエブで管理人がこれまで判断してきたこととほぼ同じであるが、イランでの巡礼帰りの発病者->イラン在住の姉妹->病院の看護助手という水平感染は、十分な情報をイランから得なければ安心はできない。
 最初の感染者である巡礼者が、他にも感染者を増やしていないのか気になるが、WHOでは触れていない。SARSの場合は、こうした感染者から感染が広がっていた。


各種情報

  MERS  新規発生報告なし


 主要情報

 25%以上の感染者が医療担当者、しかし3次感染は起きていない:WHO

Over 25% of recent Saudi MERS patients were health workers  CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) 最近のサウジでのMERS感染者は医療担当者が25%以上を占めている

 WHOが本日最近2ヶ月間のサウジから報告されたMERS感染者402人に関していくつかの新規情報を発表した。
 発表によると患者の四分の一以上が医療担当者で、その半数以上が軽症か無症状であった。

 MERSは4月と5月に感染者数は急増したが、WHOによると最近の感染の仕方は従来と同じであるとし、そのことから6月16日に開かれる予定のWHO緊急会議でMERSが国際的公衆衛生上の緊急事態であると宣言される可能性は低いと考えられる。
 
 感染様式が以前と異なっていないとする理由は、二次感染者は軽症であり、そこからさらにウイルス感染が出ていないことをあげている。また感染輸出例においても、発病国で二次感染が起きていないことも理由に上げている。(感染リングが形成されていない:訳者注)。

 またWHOはラクダが人へのウイルス感染源である可能性が高いとし、ラクダとの接触、その未調理の産物の摂取へ注意を促している。

 他略

 WHO、MERS情報更新
  
  Globally, 697 laboratory-confirmed cases of infection with MERS-CoV including at least 210 related deaths have officially been reported to WHO.
   WHOへ報告されている世界の公式感染者数は697人、死者数は210人となっている。(致死率30%)。

MERS:ウイルス発見の医師「直後に解雇」 サウジ  毎日新聞

 {◇「封じ込めには世界的な協力が必要だ」 保健省の圧力疑問視

 【カイロ秋山信一】サウジアラビアを中心に世界各地への感染拡大が懸念されている中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスを2012年に最初に確認したエジプト人ウイルス専門医、アリ・ムハンマド・ザキ医師(60)が毎日新聞のインタビューに応じた。ザキ医師は「封じ込めには世界的な協力が必要だ」と強調。MERS確認直後にサウジアラビア保健省の圧力で病院を解雇されたことを明らかにし、サウジ政府の感染症対策に関する姿勢に疑問を呈した。

 ザキ医師はサウジ西部ジッダの私立病院で1994年からウイルス専門医として勤務していた。2012年6月に高熱や肺炎の症状があるサウジ人男性(当時60歳)を診察。男性は腎不全も併発し、入院から11日後に死亡した。ザキ医師は男性の痰(たん)から新種とみられるコロナウイルスを検出。確認のため、サウジ保健省とオランダの研究機関に検体を送った。

 オランダの研究機関の検証で、新種だと確認されたため、ザキ医師は12年9月に世界共通の感染症情報ネットワーク「ProMED」を通じて報告した。同様の症状の患者を診察していた英国の病院から問い合わせがあり、MERS感染が確認されるなど、感染の実態調査にも寄与した。

 だが報告から4日後、サウジ保健省は、ザキ医師が無許可で検体を海外に送ったことを問題視し、病院への監査を開始。ザキ医師は「検体を海外に送るのに保健省の許可は不要だ」と反論したが、数日後に病院から解雇を通告された。病院からは「保健省の意向に沿った判断」との趣旨の説明があったという。

 ザキ医師は「不当な行為は何もしていない。保健省には問題を海外に広げたと捉えて、快く思わない人たちがいたようだ。サウジに残っていれば、感染源の確認などの研究を継続できたはずだ」と話した。

 毎日新聞は5月下旬、ザキ医師の解雇の経緯やMERSへの対応についてサウジ保健省に文書で問い合わせたが、今月12日までに回答がなかった。元勤務先の病院も取材に応じなかった。

 世界保健機関(WHO)は世界中からサウジを訪れるイスラム教徒の巡礼者らにも注意を呼びかけている

 コメント:ザキ医師に関しては当初から国際的に知られていたが、ウイルスをなぜオランダの研究室に運んだのか?通常はWHOを介する。結果的にウイルス診断キット作製特許をオランダの研究室が最初に申請し、その後いろいろとトラブルが起きていた。この記事の内容は必ずしも全体像を把握しているとは思えない。
 単なるウイルス専門医が新種と見られるウイルスを検出とあるが、これは常識外のことである。新種ウイルスを検出するには、単なる医療機関では不可能である。

 管理人はザキ医師(確かエジプトの大学で教授をしていると思ったが)が、非常に勘の良い医師で、患者の臨床像から新種のウイルスを推定し、検体(呼吸器分泌物)をオランダの医学センターに送ったか、または新種ウイルスで患者が発生することを予知していて、発生を確認できたことから、確認のため、検体をオランダの医学センターの下に送った可能性もあると考えている(人感染可能なMERSコロナウイルスの人為的作製説)。



13日


管理人エディトリアル

 イラクではイスラム過激派が勢力を盛り返し、イラク全土を手中に収める勢いである。

 この過激派はラマダンや大巡礼はどうするのだろうか。

 こういう状況ではMERSが広がっても誰も気にかけないかもしれない。
 感染症による数十人の死者が出ても、戦闘による数百人の死者の方に目が向けられるだろうし、感染者が出ても医療機関は機能しないかもしれない。

 戦場での公衆衛生は無力である。

 しかしウイルスが拡大し始めると、国境を越えてそれはいとも簡単にパンデミックとなう。

 管理人はシリアも気になっている。
 多くの難民が集まっているが、MERSが出始めると大変だ。

 少なくとも国境なき医師団の報告には見られてないが、インフルエンザ様症状の人が若干いて、肺炎様症状で死亡しても、それが周辺に短期間で拡大しない限り分からない可能性がある。要するにウイルス変異が起きてこない限り分からないということからもしれない。

各種情報

  MERS
   FluTrackers  #827-829

  サウジアラビア  1例  累積感染者数702人 、死者数287人 、
   保健省
   33歳男性、クンファサ(Qunfutha)、不顕性感染、家庭隔離、

  イラン 1名 FluTrackers  #827  WHOからのメール報告 
   35歳女性、看護助手、先に発症した姉妹#683&684の看護で密接接触、家庭隔離

  アラブ首長国連邦 1名 FluTrackers  #828 WHOからのメール報告
   33歳男性、”と殺場(羊とラクダ)”従業員、5月20日検査で感染が確認、隔離、周辺での発症者はなし

 コメント:
 サウジでの発生例は従来報告のない場所であるがメッカ(Makkah)近くである。

 散発的に新規地域で見つかっているのは妙でもある。感染源はラクダ関連なのか、人からなのかが不明。

 イランでの院内感染はナース1名だけなのかは不明
 UAEでのと殺場従業員は、スクリーニング検査で見つかったようだ。
     


 主要情報

 イランでナースがMERS患者から感染

  WHOからのメディアへのメールによる情報発信

 35歳看護助手。2014年5月26日に発症。28日に湿性咳がひどくなり、同時に26日に採取した咽頭スワブでMERSコロナウイルス陽性であることが確認された。
 患者は自宅での自己隔離が指示された。
 当看護助手は2014年5月26日にWHOにイランから報告された同国初のMERS患者と密接に接触していた。
 同助手は動物との接触や生のラクダ産物摂食の既往はない。
 6月3日段階で女性は無症状となっている。

 コメント:患者が入院していた病院で集団発生が起きていなければ良いが…。


 他情報

How Saudi Arabia Let the Deadly MERS Virus Spread Newsweek  (米国) サウジアラビアが致死的MERSウイルスを拡大させた理由

 完全に感染者と死者を把握できていなかった理由

Saudi official says labs failed to report MERS cases CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) サウジ当局、MERS検査結果が報告されてなかった

 検査機関と病院との間の密接な連携不足が、MERS感染者数の過小判断につながった。

Alert activated in the wake of MERS threat Hong Kong Standard  (香港) 香港、MERS警戒を発令

 2012年度に策定されたインフルエンザ計画の警戒レベル:Alert(警戒)、Serious(深刻)、Emergency(緊急)。

 新規に策定されたMERS行動計画に基づいて警戒態勢がとられる。

Bird flu threat has eased, says health chief  South China Morning Post  (香港) 香港、H7N9鳥インフルエンザ脅威が緩和したことから、警戒レベルを第3レベルの”警戒”レベルに引き下げ

 香港はこれまで10例のH7N9感染者を確認したがすべて本土からの輸入例であった。
 最後に確認されたのは本年(2014年)4月13日であることから、警戒レベルを”深刻”から”警戒”に引き下げた。
 第一段階 警戒、第二段階 深刻、第三段階 緊急



12日


管理人エディトリアル

 ウイルスはサウジからイランへ拡大の可能性

 イランで2姉妹がMERSを発病したが、感染源は発病者との接触と考えられている。

 WHOに報告された情報によると、52歳の姉は、巡礼帰りの女性と接触があり、その女性はインフルエンザ様症状があったとされる。この女性はMERSを発病していたと考えるのが妥当である。
 52歳の姉がこの女性からウイルス感染を受けたことはほぼ間違いないが、50歳の妹も同時期(5月11日)に発症しているようなので、もしかすると姉が感染した女性との接触が妹にもあり、それが妹の発病の原因とも考えられる。しかし、妹が巡礼帰りの女性と接触したとの記載は、WHOへのイランからの報告にはないようだ。
 可能性から考えると50歳の妹は姉の看病の過程でウイルス感染を受けたかもしれない。
 もしそうだとするならウイルスは3人の個体を経由したと考えられる。
 要するに少なくとも3人の個体で水平感染を起こした可能性がある。
 最初の巡礼帰りの感染者が、サウジアラビアで人から感染していたとしたなら、ウイルスは少なくとも4人の個体を経由したとも考えられる。
 人の間を経由する過程でウイルスは変異してゆく。
 今回のイランの女性から分離されたウイルス遺伝子はまだ分析されてないのだろうか? 

 一方気になるのは姉にウイルス感染させた巡礼帰りの女性である。この女性に関して追跡調査がされなかったのかもしれないが、その後どのような経過を辿ったのか、その周辺から感染者が出ていないのかなど、WHO情報では一切触れてない。多分イランから情報が得られてないのだろう。

 もし上記女性の周辺から感染者が多数出ていて、そこから感染リングができていたとしななら事態の評価は変わる、


 各種情報

  MERS
   FluTrackers  #826


  サウジアラビア  1例  累積感染者数701人 、死者数287人 、
  保健省

  36歳男性、外国人労働者、バーハ、病状安定
  
   

        メッカ(Makkah)に近い。この周辺にはMERS感染者が多い。


 主要情報

WHO、MERS情報更新イランで人人感染で2発病例
  、国内で人人感染が広がっている危険性が示唆

WHO confirms MERS in Iran as Kuwait finds virus in camels CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) WHO、イランでのMERS感染者を確認;クエートでラクダからMERSウイルスを分離

 WHOは本日イランでの2MERS感染例を確認した。
 
 他のメディアによるとクエートで5匹のラクダからMERSウイルスが分離されたという。

 イランでのMERS発症姉妹は生存中であるとWHOは発表している。先に一部のメディアが姉が死亡したとの情報を出していた。

 これら2例の感染者により、WHO統計では感染者数が683人で死者が204人となった。

 一方、クエート国営通信は昨日、クエートの農業省が5匹のラクダからMERSコロナウイルスを分離したと発表したと報じた。
 もしこれが事実なら、クエートはラクダからウイルスを分離した5番目の国となる;これまでラクダからウイルスが分離された国は、カタール、オマン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)。


MERSコロナウイルス;情報更新 WHO

 2014年5月26日、イラン政府は検査で確認された2MERS感染例をWHOに報告した。
 2症例は姉妹である。

 以下のような詳細報告がWHOになされた。

 ・52歳女性。5月11日に発症。同日入院。現在女性は危篤状態(メディアでは5月下旬に死亡とされていたが、WHOは生存としている)。
  患者は基礎的疾患を保有していた。
  最近の国外への旅行歴はなかったが、サウジアラビアから巡礼で戻ってきてインフルエンザ様症状を呈していた女性との接触があった。
 患者は発病14日以内に動物との接触および生のラクダ産物の摂食既往はなかった。


 ・50歳女性。11日に発病。17日に入院。現在状態は安定。基礎的疾患を保有している。
  患者には国外旅行歴はない。患者は上記の52歳の姉と濃厚接触していた。発病前14日間、動物との接触既往はなく、また生のラクダ産物の摂食既往もない。

 現在上記2患者の周辺の調査が行われている。また2人が入院した病院での感染防御対策が強化された。
 関連ある情報が患者の親戚、空港職員、巡礼や旅行からの帰国者に伝えられている。

 WHOからのアドバイス

 最近の状況と得られている情報に基づき、WHOは全加盟国に対して、急性呼吸器感染症への監視を継続し、異常な臨床像を呈する症例の詳細な分析を行う必要性を強調する。

 医療施設内でのMERSコロナウイルスの拡大阻止は、感染防止と制御の上で非常に重要である。
 しかし、初期にMERS感染者を同定することは必ずしも容易ではない。理由は他の呼吸器感染症と同じくMERSの初期症状は非特異的であるからだ(咳、鼻水、発熱などの症状。発熱が伴わないこともある:訳者注)。
 それ故、医療担当者は常に患者の診断内容にかかわらず、標準予防策を適用して患者に接しなければならない。

 急性呼吸器感染症症状を呈する患者のケアをする場合は、標準予防策に加え、飛沫に対する防御も必要である;感染可能例、または確定例に接する場合は、接触する場合の注意、感染予防のためのゴーグルが必要である。エアゾールが気道から発生する操作の際は、空気感染を防止する必要がある(気管内挿管、気管分泌物吸引などの操作:訳者注)。

 MERSに関するさらなる情報が得られるまで、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫低下状態の患者は、MERSコロナウイルス感染症の重症化が起きるハイリスク群と考える必要がある。
 それ故、このような人々はラクダに接触したり、ラクダ農園を訪問したり、ウイルスが存在している可能性がある家畜小屋には近づくことは避ける。

 一般的衛生管理の他、ラクダの生ミルク、尿、十分加熱してない肉の摂食は危険である。

 コメント; この2例は明らかに発病者からの感染である。最初の発病者に関して詳細な記載とフォローがないが、十分追跡調査されてないからかもしれない。
 この発病者が他地域でさらに感染者を増やしている可能性は否定できない。
 このような巡礼帰りの感染者が他国で多数出ることが一番懸念される。

 9日の管理人エディトリアルで、当イランのケースには若干触れている。
 

 他情報

 遺伝子操作による危険なウイルス作成への批判
Bird flu viruses could unleash pandemic as ferocious as the one of 1918 Daily Mail  (英国) 実験的作製鳥インフルエンザウイルは、1918年のスペインインフルエンザに等しいパンデミックを起こす可能性がある

 米国ウイスコンシン-マディソン大学の研究チーム。リーダーはYosihiro Kawaoka (河岡義裕)教授。
 人工的にスペインインフルエンザウイルスに類似のインフルエンザウイルスを作成し、ウイルス遺伝子がどのように変異すると容易に人の世界で感染しうるかを検討した。
 作製ウイルスの8節の遺伝子は、すべて現在存在している鳥インフルエンザウイルスの遺伝子から構成されている。
 作製ウイルスはフェレットに感染し病原性を示した。さらに7カ所の変異が起きると、容易にフェレット間で感染が広がった(訳者注:フェレットは人の代用感染実験に用いられる)。

 医科学雑誌”Cell Host and Microbe (細胞宿主と微生物)”に論文は投稿されたが、多くの専門家たちから、ウイルスが外部に漏れたりした場合、非常に危険であり、このような研究の意義は少なく、実験をすべきではないと批判が出ている。
 しかしKawaoka教授は、パンデミックに備えてワクチンを作製したり、抗インフルエンザ薬を研究するのに必要な実験と主張している。

 訳者注:河岡義裕教授は東京医科研の教授も兼ねている。同教授は以前から遺伝子操作によるインフルエンザウイルス研究を行っており、スペインインフルエンザ、鳥インフルエンザなどのウイルス遺伝子を操作して、人に感染しやすくなるウイルス遺伝子の特性を追っている。2年前にも類似の研究をサイエンスに投稿して、同じような批判を受けている。論文は若干変更されて出版された。



11日


管理人エディトリアル

 中国のH7N9鳥インフルエンザ感染者数が激減しているが、昨年と同じように気温が上がってきたせいと考えられる。すなわちH7N9ウイルスはインフルエンザ特有の季節性を有している。
 未だ大きな変異が起きていないと思われるが、H7N9ウイルス自体の発生元、またはウイルスの増殖源が未だ不明なことは、将来的に不気味な存在であり続ける。
 今年度の秋以降に再び感染者が増えだす可能性が高いが、そのとき、より人人感染しやすいウイルスに変わっていたなら、パンデミック発生の可能性がある。

 中東のMERSコロナウイルスもH7N9鳥インフルエンザウイルスに状況は似ている。ウイルス発生元や増殖源がラクダとの憶測がなされているが、ラクダとの接点がない感染者も多く、明確な感染源が分かってないという状況は怖い。
 明確な季節性はないと思われるが、現在はサウジでの感染者報告数は減っている。院内感染が減ったせいともされるが、散発的に市中感染が起きている状況は、やはり将来的に不気味な存在といえる。

 MERSが無事にラマダンやメッカ大巡礼を乗り越えると良いが、サウジアラビアでのウイルス感染の広がりが十分分かっていない(調査されてない)現状では、大きな不安が世界を覆う。
 MERSウイルスは人人感染するが、それがさらに感染しやすく変異してゆくと、MERSは世界の感染症となる。


 各種情報

 MERS
  新規発生例なし

 主要情報

 MERS検査は方法により正確な判断ができない可能性
Report on Tunisian MERS cases shows testing challenges CIDRAP( 米国、ミネソタ大学感染症情報センター) チュニジアのMERS感染者に関する報告は、検査の多様性を示している

  昨年チュニジアで確認された3例のMERSに関する新規報告が発表されたが、そこには診断における困難性が症例の中にはあり得ることが記されている。
 米国CDCの研究チームによる。 

 クラスター発生(小集団発生)における最初の患者は66歳男性であったが、男性が危篤状態のときの検査ではウイルスは陰性であった。しかし彼の死後数ヶ月してから行われた保存血清を用いた検査ではウイルスは陽性であった。昨日発表された”新興感染症雑誌(Emerging Infectious Diseases)で述べられている。
 
 男性は2013年4月にチュニジアに旅行から戻る間に発病した。旅行はカタールの娘の元に滞在と、メッカへの巡礼であった。
 5月6日に男性は呼吸困難で入院して4日後に死亡した。
 入院中に行った胸水のPCR検査ではMERSウイルスは陰性だった。
 
 後に、8月5日に米国CDCが保存されていた患者が死亡する前日に採取された血清を用いて、PCRによる再検査をおこなったところ、ウイルスが検出され、遺伝子構造はサウジアラビアやアラブ首長国連邦で分離されていたウイルスとおなじだった。

 研究チームでは、発症10日後の血清を用いてPCRでウイルスが検出されたことから、血清を用いてMERSコロナウイルスの診断する意義を強調している。
 また感染者がウイルス血症を起こすことが確認され、MERSコロナウイルス感染症の自然史と、感染個体からのウイルス排出に関して理解する上での貴重な情報となったとしている。

 また男性の34歳の息子も感染したが、息子は看護師で自宅と、後には病院で父親を看護していた。
 さらに30歳になる娘はカタールからメッカに父親とともに巡礼していた。
 二人とも父親が亡くなってすぐに発症した。そしてPCR検査(多分、咽頭スワブ、または呼吸器分泌物)でMERSコロナウイルスが陽性であった。
 娘はオセルタミビル(タミフル)の投与を受けて回復し、息子は自然経過で回復した。
 報告では娘になぜオセルタミビルを投与したのかについて説明はない。この抗インフルエンザ薬はMERSウイルスに対しては効果はないとされている。

 接触者調査では家族や医療担当者の気道分泌物についてPCR法で検査されたがすべて陰性であった。なお検体は患者と接触後平均5週間後とされる。

 論文著者らのコメントは以下の通りとなっている;
  息子と娘が接触者の中で唯一の発病者であるが、父親と長時間接触していた。
  しかし他の接触者がウイルス陰性であったことに関しては、判断に注意すべきとしている。検体が採取された時期が患者と接触後5週間と非常に遅い時期であることが理由である。
  血清学的検査が行われていたなら、より詳細に感染の有無が判断できた可能性があるとしている。

 他情報

Algeria reports first MERS death Reuters  (国際) アルジェリア、治療中のMERS患者が死亡

 5月末にサウジアラビアから巡礼で戻った男性2人がMERSを発病していたが、66歳男性が死亡したことが同国保健省が発表した。
 もう1人の59歳男性は治療中であるが、状態は回復しているという。

 コメント:院内感染が起きなかったのはやや不思議ではある。




10日


管理人エディトリアル

 9日はメッカで感染者がICUに収容されている。
 詳細はサウジ保健省のウエブでは記載されてない。

 7月に入るとラマダンでメッカに海外からも100万人以上集まる予定のようだ。
 マディーナでは医療担当者(外国人労働者)が院内感染しているようだ。

 サウジの保健省では発生例数と状態だけが表として書かれている。
 以前は不備ながらも多少の臨床経過が記載されていた。

 現在、現実にどの程度の感染者と死者が出ているのかは、保健省のウエブからは分からない。ただ状況から推し量るしかない。

 保健省は、他の地域、町では出ていない、または調査されてないなどの情報も掲載しなければならない。そうすることで正しい情報発信となる。

 記載がないことは感染者が調査で見つかっていないことなのか?
 それとも現地から報告がないというだけのことなのか?
 それが報告では最も重要なのである。

各種情報

 MERS
  新規発生例なし



主要情報

 
Man notgetting the hump with camels despite MERS outbreak  euronews (国際) MERSが流行していても、男性はラクダをとがめはしない

 写真だけの報道

 {ラクダの肉やミルク、さらには糞便中に人に感染する型のMERSコロナウイルスが存在するという意見が強くなっている。
 ラクダの呼吸器(鼻腔)などからウイルスは排出されてないとする意見もある。
 ラクダはウイルスに感染していても自然に治癒して体内に抗体を残す。
 しかしウイルスはすでに環境中にも存在していて、感染者から周辺の人にも感染する例が多くなっている。

 ラクダは中東の人々にとって、生活を共存してきた仲間でもある。
 かって豚インフルエンザ(以前の新型インフルエンザ)が勃発したとき、エジプトでは数十万匹の豚を殺した。世界の動物愛護団体などから大きな非難がわき起こった。
 :訳者文}
  

 

 他情報


Coronavirus: WHO gives thumbs up to Saudi efforts Saudi Gazette  (サウジアラビア) コロナウイルス:WHO、サウジの努力を評価

 WHOのサウジアラビア代表(永久)のコメントを中心にした話題。



9日


管理人エディトリアル

 5月末にイランでメッカ巡礼帰りの姉妹がMERSを発病した。
 その後1人が死亡し、もう1人は回復して病院を退院したとされる。
  ロイター  チャネル・ニュースアジア(シンガポール)
 2姉妹はイラン南部のケルマン省に住んでいたが、同省の疾病予防局の長官は、さらに疑い例が6人いるとイランの報道機関に語っていた。


 その後当情報に関してはフォロー記事は出ていない。
 またWHOからも情報は出ていない(WHO未公認例となっている)。
 多分、WHOは公式連絡網をもっていないのかもしれない。

 院内感染、さらには市中感染が起きていないか不安である。

 7月のラマダン(断食月)および10月の大巡礼では、イラン、イラク、アフガン、パキスタン他の国々から100万人以上の巡礼者がサウジアラビアに集まる。
 昨年はMERSの警戒から例年の半数の150万人しか集まらなかったとされるが、今年は昨年に比較にならないほどMERSがサウジおよび周辺で発生している。
 巡礼者の中には感染して母国に戻り、そこで発病する例、またはサウジで発病する例が相次ぐことは確実視されている。



 

各種情報

 MERS
  FluTrackers  2例 #824-#825

  サウジアラビア  2例  累積感染者数700人 、死者数287人 、
  保健省

  72歳男性、メッカ、ICU管理、
  36歳男性、マディーナ、外国人労働者、医療担当者、家庭隔離、
    


 主要情報

 未記載

 他情報

MERS coronavirus threatens thousands of Afghan pilgrims  Khaama Press  (アフガニスタン) MERSコロナウイルス、数万人のアフガニスタン巡礼者を脅かす

 本年度、アフガニスタンから2万4千人の巡礼者がサウジアラビアのメッカに向かう予定とされる。
 アフガニスタンの保健省と大巡礼を担当する庁は、情報の収集と、MERSについて巡礼者への啓発に努めているが、未だ当局も十分情報を得てないため、多くの巡礼者はMERSに怯える結果となっている。
 政府は担当者をサウジアラビアに派遣して、情報収集とサウジ側との対策を話し合うとしている。


8日

管理人エディトリアル

 この数日サウジアラビアから報告される感染例は、従来とは異なり辺縁の地域が多い。そしてこれまで報告がされていたジッダやメッカ、首都リヤドからの報告が極端に減っている。

 これまでの都市ではMERSウイルスは駆除されたが、新しく別地域でMERSが発生してきたということだろうか?
 となると今後他地域での発生が多くなる可能性が高い。

 それともリヤドやジッダ、メッカなどでは患者発生調査がなされていたが、最近他の地域でも行われるようになったのかもしれない。多分、この可能性が高い。この仮説が正しければ、以前からサウジ国内で広くウイルスが蔓延していたことを示唆する。

 重要なポイントは、他地域でMERSが発生していない(いなかったという証拠(エビデンス)は、これまでサウジ政府からは示されたことはなかったことである。

 最近報告されている地域では、この2年間、全く(多分)MERS報告がなされてなかった。それが今になって、発生例が報告されるということは理解に苦しむ。
 また北部のジャーフ((Al Jawf))では海外からの医療担当者や出稼ぎ労働者などが感染しているが、元々の発病者の情報はこれまで一切なかった。この都市ではMERSがどのような状況で発生しているだろか?

 MERSコロナウイルスがサウジアラビア国内に広がっている可能性は高いが、国外にどの程度広がっているのかが問題である。
 今後のサウジ、および各国からの情報内容が気になる。

 6月7日 ダンマーム (Dammam)1人
 6月6日 ジャーフ(Al Jawf) 4人、 海外からの出稼ぎ労働者
 6月5日 ディラム(Dilam)1人、ジッダ1人
 6月4日 ジャーフ1人、海外からの医療担当者(たぶんナース)ダーラン1人
 6月3日 マディナ1人
 6月2日 ジャーフ1人、他



   少なくとも6月3日以降の情報は、WHOと米国CDCの指導の下に調査が行われているとされる。Command and Control Center(指令および制御センタ-)が設けられ、そこで24時間体制で情報収集、対策などを一括管理しているとされる。
 詳細は以下のように述べられている。保健省ウエブ

The Command and Control Center, Ministry of Health, provides the Ministry of Health the ability and capacity to monitor developing health concerns across the Kingdom in real time and ensures that health challenges are managed with a systematic, holistic and comprehensive approach.
 サウジアラビア保健省の指令および制御センターは、保健省に国内全体の健康問題を迅速に提供し、総合的に問題に対応できることを可能にする。

The Command and Control Center, Ministry of Health consists of clinicians, scientists, researchers, healthcare experts, and emergency planning experts. Under the direct supervision of His Excellency the Minister of Health, the center has been developed in conjunction with international experts and organizations such as the World Health Organization (WHO) and Centre for Disease Control (CDC).
 センターの人員は、医師、科学者、研究者、保健専門家、および危機管理専門家から構成されている。センターはWHOや米国CDCなどの専門家たちによってサポートされている。
 


 
各種情報

  MERS
  FluTrackers  新規例なし
  サウジアラビア  新規発生なし  累積感染者数698人 、死者数287人
   保健省



主要情報
  
 特になし

 他情報

NIH issues travel advisory on Middle East Respiratory Syndrome  The News International (パキスタン) パキスタン、国立衛生研究所、MERSに関する旅行注意情報を発表
 WHOと連携した注意情報。
 基本的に7日(昨日)のWHO注意情報に準じた内容。

WHO: Hospital breaches worsened MERS outbreak in UAE www.worldbulletin.net (国際) WHO: UAEでのMERS増加は院内感染対策の不備が原因と判断

MERS-CoV risk assessment mission in the United Arab Emirates World Health Organization (press release) アラブ首長国連邦で、MERSコロナウイルスリスクアセスメント(危険性評価)がWHOと同国政府の間で討議

 UAE政府がWHO専門家チームを招待して、同国のデータを提示して評価を求めた。

SARSとMERSウイルスに有効か、国際研究で化合物特定 AFPBB News  (AFP、日本版)

 {重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome、SARS)と中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome、MERS)の研究を行う国際研究チームはこのたび、感染症を引き起こすコロナウイルスに対して効果を持つ化合物を特定したと、米医学誌『PLoS Pathogens』に発表した。現在点で、これら感染症の治療法は存在しない。

 スウェーデン・ヨーテボリ大学(University of Gothenburg)のエドワード・トリバラ(Edward Trybala)氏とスイス・ベルン大学(University of Bern)のボルカー・ティール(Volker Thiel)氏率いる研究チームは、感染者体内でウイルスの増速を阻止するとみられる化合物「K22」を特定したという。

 研究チームは、化合物1万6671種類を調べた。その結果、軽い風邪のような症状を引き起こす、弱い型のコロナウイルスに対して「K22」が効果を持つことを突き止めた。研究チームはさらに、SARSやMERSなど、より強い株に対しての効果を検証すべく研究を続けているという。

 トリバラ氏はAFPに対し、「このウイルスは体内の細胞膜を乗っ取り、自らを守る構造に変えてしまう。こうして増殖のための『ウイルス工場』が作られる」と説明し、「『K22』は、このプロセスの初期段階で作用してウイルスを阻止するため、『新しい治療法への可能性』が開けた」と述べている。

 コロナウイルスは、気道の上部と下部に影響をもたらし、一般的な風邪の約3分の1の原因とされている。2002年に世界的に大流行したSARSは、より強いコロナウイルスの新種の株が原因とされており、コウモリにその起源をたどることができるという。一方のMARSウイルスは、2012年に見つかった新しい株で、ラクダが発生源と考えられている。}
 管理人補足:MERSウイルスはラクダが保有宿主との意見もあるが、コウモリのウイルスにその起源を求める意見もある。



7日
  

管理人Editorial(エディトリアル:論説)

 当エディトリアルは従来オピニオンとして掲載してきましたが、今後はエディトリアル(論説)と名前を改めると同時に内容も若干変更します。

 基本的に内容は海外情報の中から管理人が信頼できる情報を選んで、それに基づいてその時点での医科学的正しい判断、仮説、憶説などを交えて構成します。
 内容のレベルは、少なくとも国内報道の社説、論説以上のものであり、またワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズと同等か、それ以上のものを目指します(海外の報道機関の論説は、優秀な科学専門ライターによるものでありますが、決して専門家ではないことに留意。ただし国際的専門家による補足的コメントが加えられています。

 当エディトリアルの内容では、必要に応じて海外情報にリンクして、エビデンスとして示めすことにします。

 一般的情報はメジャー情報と、その他に分類し、メジャー情報は基本的に全訳、場合によっては意訳とし、その他の情報はタイトルと概略だけとします。

 管理人は基本的に毎日関連海外情報50件ほどには目を通し、その中から重要な情報を紹介してきました。今後はMERSに関する情報が重要となると思いますが、その中から信頼性ある情報を情報源とともに紹介することを続けます。
 このように多数ある情報源から、今、何が問題なのかを絶えず当ページでまとめて掲載してゆきます。
 支援者の方々が当エディトリアルをコピーして配布するのは自由です。情報を広めていただけたら幸いです。

 なお管理人は各種情報を読み取り、それらをまとめて当ページでまとめる作業に、一日数時間要しています。
 ウエブを継続できるために、サポートしていただいている支援者の方々に、改めて感謝いたします。
 

 各種情報

  MERS
  FluTrackers #823

 サウジアラビア 1例  累積感染者数698人 、死者数285人 、
 保健省
 41歳男性、ダンマーム(Dammam)、入院中


 主要情報

 MERSウイルスは広く存在している可能性。見つかっている例は氷山の一角
MERS Virus Found in Camel Milk Science AAAS (米国) ラクダのミルクからMERSウイルスが検出
 サイエンス・ニュース




 MERSを発症するウイルスがラクダのミルク中に存在していることが確認された。
 研究者チームは感染しているミルクが人を発病させるのかについては不明としているが、専門家たちは中東で習慣化しているラクダの生ミルクを飲用することの危険性を十分支持する知見としている。
 カタール政府はすでにラクダのミルクは煮沸してから飲むように新ガイドラインで警告している。
 カタールの保健最高評議会、環境省、オランダ、エラスムス医学センター、オランダ国立保健環境研究所の研究チームが発表。
 医科学雑誌”Eurosurveillance” に発表。

 研究チームはまた仕事上でラクダに接している人々10人に1人の割合でMERSコロナウイルスに対する抗体を検出している。彼らが以前ウイルスに感染していることの証拠であるが、実際に発症した例はなかった。

 MERSが世界で見つかって2年、未だどの程度の人々が感染したのか不明である。直接的な人人感染が起きているが、過去3ヶ月内に起きたサウジアラビアでは500人以上の感染者が出ているが、その多くは不適切な予防対策による院内感染といわれる。
 しかし病院外で広く人人感染が起きているとするエビデンス(証拠)は得られていない。
 そうした一方、研究者たちはヒトコブラクダとの接触がMERS感染の危険因子である可能性が高いという根拠を多く見いだしている。
 中東とアフリカの9カ国でラクダがMERSに感染していることが示されている。
 MERSコロナウイルスは(保有宿主)ラクダから人へ感染するようになったのではないかと研究者たちは報告している。
 しかし、どこで、どのように種の境界を越えてウイルスが人に感染するようになったのかは、未だ極めて不明瞭な状態である。

 カタールで調査研究している国際チームは、動物、人、および環境内から数千件の検体を採取し、ウイルスの存在や抗体の存在を分析したが、検体にはカタール2カ所での乳を出しているラクダが含まれていた。
 ウイルス感染が起きている証拠となる鼻腔、または便中からのウイルス排出を認めたラクダの半数のミルク中にウイルスRNAが検出された。

 ミルクは通常の方法で流れ出るミルクを採取した。すなわち乳房の消毒は行わず、子ラクダが乳房に吸い付きミルクが流れ出た後採取した。
 そうしたことから研究チームでは、感染ラクダがウイルスをミルク中に排出しているのは断定できないとしている。子ラクダの唾液、または糞(乳房が汚染されて)、またはミルク絞りの人の手からウイルスが混入したことも否定できないとしている。
 さらに未加熱のミルクを飲んで人が本当に発病するのかも断定はできないと、研究チームのリーダーのMarion Koopmans氏はコメントしている。

 もう一つ最近発表された米国アレルギーおよび感染症研究所の研究によると、無処理ミルク中に混入されたMERSウイルスは3日間生存したとされる。

 WHOはまもなくガイドラインを更新し、カタール政府のように生ミルクを飲むことの危険性を盛り込むととしている。WHOの食中毒部門の専門家であるPeter Ben Embarek医師は、生ミルクを飲むことは決して良いことではないとしている。

 ラクダの生肉は別の感染経路となっているかもしれない;研究チームでは”と殺場”で得られたラクダのリンパ節13%からウイルスを検出している。しかし研究チームでは、肉が実際に汚染されたのか(リンパ節摘除時の汚染かもしれない:訳者)、消費者にどれだけの危険性があるのかは不明としている。(訳者注:ウイルスが筋肉に感染するためには血流に乗る必要がある(ウイルス血症)。そうするとリンパ節にウイルスが見つかる)。

 研究チームはまたラクダ農場および”と殺場”の従業員の8.7%にMERSウイルスの抗体を検出している。しかし誰も重篤な症状を出したことがないとされることから、これまで科学者たちが考えている以上にMERSは一般的感染症であり、より多くの人々が軽症、さらには無症状でウイルスに感染している可能性があることが示唆されてる。
 「我々は、我々が知っている感染例は氷山の一角であるのではないかと、常に疑っている」、とWHOのBen Embarek 氏は語っている。
 同氏は研究結果は、実際にはウイルスが広く広がっていることを、科学者たちに理解させることができるだろうと語っている。{The study gives scientists a better understanding of how widespread the virus really is, he says.}


WHO experts find hospital breaches worsened MERS outbreak in UAE Reuters  (国際) WHO専門家チーム、アラブ首長国連邦におけるMERS調査結果を発表

 5日間におけるUAEとWHO専門家チームによる5日間の調査結果が発表された。
 声明文によるとアブダビでのMERS急増原因を以下のようにまとめている。

 「最近のアブダビでのMERS急増原因は、医療機関内での感染予防対策の不備と、市中における感染者の増加と、それをチェックする体制の強化によると関上げられる」


 WHO、巡礼者のためのMERS対策ガイドを発表
World - travel advice on MERS-CoV for pilgrimages  WHO  巡礼者のためのMERSコロナウイルス感染予防アドバイス

 2014年6月3日

 1 緒言

 2014年5月の時点で、WHOに635例のMERS感染者が報告されている。

 ウイルスはアラビア半島に広く存在しているように思われているが、特にサウジアラビアからほとんどの例は報告されている。
 多くの感染者は同国居住者であるが、中には同国訪問者が感染している例も見られている。
 最近のデータに基づくと、同国を訪問してMERSに感染する可能性は低いと思われる。

 最近の疫学的調査によると、感染者の中には市中で感染している場合がある。感染した動物または感染した動物からの未加工産物(肉やミルク:訳者)からの感染、人人感染、または市中で個人的治療の場での感染がある。。
 上記の感染原因の詳細に関して調査が進行中であるが、調査結果はまだ完全なものではない。

 一方、病院内での感染も起きている。
 感染者が病院を受診することから感染が拡大するが、そこには医療担当者の感染予防態勢が未熟であることが関与している。
 最後に、家族内感染が認められていることが上げられるが、感染原因として人人感染、または共通の感染源への接触が考えられている。

 現時点でMERSの感染様式は十分理解されてない。
 WHOは進行中の調査研究の結果を待っている。
 現時点では、地域内での広い感染拡大が起きていることを示唆する情報はない。

 2014年4月以降、サウジアラビアとアラブ首長国連邦で感染者が増えているが、それは市中と医療機関内である。
 詳細は下記のページで記されている。
 http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/en/

 2.危険情報に関する効果的情報の共有

 MERSに関する情報を巡礼者およびそれに関する人々に広く、巡礼前及び巡礼後に公開すること。
 以下略

 3 国境での対策、および輸送業者に対するアドバイス

 WHOは旅行制限や貿易制限は推奨しない。また入国時におけるスクリーニンゲ検査(体温チェックは意味はないことはわかっている:無熱の発症者もいれば、解熱剤服用者もいる:訳者注)も推奨しない。

 WHOは全ての国に、MERSに関する情報およびこの旅行に関するアドバイス、および旅行者の疾病自己報告について、旅行会社および現場勤務員に周知させることを望む。
 
  国際保健規則に従って各国は以下の決まりを順守すること。
 ・入国時に航空機内、船内で発症したした病的症状の有無のチェック
 ・旅客が病的症状を呈した場合、航空機または船舶の関係者は患者の状態に関して入国ポイントと十分連絡をとること。また入国ポイントと国家保健当局との間においても連絡を取ること。
 ・病的症状を呈する患者の病院、または指定された施設への安全な輸送

 もし航空機内でで患者が発生した場合は、”a passenger locator form”が有用である。これにより、患者との接触した可能性、以後の追跡調査が可能となる。


 コメント:MERSは人人感染するが、人の間で感染リングを形成するまでの感染力はないと、現時点では判断されている。7月のラマダンでのメッカ周辺への巡礼、10月のメッカへの大巡礼で巡礼者が帰国過程で発病、または帰国後に発病する可能性は十分ある。WHOのガイドラインはそうした事実を基本としている。
 発病、または感染巡礼者が出た場合、航空会社と巡礼者の入国地が十分責任を持って対処すべきとしている。当然の話であるが…


 その他の情報

WHO experts find hospital breaches worsened MERS outbreak in UAE Fox News (米国) WHO専門家チーム、アラブ首長国連邦(UAE)におけるMERS増加は病院での感染防御態勢が未熟であったことが原因と判断

Muslim Pilgrims Undeterred by MERS Fears, Cast their Cares on the Lord American Live Wire  (米国) イスラム巡礼者はMERSを恐れず、すべては神の御加護の元に

 MERSが多発しているサウジアラビアのメッカへの大巡礼は、イスラム教徒の一生に一度の義務とされている。現在MERSコロナウイルスが拡大しているメッカ周辺への大巡礼に、恐れを抱かずに巡礼者たちは向かう予定である。
 米国保健当局からMERSの危険性と、その予防方法が伝えられているが、巡礼者たちの多くは神が守ってくれると信じている。”God will protect me,”




6日

各種情報

  MERS
   FluTrackers #
  
  サウジアラビア 4例  累積感染者数697人 、死者数285人 、
  保健省

  27歳男性、33歳男性、22歳男性、26歳女性、全例ジャーフ(Al Jawf), 全例不顕性感染、全例家庭隔離、
 

 管理人オピニオン

目下の重要問題は以下の通り

・ウイルス感染元(ウイルス保有宿主)はラクダとしても、人人感染は多く起きている。特に院内感染が起きてきた状況は、単にサウジの医療機関での感染予防対策が不十分であったことだけを意味しない。(ヨルダンでも起きている)。

・ジッダ他の都市では感染源が不明な発病者、明らかに人人感染者も多い。

・家族からの感染者も少なくはない。

・最近のサウジからの情報では2~4割が、人人感染によるとされ、その半数程度が院内の医療関係者となっている。

・先日修正されたデータにより致死率は41%であり、SARSの4倍である。

・エジプト、アルジェリア、イランで巡礼者が発病している。十分な情報公開がされてない。(特にイラン:大丈夫なのか!!)。今後さらに巡礼帰りの人々の母国での発病が起きえる(WHOもいっているように)。また見逃されている心配もある。

・中東以外で発病者から、人人感染による感染リング発生が確認されると、WHOは世界的公衆衛生上の危機宣言を行う。

感染リングが多数の国で起き始めるとパンデミックである。

MERSコロナウイルスは元々動物の感冒ウイルスの一種である。人においても軽症感染者が多いかもしれない。重症者だけがチェックされていると、知らないうちにウイルスは世界中に拡大しているかもしれない。



Scientists question Saudi openness on deadly MERS virus outbreak Reuters  専門家筋、サウジアラビアのMERS情報の開示情報に疑い

 サウジアラビアの突然のMERS死者数の上方修正は、同政府の改善された体制の兆候とみなすことが可能であるが、しかしながら、この2年間のMERS発生がどのように対処されてきたのか新たな疑惑が浮上している。

 世界の保健及び感染症専門家たちは、データの透明性に関して批判的であり、つい2年前まで人で感染が見られなかったMERSがなぜ人で発生しだしたのかを知ることは、提供されているデータからは窺い知ることはできないとしている。

 そして3日に新規に統計が修正され透明性が示されたとされたが、専門家の中からはWHOが何も知らずにいたことに疑問の声をあげている人もいる。

 ”なぜこれらの事例が報告されてなかったのか疑問だ。特にわずか2~3か月前の事例も含まれている”、とミネソタ大学のCIDRAP長官のホステルホルム氏がコメントしている。
 そして同氏は今回修正されたデータからは、なぜ情報がこれまで欠落していたのかを判断できないとしながら、2つの可能性を上げている。
 一つは十分な監視体制で感染者を見出し診断する体制になかった可能性、もう一つは、意図的に、特に重症例や死亡例を報告しなかった可能性である。

 サウジ保健省の科学的顧問委員会の委員長のTariq Madani氏は、これまでのデータは意図的なものではないとし、どこの国でも20%程度の誤差は生じうることであると主張している。今回のデータの上方修正も20%以内であるとしている。

以下簡略

 ・MERSはラクダから感染しているとの仮説があるが、人人感染も同様に起きているとしている専門家もいる。5日、サウジ保健大臣は同国のラクダを検査すると語った。

 情報の透明性に関して

 ヨーロッパCDCは今回の修正データはWHOの定義に沿ったものなのかが疑問とコメント。
 他略

Camel Nasal Mucus Blamed for Passing On Deadly MERS Virus  Bloomberg  (米国) ラクダの鼻腔粘液が致死的MERSウイルス感染源の可能性が指摘

 昨年10月の事例で、鼻水を流すラクダに点鼻薬をさしていた飼育者がMERSコロナウイルスに感染して死亡。男性から分離されたウイルスとラクダのその遺伝子が一致。
 先に報告論文を紹介。


5日

各種情報

  MERS
   FluTrackers #817-818
  サウジアラビア 新規2例 累積感染者数693人 、死者数285人 、
   保健省
 
  80歳男性、ディラム、入院中、
  37歳男性、 ジッダ、不顕性感染、家庭隔離、


Camels transmitted MERS to humans, but virus probably came from bats  Los Angeles Times (米国) ラクダがMERSウイルスを人に伝搬したが、ウイルスはたぶんコウモリ由来だろう

 下記内容に準じるが、著者らはウイルスは元々エジプト墓穴コウモリが保有していて、それがラクダに感染したものと考えている。
 ラクダから分離されるウイルスの遺伝子は、エジプト墓穴コウモリから分離されるウイルス遺伝子と一部一致していることからの推定。

New Report Nails Camels As A Direct Source of MERS NBCNews.com  (米国) 新規報告はラクダがMERSの直接的感染源として指摘

 ラクダ飼育者が所有ラクダから直接MERSコロナウイルスを感染した事実が、New.Engl.J.Med(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン:米国の世界的臨床医学雑誌)に発表された。

 専門家たちはMERSコロナウイルスの感染宿主がラクダであることを知っているが、ウイルスがどのように人に感染するのかについて、直接的証拠は得られてなかった。
 この論文ではサウジアラビアのジッダ市の大学の研究チームが、ラクダ飼育者が一頭のMERS感染ラクダからウイルス感染を受けて死亡した事実を、ラクダと感染者から分離されたウイルスの遺伝子を分析して明らかにした。

 退役軍人が9頭のラクダを飼育していたが、そのうちの一頭から退役軍人から分離されたMERSコロナウイルスと同一の遺伝子を保有するウイルスが分離された。
 男性は2013年10月に風邪症状で発病し、11月に病院で死亡した。
 男性の友人たちによると、男性は日に3時間はラクダのそばにいて、また4頭は鼻水を垂らしていたとされる。

 ラクダは冬期間に出産し、春ころの若いラクダが多くMERSコロナウイルスに感染し、ウイルスを飛沫するといわれる。その後ウイルスは免疫で自然消滅し、ラクダ体内には抗体が残る。

 先の保健大臣補のジアド・メミシ医師は、上記男性はラクダ小屋を消毒することはなく、また生のミルクを飲用していたと、新興感染症雑誌(米国CDC発行、journal Emerging Infectious Diseases)6月号に記している。

 以後は時間を見つけてから訳の予定。

UAE develops national Mers coronavirus plan  The National (アラブ首長国連邦) UAE、国家MERS行動計画を作成

 UAE国家パンデミックおよびコロナウイルス行動計画が作成され、保健省オペレーションセンターで状況を絶えずモニターし始めたと、保健大臣が発表した。

 UAEでは昨年から67例のMERS感染者が確認され、9人が死亡していると保健大臣が6月3日に語った。

 これまでの感染者の71%、48人が二次感染、すなわち他の発病者からの感染とされている。20人が一次感染者とされている。

 コメント;重要なポイントは71%が人人感染により発病したことである。たぶん医療担当者が院内で感染したものと推定される。なお感染者数と死者数が各1名下記報道よりも少ない。

Mers kills 10 and infects 68 in UAE gulfnews.com  (アラブ首長国連邦) UAEではこれまでMERS感染者が68人、死者が10人発生している:保健大臣が発表

 昨年(2013年)3月以来、UAEでは68人のMERS感染者が確認されていて、そのうち10人が死亡したと保健大臣が連邦議会で発表した。

 

4日

 各種情報

  MERS
   FluTrackers #814-#816

  ヨルダン 1人、医療担当者 患者からの感染
   WHO

  サウジアラビア 2人、累積感染者数691人 、死者数284人
   保健省
   28歳女性、ジャーフ(Al jawf)、医療担当者、入院中、
   45男性、ダーラン、ICU管理、

  H7N9
   FluTrckers  #446-#449
   香港保健省

   山東省 61歳男性、 死亡、 33歳男性(左記の息子)、入院中
   江蘇省 51歳男性、51歳女性

   
サウジアラビア、MERS感染者数再調査により
多数の見逃し例と死亡例を確認
  
感染例は少なくとも688人、死者数は282人

死者数は既にSARSの35%に

中東以外は大丈夫か?



 サウジの保健担当高官が続々罷免に

Saudi Arabia sacks minister criticized over handling of MERS Reuters (国際) サウジアラビア、MERS対策で批判されていた大臣を罷免

 サウジ政府はMERS対策の中心的役割を担っていた保健大臣補のジアド・メミシ医師を罷免した。同医師はサウジのMERS対応を巡って一部の海外専門家たちから批判を浴びていた。

As Deadly MERS Virus Spreads, Saudi Arabia Fires Another Health Official Newsweek (米国) 致死的MERSウイルスが拡大することから、サウジ政府は更なる保健担当高官を罷免

 4月に保健大臣が罷免されて、今回は保健大臣補のZiad Memish医師が罷免された。
 同医師はサウジアラビアのMERS対策の責任者となっていたが、海外の専門家からその対応を批判されていた。
 しかしMERS情報を早くから国際感染症学会のメーリングリストProMedを通じて流していたことから、国際的専門家からの評価は高かった。


 コメント:なんかトカゲのしっぽ切りのように保健担当高官が首を切られている。サウジとはどんな国なのだろうか?メミシ医師は確か、MERSウイルスは国外に広がっているような発言をマスネディアにしていたような…。


 サウジアラビア、MERS統計を補正-感染者数、致死率の増加:致死率は41%に!! 実態は21世紀の黒死病??


Saudi Arabia: MERS Toll Revised  New York Times  (米国) サウジアラビア、MERS感染者数を修正

 サウジアラビアは同国内のMERS感染者数を突然上方修正した。さらに死者数は感染者の40%を超えたとした。
 医学記録を再評価後、同国のMERS感染者数は2012年にウイルスが分離された後688人となったが、以前は575人とされていた。また死者数は190人から282人と増加した。

 サウジアラビアでは本年3月以降感染者数の急増が起きた。(多くは院内感染であった)。
 しかし保健省へのアドバイザーが感染者数は減少に向かっているようだと語っていた。
 
 感染者数の急増で保健大臣は4月中旬に罷免され、そして6月2日、新保健大臣はそれまで同国の対策を国民に説明してきた保健大臣補を罷免した。
 保健大臣補のジアド・メミシ医師(Dr. Ziad Memish)は、最近300万人メッカに集まる大巡礼に対する対策案を”ランセット(Lancet)”に発表している。
 新規に確認された133人(113人の間違い:訳者)の感染者はこの3月と4月に発生したもので、検査されてなかったか、または報告されてなかったものが大部分を占めていることが示唆される。

Saudi Arabia Revises MERS Death Toll Up 48%  TIME(米国) サウジアラビア、MERS死者数を48%上方修正

 サウジアラビア保健省はMERS感染者数を再精査した結果、113人が新たに追加され、感染者総数が688人と大きく増加した。まTら死者数は48%増えて、190人から282人に増えた。

Saudi Arabia reports big jump in MERS cases, including 282 deaths  CNN (米国) サウジアラビア、MERS感染者総数を大きく上方修正、同時に総死者数も282人に増加

Review raises Saudi MERS case count 20%, death toll 48% CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) サウジ、MERS統計の再評価で感染者数20%、死者数48%増加に

 本日、サウジアラビア保健省は驚くべき発表を行った。
 保健省は厳しいMERSコロナウイルスに関するデータの再評価を行い、突然同国の感染者数が19.6%増加し、死者数が48.4%増加した。

 昨日同省はMERS感染者数を576人、死者数を190人と発表したが、本日の発表で感染者数が113人増え、累積数が688人となり、死者数は92人増えて、累積数が282人となった。

 同日遅くに保健省は新たな感染者1名を報告するとともに、先に発病が報告されていた患者1人の死亡を報告したことで累積感染者数は689人、同死者数が283人となった。

 以下略


Saudi Arabia review finds higher number of MERS cases; 688 infections and ... Washington Post (米国) サウジアラビア、MERS統計再調査により感染者数の増加を確認;感染者数688人、死者数282人

Saudi Arabia says has 113 more MERS cases than previously thought Yahoo News (国際) サウジアラビア、MERS感染者数を113人を上方補正

サウジ保健省

 サウジ保健省は3日、従来のMERS統計を補正し、新規データを発表するとともに、検査法、調査対象者等の見直しを図った。
 

 

 サウジアラビアの新規検査体制:
  検査可能研究室の増加と、その内容の保健省による調査と認可。国内全か所における検査方法質的レベルアップと標準化。検体の病院における保管方法とラベリングのガイドライン作成。検体の輸送方法と、その安全性の強化。国内すべての地域で、政府承認検査機関へ速やかに検体輸送に実地。

 コメント:上記内容はこれまで十分行われていなかったことを意味し、今後感染者数は増加する可能性があると同時に、サウジ国内全域におけるMERS感染状況が明らかになるのかもしれない。
 今回の検査体制見直しや、感染者統計の再調査は支援に入っている米国CDCおよびWHOの指導によるものであることは間違いはない。
 このままサウジ政府に任せておくとMERSは大変なことになるのは間違いはない。

 この致死率で欧州内に拡大すると、MERSは21世紀の黒死病(ペスト)となる。


3日

各種情報

 MERS
 FluTrackets #700-#812 注:サウジ政府の統計補正により感染者数が113人増えた。

 サウジアラビア 新規1名、マディーナ
  保健省


 管理人オピニオン

 全体としてサウジアラビアからのMERS報告数は減っている。
 夏場に入ったからインフルエンザウイルスのようにMERSコロナウイルスの感染活動力が落ちてきたからではない。感染予防対策が強化されたから、軽症患者が増えすぎていて患者の調査ができなくなったから、感染することが怖いことから、患者調査を行うスタッフが十分いなくなったから…。

 しかし問題は多い:
  ・少数の重体者と市中で感染した患者の報告がほとんどであるが、市中ではどのように感染していて、他に軽症者、無症状者がどれだけいるのか不明なことである。
 報告例の中に市中で感染、無症状、自宅隔離、等という意味不明な報告も時折見られる。
 可能な限りWHOが状態を医科学的に把握して発表しなければならない。
 たぶん水面下では7月からはじまるラマダン、10月に行われるメッカ大巡礼で世界から数百万人集まる、死を神に預けた巡礼者たちの対応が論議されているのだろう。
 今のままジッダ、メッカ他の地で市中感染が起きづづけ、その数が増えだすと、多くの非イスラム教国では巡礼への参加に警告、そして帰国時に2週間は自己隔離、またはウイルス検査などが必要とする可能性が高い。でもそれは実際には行うことが可能な数ではない!!




 MERS、巡礼帰りのアルジェリア2男性が発症、サウジ保健大臣補のメミシ医師が解雇
MERS arrives in Algeria, hits 6 more in Saudi Arabia CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) MERS、アルジェリアでも発病者が確認、サウジではさらの6人が感染

 サウジアラビアに巡礼に出かけたアルジェリア2男性が帰国後、MERSを発病したと同国保健省が発表した。

 さらにサウジアラビアは週末と本日に(現地時間では月曜日)6人のMERS感染者が確認されたと発表した。

 またサウジアラビア保健省は保健大臣補のジアド・メミシ(Ziad Memish)医師が解雇されたことを簡潔に発表した。同医師は長期間に渡って政府のMERSに関する広報官の役割を担ってきて、しばしば同国保健省に対する非難の矢面に立たされていた。

 他の情報としてはヨーロッパCDCは5月31日付けでMERSリスク評価を更新したが、ヨーロッパにおける危険性は未だ低いが、アラビア半島からの感染者輸入例は今後も相次ぐ可能性があるとした。
 以下略

 コメント:サウジにおけるMERS情報を世界に発信してきたのは保健大臣補のメミシ医師であった。国際感染症学会のメーリング・リストでサウジのMERS情報が頻繁に伝えられた。
 最近ではサウジ政府に対する反応の悪さを批判するコメントも報道機関に出している。
 彼が解雇されたことで、医科学的に正確な情報発信がさらにサウジ政府からなされない可能性が高い。
 来月のラマダン、10月のメッカ大巡礼に向かってサウジ政府は異端分子を排除したということだろうか。

 MERSに対する危機対策
MERS: How Should Public Health Departments Prepare? Emergency Management (米国、危機管理) MERS:公衆衛生担当部局はどのように対策を整えるべきか?

 結構な分量で良くまとまっている。


2日

 各種情報

 MERS
  FluTrackers #696-#699

 サウジアラビア 4例  累積感染者数575人 、死者数190人 、
  保健省

 ジャウフ1例、ジッダ1例、マディーナ2例、
 安定2例、ICU管理1例、死亡1例
 患者からの感染:1例、
 他は感染源不明



 ヨルダンでも感染者と死亡者が発生
6 fatalities, 11 infections from MERS-CoV in Jordan Kuwait News Agency (クエート) ヨルダンで6人目の死者が報告、総感染者数は11人に

 ヨルダン保健省は6月1日、MERSによる1名の死者と1名の感染者を報告した。
 新規の死者は69歳男性で、糖尿病と高血圧で入院して治療中に死亡した。
 男性は1週間前にMERSウイルスに感染したとされる。

 11人目の感染者となったのは、たの病院で勤務していた25歳の医療担当者であるが、発熱と肺炎を起こしているが、病状は安定しているという。

New MERS death reported in Jordan  Yahoo News (国際) ヨルダンで、新規MERS死者が報告、6人目

 69歳男性がMERSで死亡したと同国保健省が6月1日に発表した。

 男性は糖尿病と高血圧が基礎的疾患としてあったが、5月28日に死亡したとAFPに報告された。
 男性は入院5日後に死亡している。

 保健省によると、同国のMERSによる死者は、同国で初めてMERSが確認された2012年以来6人となったとされる。

 コメント:感染原因が記されてないが、どこにウイルスがいるのやら混乱の元となるような情報である。ヨルダンは世界で最初に2012年4月に院内感染という形でMERSが発生した国であるが、国内での発生情報は不明朗である。




 
管理人オピニオン:5月は米国で2人がMERSを発症したことから、米国内の報道機関やAP、Reuters他が多くの情報を発信していたが、米国内でMERSが人人感染を起こさなかったことが確認されると、潮を引いたように情報は発信されなくなった。サウジ周辺の報道機関からの情報発信は多いが、内容的にポイントを押さえることができてなく、ただ発生国の保健省発表情報を流しているだけである。
 イラン、ヨルダン、エジプトの巡礼者たちの発症、サウジ国内での患者からの感染者報告等は、一番の問題はどのように人人感染しているのかであるし、、サウジからの報告例が減っているようであるが、それには明確な理由があるのか(どのような感染対策が効を奏しているのか等)など、有用な情報はない。
 そうした情報がなければ、今後はじまるラマダンや大巡礼での100万人を超える世界からの巡礼者たちがメッカ周辺に集まることが安全なのか判断ができない。
 メッカでも感染者は出ているが、多数の感染者が出ているジッダはすぐそばである。

 間違いなくMERSコロナウイルスは、世界に広がる。
 管理人はそう考えている。
 だからウエブ休載を未だ決断できないでいるのだ。


1日

 各種情報

 MERS
 FluTrackers  #693-695

 サウジアラビア 新規1例 累積感染者数571人 、死者数189人
  保健省

 メッカ1例(病状安定)
 A 56-year old male suffering from Diabetes and Hypertension. His condition is stable and is isolated at home
 56歳男性、糖尿病と高血圧で治療中。状態は安定、自宅で自己隔離。

 * 相変わらず感染源に関しては記述なし。メッカでは市中感染が起きている可能性


 アルジェリア 2例 66歳&59歳男性
 巡礼でサウジ滞在により感染

  MERS発症確認地域
  最近巡礼による感染・発病者が多くなっている。マレーシア、イラン、オランダ、アルジェリア他。

 症例の簡単な経緯。アルジェ保健省発表。
 重要部分だけの翻訳。


The first case, 66 years old, introduced the first signs to type of fever and respiratory gene, during his stay in Mecca. The same day of his arrival, he has been admitted to the Kolea EPH where he was immediately supported by the staff of health.

66歳男性は巡礼中にメッカにて発熱と呼吸器症状を呈しましたが、その日にアルジェリアに帰国しKolea州の病院に入院。

The second case, age of 59 years, who also presented the first signs respiratory and digestive during his stay in Saudi Arabia, was hospitalized and supported in the Tlemcen CHU upon his return.
59歳男性は、巡礼中に呼吸器症状と消化器症状を呈し、帰国後Tlemcen州の病院に入院。
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 重要なことはサウジの医療機関では診断能力が低いということと、空港検疫が機能していない可能性があることである。
 発病した、または感染して症状が軽いうちに感染者がサウジからいくつかの航空便を乗り継ぎしている過程で、搭乗者に感染を広める危険性がある。特に機内のスタッフが危険となる。



   これまで発病者が確認された国
 


First MERS infections detected in Algeria: ministry Focus News  (米国) アルジェリア保健省:初のMERS感染者が確認

 AFP配信

 アルジェリア政府は5月31日、サウジアラビアの巡礼から帰った2名の男性がMERS発症を確認されたと発表した。

 2人の男性は巡礼者としてイスラムの聖地を訪れていたとされるが、詳細については明らかにされていない。

 SARS患者を確認した他の国は、エジプト、ヨルダン、レバノン、イラン、オランダ、アラブ首長国連邦、および米国が含まれる(管理人注:英国、フランス、イタリア、マレーシア、チュニジアも入る)

 コメント:今年のラマダン(7月の絶食月に多くの巡礼者がメッカ周辺に集まる)とメッカ大巡礼(300万人の巡礼者が世界中から集まる)は、果たして行うことが可能なのだろうか。イスラム信者の巡礼者はメッカ大巡礼を一生に一度は行うことが義務化かれているので、MERSに罹ること、またはそれで死亡することも厭わないと考えられるが、ウイルスが各巡礼者の母国に広まることは、下手するとスペインインフルエンザ以上の世界的大惨事につながる可能性もある。

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