8月-1


15日(終戦記念日


As Ebola cases decline, ZMapp drug trial answers unclear  CBC NEWS (カナダ) エボラ症例の減少でZMappの臨床試験に暗雲


 エボラウイルスに効果が期待される3種類のヒトの抗体を組み合わせた実験薬ZMappの臨床試験が、これまでいくつか実施されていたが、有効性を判断するほどのデーターが集まっていない。
 二種類の抗体はカナダマニトバ州ウイニペッグにあるカナダ公衆衛生局国立微生物研究所で、残り1種類は米国メリーランド州フレデリックにある米国陸軍感染症研究所で製作されたものである。今年の冬までに、被験者約60人による支持治療のみのコントロール群と、支持治療とZMappの治療を組み合わせた群による臨床試験が予定されているが、感染者の激減でその実施が危ぶまれる。

 ZMappに配合される抗体は、遺伝子の組み換えを施されたタバコの葉で生成されるため、迅速な開発が出来ない。そのため2014年の春から初夏にかけてエボラが大流行した際、12人分の治療に満たない供給量に留まった。よれゆえZMappの使用は、エボラ治療センターで診療中に感染した医療関係者に絞られ、重症化した高齢のスペイン人伝道師が全量のZMappを投与される前に死亡したが、ZMappを投与された感染者の多くが生存している。 生存者の1人であり "called for life" を出版したケント・ブランティ医師( Dr. Kent Brantly )はその著作で、ZMapp投与15分後に高熱が引き始め、90分後には1日半ぶりにトイレに歩いたと、その効果を表現している

 データ及び安全性モニタリング委員会 (The trial's Data and Safety Monitoring Board )は、2つの理由でZMappの臨床試験を実施したいと考えている。
 一つは、ZMappを用いた治療において、これまで支持的治療と比較して統計的により有意な結果は得られていない。仮にZMappに効果があるならば、臨床試験の中止は倫理に反する。二つ目は、臨床試験は行われたものの、有効性を判断するデーター量の不足から結論は持ち越されている。
 
 研究者の中には、臨床試験の構想がZMappの効果を低減させてしまうと危惧する声がある。彼らは、病状が進行したエボラ感染者にはZMappは効果がないのではと考えており、臨床試験に採用される被験者の病気の進行度の相違により有効か無効かの判断は難しいと考えている。ZMappに有効性が認められるのであれば、重症者に最も顕著な効果があるはずだ。しかし、軽症や中等度の症例は支持治療のみで回復する可能性があることから、ZMappが生存率を高めることを証明することは困難な判断になろう。(高橋雅人訳)

 管理人コメント:ZMappがエボラ発症者にどれだけの効果はあるのか未定である。いわゆる受動免疫であるが、ウイルス量が非常に少ない段階では効果が発揮され、感染者の症状の進行を遅らせる。そしてそのうち感染者の免疫能で自己抗体が産生されだすと、ウイルスが排除される可能性がある。前提として感染者の免疫能が高まる(自己抗体が産生され出す)までZMappで生命が維持されることが必要である。ZMapp投与でウイルス量がある程度抑えられていることから、感染者の生命力は高く維持される可能性はある。しかしウイルス量が増えてしまった重体状態では多少の抗体(ZMapp)を投与しても焼け石に水となる。
 他のウイルス性疾患では、麻疹が良い例である。発症早期に抗体が含まれるガンマグロブリン製剤を投与すると、症状の発現は遅れ症状も修飾される。しかし結果的に発病することに変わりはなく、今では行われることはない治療である。
 しかしエボラの場合は、生きるか死ぬかといった予後であるから、早期に抗体製剤を投与することは意味が無いとはいえない。


Possible case of MERS identified in Alabama AL.com  (米国) 米国、アラバマでMERS疑い者が治療中

 アラバマ州構成衛生局発表によると、中東から帰国した患者がアラバマ州オペリカで、MERS疑いで陰圧室で治療中とされる。一連の検査が施行中。

 米国では2014年に2例のMERS患者が確認されている。


Safe, Effective Malaria Vaccine Developed  U.S.News ( 米国 )  安全性と効果が担保されたマラリアワクチンの開発

 WHOによると、アフリカでは毎年マラリアで50万を超える犠牲者が出る。2013年には526,000人が死亡したが、83%が子供である。西アフリカのエボラ死亡者数11,000人と比較し、その被害の甚大さが推し量られる。
 開発に30年を要したグラクソー・スミス・クライン社製のマラリアワクチンであるモスキリックス( Mosquirix ) が欧州医薬品局から安全性と効果に関して肯定的な科学的意見( issued a positive scientific opinion )を得た。これは承認に向けた重要な段階に入ったことを意味する。

 マラリアは、アフリカではサハラ砂漠周辺に広範に生息する蚊に宿る寄生虫が、ヒトを刺した時に蚊の唾液を通して感染する。ウイルスやバクテリアとは異なり、寄生虫の形態は生存中に数回の変化をきたすため、免疫性の獲得は極めて困難であり、モスキリックスのようなマラリアワクチンが欧州医薬品から科学的に肯定的な意見を得るたのは初めてのことである。
 臨床試験においてモスキリックスは中等度の予防を示したが、一般的にワクチンの効果は少なくとも80%から90%が要求されるが、5ヶ月から17ヶ月の乳幼児に対しはてわずか50%の効果しかない。生後6週から12週の乳児に対する効果はさらに低い。加えて、ワクチンの効果は接種1年後から低下し始める。

 だが、マラリアがもたらす社会的な負担にワクチンの中等度の有効性を加味して考えると、公衆衛生に大きな利益が期待できる。ワクチンの臨床試験を実施した地域はマラリア罹患率が極めて高い地域であり、ある地域では子供が年4回もマラリアに感染する。モスキリックスの目的はポリオや天然痘ワクチンのような病気の根絶にあるのではなく、子供のマラリア罹患率を低減することにある。

 1986年グラクソ・スミス・クラインのマラリアワクチン開発が開始された。革新的な寄生虫ワクチンを作る基盤としてB型肝炎ワクチンを採用した。2001年サハラ砂漠周辺の11カ所で臨床試験を実施し、その結果は医学雑誌ランセットに本年7月に掲載された。
 研究と臨床試験にビル・ゲイツ財団から2億ドルから5億ドルの資金援助を受け、現在WHOでその結果を精査中である。ワクチンが市場に出荷されるまでに使用取り扱いに関する教育や流通施設の建設にさらなる資金が必要で、複数年を費やさなければならない。

 科学的な観点から、ワクチン完成まで2つのことを為さなければならない。ひとつは、最善の接種法( the best way of administering the vaccine )を見つけること。もうひとつは、第2世代のマラリアワクチンに着手すること。(高橋雅人訳)。


Bird flu spreads to third location in Ivory Coast Channel News Asia (シンガポール) コートジボワール、第三の地域でH5N1鳥インフルエンザが鶏の間で発生

 最近、H5N1鳥インフルエンザが家きんの間で流行している西アフリカのコートジボワール、三カ所目の地域で発生したことが確認された。
 農場所有主によると27000羽の鶏が感染死または殺処分されたという。

 当局者によると4月に流行したときは完全にウイルスを駆除したと考えられたという。

 西アフリカのH5N1鳥インフルエンザは、ナイジェリア、ブルキナ・ファソ、ニジェール、およびガーナで過去半年間に発生している。
 H5N1鳥インフルエンザは希ではあるが人に感染する。


14日

Security Council, top UN health officials spotlight role of emergency preparedness in Ebola fight  UN News Center ( 国際 ) 国連安保理事会、WHO事務局長がエボラ流行から学んだ緊急時に対する事前準備の強調

 国連安保理の状況報告会でマーガレット・チャンWHO事務局長は、西アフリカにおけるエボラ流行がかつてない規模と期間に及んだ原因に言及し、公衆衛生に関する能力と社会基盤施設の欠落が、感染国に見られる感染症に対する危機的な脆弱性と結びついたためだと述べた。

 長期にわたる国際社会と感染国の政府による空前の対応が、ようやくエボラ流行の勢いを食い止めた。仮に、現行の強化された症例確認作業と濃厚接触者の追跡調査が継続されるならば、エボラウイルスは年末までに完全に根絶される可能性がある。つまり、「感染者ゼロを達成したのちの感染発生はない」ということを意味する、とチャン事務局長は公言し、さらに、「 監視体制と対応能力の飛躍的な進歩により、感染連鎖と感染阻止の鮮明な全体像の把握が可能となったことは、1年前の状況とは雲泥の差と認識しており、その進歩は現実味を帯びた苦労の結実である」と述べた。

 西アフリカのエボラ大流行に直面したチャン事務局長は、WHOが早急に実施すべき一連の重大な改革を表明したのだが、それは、世界規模の公衆衛生危機に対応できる要員の確保や、より迅速な対応のための運用方針、行動基準、必要な基金の獲得方法等、将来の感染症対策に組み込まれるべき対策を指す。この改革の背景には、チャン事務局長が、「西アフリカのエボラ発生が、国際社会に致死的感染症の衝撃として波及し、感染事例を経験した国々の果断な警戒と準備を目の当たりにした」 ことにある。

 2014年3月ギニアでエボラ出血熱の初発例が報告され、瞬く間にシエラレオネとリベリアに拡大、11,000人を超える犠牲と米国やヨーロッパでも孤発例が発生した。しかしながら、この報告書を書いている時点で、感染者なしとする直近の報告が世界の医療界で楽観論を誘発している。

 国連事務総長に任命された公使のデイビット・ナバロウ博士(Dr. David Nabarro)も、チャン事務局長の改革案に同調する立場から、エボラ対応に関する3つの要素ー「説得力と決断力のある統率者」の育成、エボラ対応に向けられる「自らの地域を守る認識の重要性 (“importance of community ownership”)」、「長期的な連帯に基づく共同作業の価値」ーを強調する。
 なによりナバロウ博士の警告における重要な点は、国際社会は、今後発生するであろう予期せぬ新興感染症に対し、国際社会全体の利益のためにより精鋭化し結束するための危機対応計画が求められていることにある。
 「人類の安寧は、新興感染症の発生の予知と迅速な対応、感染拡大の抑止や感染症の予防に依存している。それぞれの国々の地域社会が、公衆衛生の脅威をグローバルな問題と捉え、積極的にその課題に取り組み、感染症に対応する保健システムへ関与することが、各国の安全の中心に位置づけられ、ひいてはそれがより安全な国際社会の構築につながる」とナバロウ博士は結論付けた。 (高橋雅人訳)


More than 1000 poultry birds infected with A/H5N1 Viet Nam News (ベトナム) ベトナム、メコンデルタ地帯で1000羽以上の家きんがH5N1鳥インフルエンザウイルスに感染、多数が感染死

 鶏とアヒル。多数が感染死。

 管理人コメント:メコンデルタ地帯は、アヒルにH5N1ウイルスが土着していたが、再び鶏などに感染を広げてきた。かってはそこから人に感染し、多数の死者を出した。


13日


家庭でできるMERS対策説明 東北大が冊子を作成  西日本新聞

 韓国での中東呼吸器症候群(MERS)流行を踏まえ、東北大の賀来満夫教授(感染症学)の研究チームが13日までに、家庭でできるMERS対策を冊子にまとめた。韓国では感染の可能性がある人に対する自宅隔離の要請がされており、トイレの消毒など具体的な対応も示している。

 冊子は「中東呼吸器症候群(MERS)家庭用ハンドブック」と題して、流行地域を旅行する際の注意点や症状を分かりやすく説明している。

 同居者に感染の疑いがある場合、おおむね1メートル以内で接する時にはお互いのマスク着用を推奨。衣類や寝具、食器の共用は避け、トイレの消毒を勧めている。

 管理人コメント;MERSだけでなく呼吸器感染を起こすインフルエンザ、鳥インフルエンザなどの予防にも役立つ。
 

 サウジ、リヤドでMERSの院内発生が相次ぐ
More hospital links emerge in Riyadh MERS surge CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) サウジアラビア、リヤド市でさらに病院内でMERSが発生

 8月に入ってからサウジ保健省は首都リヤドで27人のMERS感染者が確認されたと発表した。
 多くは医療機関内で感染していると考えられ、直近の17例中12例は院内感染であることが確認された。


 国境なき医師団、エボラとの闘争を継続
Attention, World: The Ebola Fight Isn’t Over   Time ( 米国 ) 世界に向けて:エボラとの死闘は終わっていない


著者 Dr. Joann Lie : 国境なき医師団理事長
 

 史上最悪のエボラ流行の封じ込め活動は、まさにマラソンである。
 当局の職員と一握の援助組織が情け容赦のない見えない敵と戦っている間にも、エボラウイルスは人々を殺戮し脆弱な社会を引き裂いた。
 毎週数百人が感染し、感染経路の特定と接触者の追跡、感染者の発見は困難を極めた。実験的治療薬やワクチンの臨床試験の準備が開始された頃、ようやく国際社会からの援助が届き始めた。(昨年9月に入ってから;管理人注)。

 ここ数ヶ月の感染者数は週20人から30人であったが、先週わずか3人となった。新たな感染連鎖を迅速かつ効果的に調査し、濃厚接触者の追跡調査を行う。当局の強力なリーダーシップが終息への勢いを表している。
 終息の兆候は視野に入っているが、唯一の信頼できる予想は予想不可能ということだ。たとえ感染地域で終息したかに見えても、わずか1人の感染者の見落としや危険な埋葬が流行の再燃をもたらす。それゆえ、一瞬たりとも警戒を緩めることはない。
 潜伏期間の2倍にあたる42日間の感染者未発生を最終到着地とし、高らかに終息を宣言する。

 その成功の鍵を握るのは地域住民であり、彼らの信頼と自信の獲得にある。ギニアのフォレカリアで活動中の国境なき医師団は、終息に近づきつつあるギニアでこの夏、再び感染者が確認された時、連日、一軒一軒を訪ね、感染様式や症状、感染者が発生した場合の安全な介護法の啓発に奔走した。エボラの衝撃は想像をはるかに超えた長期に及ぶ。流行以前の感染国における医療システムの脆弱さが、数百人の医療関係者の犠牲に帰着した。エボラの根絶が克服すべき最初のハードルであるが、医学的に理解不十分なエボラ感染の後遺症も課題である。

 そろそろ西アフリカのエボラ感染に関する情報がメディアから消え去るだろう。しかし、エボラウイルスが根絶されたわけではない。根絶がいつになるのか誰も知り得ないが、感染国と国際社会の団結が不可欠である。ギニアでの臨床試験で顕著な効果を示したワクチンの迅速な投入が感染連鎖を断ち、第一線で奮闘努力する医療関係者をエボラウイルスから守るであろう。

 国境なき医師団はエボラ流行の初期から現地で戦い、まるで長距離ランナーの如く、終息のその日まで現地にとどまり走り続ける。(高橋雅人訳)


12日


 MERSウイルスのラクダから人への直接的感染を示唆する遺伝子学的分析
New findings build case for camel-human MERS transmission  CIDRAP ( 米国 ) 疫学的・遺伝子学的エビデンスに基づくラクダからヒトへのMERS感染経路

 アラブ首長国連邦、香港、米国CDCの研究チームによる。

 MERSに感染したラクダに接触既往があるために疫学的・遺伝子学的検査を受け、不顕性感染である事が判明したアラブ首長国連邦の2人の感染者に関する調査結果が昨日、新興感染症雑誌 (Emerging Infectious Diseases :米国CDC) のオンライン版に掲載された。感染ラクダとの接触が 、MERSの感染経路としての人獣共通感染症である事を支持するものである。

 不顕性感染を呈する1名は、オマーンからアラブ首長国連邦へラクダのトラック輸送に従事している。当局の国境でのMERS検査でラクダから検体を採取、3日後に陽性と判明したため、当局職員が追跡調査をし当該トラック運転手を割り出し検査したところ、症状は呈していないが陽性であった。

 ふたりめは、感染ラクダが搬入されたラクダの検査施設に従事する33歳の男性で、症状はないが検査は陽性を示した。ふたりから採取されたRNAは少量のため全ての遺伝子配列は判明していないが、MERSウイルスのヘマグルティニンとヌクレオカプシド領域を精査する事が可能である。
 このことに疫学的発見を加味すると、感染ラクダと不顕性感染のヒトから採取された遺伝子配列は、人獣共通感染症である事を支持しているが、研究者は、ラクダとヒトがそれぞれ個別の感染源から感染したとする極めて低い可能性を排除していない。

 この調査結果からは、感染動物からヒトへの感染がヒトーヒト感染を増長させるのか否かは判然としないが、ヒトの不顕性感染が感染動物から起因する感染事例が証明される。また、ラクダとヒトから採取された遺伝子は、最近サウジアラビアや韓国で採取された遺伝子と近縁であることも判明した。このクレイドがよりヒトへの感染性を高めている形跡はないが、韓国に見られるように、わずか一人が大きな流行をもたらす事実は、さらなる遺伝子学的なリスク評価が求められるということである。(高橋雅人訳)


 組織と役割が不明瞭化したWHO、その改革は可能か?
Ebola: WHO's fumbled response and what can be done to keep it from happening again Fox News (米国) エボラ:WHOのエボラ対応のしくじりと再発防止になすべきこと

作者 ブレッド・D. シェーファー ( Brett D. Schefer :ヘリテージ基金に属すマーガレット・サッチャーセンターにおける国際薬事規制に携わる上席研究員)


 2013年、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネで大流行したエボラ出血熱は11,000人を超える命を奪った。
 WHOと利害のない専門家で構成された第三者委員会が、エボラ流行の対応に失敗し事態を悪化させたWHOの対応の評価と組織改革に関する最終報告をまとめた。それによると、西アフリカにおけるWHOの失敗の要因は、エボラ流行の性質に関する不正確な理解やWHO内部組織が下した不適切な決断、政治的配慮への過度な服従があげられるが、最も手厳しい評価として、そもそもWHOは公衆衛生の緊急事態に十二分に対応する能力も組織文化も保有していないと結論付けている。

 これは、リーダーとして国際的な公衆衛生危機に立ち振る舞い、効率的な国際協力の調整を任務とするWHOにとって組織的に深刻な問題である。それゆえ、WHOに対し、国際的な公衆衛生危機の発見と宣言、効率的に対応すべき能力保有への改善を勧告している。また、疑う余地もなく、WHOの最も重要な使命を国際的な公衆衛生における緊急事態への準備と対応としている。

 ヘリテッジ・ファウンデーション・イクスパート( Heritage Foundation experts )が今年初めに発表した分析によると、WHOに対し、「開発途上国における国レベルの保健システムの構築と、感染症の流行に対する国際的な監視と対応における調整能力の構築」に重点を置くことを求めている。ごく自然なことに、仮にWHOがこの任務に重点を置くならば、そこにより多くの資源を配分する必要がある。

 しかし、実際に国際的な感染症の発生とその対応に割り当てられる予算は、WHOの全予算のごくわずかに限られている。緊急な感染症の発生とその危機対応に割かれる予算は、2014年から2年間のWHOの全予算39億8000万ドルのわずか6%にも満たらず、これは2012年から2年間の感染症に関する予算から51,4%も削減された。なぜかWHOの全予算は43億3850万ドルに膨れ上がる一方、エボラ危機やWHOの対応の不手際にもかかわらず、2016年から2年間の国際的な公衆衛生危機に対する予算は、現行の2億2,750万ドルから2億450万ドルに削減される可能性がある。

 それではどこに予算は配分されるのか。配分先は、感染症の発生とその危機対応より、より多くが薬物中毒や暴力対策、妊産婦の健康や高齢化など人生を通じての健康増進に費やされ、その額は3倍の6億8400万ドルに達する。この予算配分は感染症の予防と流行に対する迅速で決定的な対応をなすべきWHOとして実に貧弱なものだ。

 予算配分の問題点として、WHOが実施する多数の計画の重複性がある。つまり、各国政府や企業や個人が薬物中毒や高齢化、栄養学、心身障害など確かに重要ではあるが、世界規模の感染症の脅威とは無関係の健康問題に大金を注いでいる。加えて、WHOの任務は他の国際機関が担う任務とも重複する。例えば、国連人口基金( The UN Populations Fund )は妊産婦の健康問題、ユニセフ( UNICEF )は子供の健康問題、グローバル基金( the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria )はエイズや結核やマラリアの問題に取り組んでいる。換言すれば、WHOは、個別の問題に特化した潤沢な基金を保有する国際機関が取り組む問題に重複して数百万ドルの予算を割いている。

 しかしながら、WHOは国際的な公衆衛生危機や新興感染症の発生を宣言し、国際的な対策を調整する唯一の国際機関である。にもかかわらず長年にわたり問題を内包する官僚機構を維持し、未熟な判断や無能さを露呈させた長い歴史があり、西アフリカにおけるエボラ対応の下手な対応はその直近の例である。この重要な役割を遂行できる国際機関が必要であることは明白である。

 不幸なことに、計画や予算に鑑み、WHOと加盟国はグローバルな危機をはらむ感染症の発見と対応という重要な任務を軽視している。WHOの改革において、WHOの予算の増額を求めるのではなく、官僚的な組織に内在する問題を解決しつつ、与えられた資源を国際的な公衆衛生危機に集中すべきと考える。(高橋雅人訳)


 管理人コメント:WHOが組織疲労を起こし、本来の役割を果たせなくなっていることは数年以上も前から指摘されていた。官僚組織であるが、現場で働くスタッフの大変さとは別に、優雅な待遇が上級職になると与えられる。


S. Korea to publish MERS white paper Yon Hap News. ( 韓国 ) 韓国、MERS白書を発表

 韓国保健福祉省は水曜日、政府による韓国における中東呼吸器症候群( MERS )に関する詳細な白書の出版を発表した。MERS白書と呼ばれるこの白書には、今後の感染症対策に活かされるべき感染抑制への対応や、MERS流行の進行段階から学び得る問題点や成果が取り上げられてる。(高橋雅人訳)

11日

Sierra Leone celebrates lifting of ban on public gatherings due to Ebola   The Guardian. (英国) シエラレオネ、エボラ流行による集会の禁止を解除

 アーネスト・バイ・コロマ(Ernest Bai Koroma )シエラレオネ大統領は先週金曜日(8月7日)、エボラ流行による集会 (public gatherings) の禁止を1年半ぶりに解除した。スポーツイベントやナイトクラブ、午後9時以降のレストラン営業に許可が下された。また、緊急措置として昨年夏以来閉鎖されていた教育施設も再開される。

 しかしながら、 集会の禁止は解除されたものの、国家非常事態は継続されており、伝統的埋葬や日曜の市場の営業等は禁止されたままだ。
 首都フリータウンに暮らす人々にようやく日常が戻りつつあるが、WHOが規定する新規感染者の42日間未発生を達成しないことには流行の終息を宣言できないとする認識が広く共有されている。

 昨年5月の初発例以来、3,585人が死亡したが、現状はシエラレオネの14郡のうち10郡で100日を超える未感染を記録しており、感染ホットスポットとされる北部の郡でわずか2名の感染者が隔離治療中で、その接触者80名超が監視下に置かれている。
 終息宣言後のリベリアにおいて数例の感染事例が確認されていることから、シエラレオネは警戒を怠ることができない。(高橋雅人訳)

 管理人コメント:シエラレオネはかって奴隷解放後英国の植民地だった。現在英国連邦加盟国でもある。そうしたことから英国がシエラレオネのエボラ流行に支援に当たってきた。リベリアが米国の解放奴隷が建国したことから米国がその支援の中心だったのと同じである。因みにギニアはフランスの植民地であった。


Riyadh MERS outbreak grows by 10 cases CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター) リヤド市のMERS流行10人に増加

 この3日間、リヤドで10人のMERS感染者が確認。
  院内感染と市中感染による。
  1人が医療担当者。

 リヤドでは6月から7月に散発的に感染者が出ていたが、8月に入ってから20人の感染を確認している。

 先週保健省からの発表がメディアの間で大々的に取り上げられた。リヤドで家族内感染が起こり6人が感染、1人が死亡した。

 MERSの危険性に関してCIDRAPセンター長のオステルホルム氏は、MERSは韓国で発生したように世界どこでも旅行者がウイルスを持ち込み流行する危険性がある、それを防ぐためにはラクダから人へウイルスが感染する経路を断つ必要がある、とコメントしている。


10日

 中国、リベリア復興支援
China to build highway for Liberia as part of Ebola recovery aid  Reuters. (国際) 中国、リベリアのエボラ復興に高速道路を建設


 リベリア外相は日曜日(8月9日)、4800人を超えるエボラによる犠牲者を出したリベリアを訪問中の王中国外相と記者会見を開き、中国のエボラ復興支援とし高速道路と複数の省が入る複合ビルの建設を表明した。

 王中国外相はリベリアに対するエボラ復興支援の内容を明らかにしていないが、リベリア外相によると、両国は、10省が入る複合ビルと沿岸部を通る高速道路の建設に合意したとされる。中国はこれらのプロジェクトの資金供給にアフリカ向けの中国による国際基金(global fund)を投入するが、同時に協力国も求める。
 リベリアの既存の高速道路は2003年に終結した内戦後に建設されたもので、首都モンロビアから鉄鉱石や材木の積み出し港のブキャノンを経由し隣国コートジボアールとの国境に至る産業に極めて重要な沿岸部ルートに位置するが、舗装されていない。

 王外相は、「リベリアは世界中の国々の投資を引きつけており、中国はあらゆる分野で協力する用意がある。リベリアはアメリカの奴隷解放により建国されて以来、米国との緊密な歴史的関係があることを承知しているが、中国には国力がある。中国とリベリアとの関係は急速に進展している」と述べた。

 中国はアフリカ最大の貿易国である。中国はエボラ流行時における初期の援助が不十分とする批判を受け、数百名の医療関係者と1億2000万ドルを超える支援を行った。中国の大企業はこぞってアフリカに投資しているが、ここ数十年にわたりアフリカの豊富な自然資源を自国の経済成長につぎ込んでいる。(高橋雅人訳)

 管理人コメント:中国が西アフリカのエボラ支援を強力に行っていたのは周知の事実。日本の支援は残念ながら十分伝えられていない。


9日

Expert warns flu risk severe  The West Australian (オーストラリア) 

 今後2ヶ月、西オーストラリアでH3N2型インフルエンザが大流行し、多くの感染者が発生する可能性があることを西オーストラリア大学の専門家が警告した。

Avian Flu Found in Poultry Market in Cote D'Ivoire ThePoultrySite.com (国際) アフリカ、コートジボワールの市場でH5N1感染家きんが見つかる

 H5N1鳥インフルエンザが2件発生し、880羽が死亡した。

What ever happened to bird flu? Newstalk  (国際) これまで鳥インフルエンザに何が起きていたのか、そしてこれからは?

 鳥インフルエンザの過去と現況、そしてこれらからのパンデミック候補としての危険性


8日


For Vaccines Needed in an Epidemic, Timing is Everything  The New York Times (米国) 伝染病ワクチン、すべては供給のタイミング

 昨年開始された西アフリカでの実験的エボラワクチンの臨床試験は、投与10日後にほぼ完全な予防効果を示した。しかし、この成功のタイミングは陰鬱な皮肉である。10年も前にこのエボラワクチンの動物実験は成功していたが、臨床試験に必要な資金不足のため、科学界で忘却の存在と化していた。それゆえ、救済されたであろう11,200人もの犠牲者と多数のエボラ孤児を生み、感染国は深刻な人的・経済的な損失を被った。仮に、ワクチンの臨床試験が数年前に実施されていたなら、今回の大規模な流行は回避出来のではないか。しかも、臨床試験の結果がもたらされた今、流行は下火である。

 エボラ流行のように、臨床試験によりワクチンの安全性と効果が証明される前に伝染病が流行すれば、現状の国際社会は無防備に等しい。だからこそワクチンは科学の最大の結実の一つとされるのだが、近代医学においてワクチン開発は難行になってしまった。
 ワクチンを開発するには、先づ動物実験を企画し、細胞と動物での試験をするが、これに2,500万ドルほどかかり、政府や慈善団体がこの類の基礎研究に資金を提供する。次に、研究者は4段階に及ぶ臨床試験を行い、小規模の臨床試験では安全性や適正な用量を、大規模な臨床試験ではより詳細な効果と副作用を調べる。ワクチン開発の企画から動物実験を経て臨床試験まで数億ドルを要すことから、大手製薬会社は臨床試験の実施に積極的になれない。たとえワクチンの開発に成功しても、費用対効果が見込めず、利益率の良いガンや心臓疾患の薬剤開発に向う。

 そこで、ウエルカム・トラスト(Wellcome Trust)のポロトキン博士(Dr. Plotkin)と、ムハメッド博士(Dr. Mahmoud )、ジェレミー・ファラー氏(Jeremy Farrar)は、各国の政府や製薬会社、慈善団体らによる国際ワクチン開発基金の創設を提唱した。200億ドルの基金を集め、4つないし5つのワクチンの開発を目指す。
 現在、多くの研究者が最も必要としているワクチンはMERSワクチンである。中東におけるMERSとの闘いに敗れ、制御不能になる可能性がある。イエメンに見られるような 公衆衛生インフラの崩壊が、悲惨な流行のリスクをもたらす。

 歴史は繰り返す。エボラ流行の悲劇を繰り返さないためにも伝染病に対する備えが必要である。MERSワクチンに関し、少なくとも2つのワクチンが有望な候補株とされ、両者とも動物実験で好成績を示した。ワクチン基金による臨床試験の早期開始が望まれる。 (高橋雅人訳)


 エボラ後遺症、予想以上に多く、重症
Thousands of Ebola survivors face severe pain, possible blindness  Fox News (米国) 激痛や失明に直面するエボラ生存者


 西アフリカにおけるエボラ出血熱の生存者が、慢性的な重症の関節痛や、頭痛、時に失明に至る目の炎症による後遺症に苦しんでいる。WHOの公衆衛生専門家は金曜日、「エボラ生存者の後遺症は、緊急事態における喫緊の課題」と述べた。

 1976年にエボラウイルスが発見されて以来、これまで幾度となく繰り返されたエボラ流行でも 同様の後遺症は散見されたものの、感染者も生存者も少数であったため研究対象にならず、よって、後遺症に関する医学的根拠に基づく結論はない。しかし、今回の西アフリカにおけるエボラ流行はかつてない大規模なもので、生存者も13,000人を数え、そのほぼ半数が職場復帰が出来ないほどの関節痛に苦しんでいる。目の炎症や視力障害は生存者の4分の1に見られ、稀ではあるが失明に至ることもある。判断は難しいが、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会的排除も生存者に大きな影響を及ぼしている。
 
 主な感染経路である血液や吐瀉物にエボラウイルスは21日間潜伏していると考えられているが、生存者の精液や目の粘液に数ヶ月間生存していることも証明されている。それゆえ、生存者の視力障害は、エボラウイルスの長期間に及ぶ目における生存が影響しているのではないか、と研究者は見ている。

 生存者の救済に関し、西アフリカにおけるエボラ流行の長期的な影響は、専門家にエボラウイルスにまつわる多くの謎を解き明かす特異な機会をもたらすこととなる。(高橋雅人 訳)


7日


End Of Ebola? No. Here's Why We Can't Prevent Outbreaks Forbes (米国) エボラ終息?流行を予防できない理由

JV Chamary ( 生物学者、作家)


 未だ西アフリカのエボラ流行は終息しておらず、エボラ根絶への闘いは続いている。今回開発された有効なワクチンがエボラ出血熱を予防し、ワクチン戦略により集団免疫を得られるだろう。 しかし、今回の流行が終息したとしても、来たるべき流行を回避できない3つの理由がある。


1.先進国の無関心
 
 人は、感染性疾患で苦悩する人に共感はするが、一般的に、その感染症が我が身に降りかからない限り心配しない。これは2つの理由から説明できる。
 ひとつは、主観的で心理的な理由として、自らに心当たりがあるように、リスクに対する認識が甘いということ。エボラのアメリカ上陸は事実上阻止できないと分かっていながら、アメリカ人は国内で発生したわずか数例のエボラ感染事例に突き動かされ、西アフリカへの渡航禁止を要求した。
 ふたつ目は、客観的で確率に関係する理由として、その感染症が聞き慣れないものであるため、自分には罹らないと考える。西アフリカのエボラ犠牲者は11,000人を超えるが、マラリアやHIV/AIDSの犠牲者に比べれば少数に過ぎず、自らがマラリアに罹患したことがないことから、エボラにかかるはずがないと思い込む。

2. 製薬会社の利益

 WHOの研究開発部門の理事が、感染症からの救済の緊急性は研究開発を加速させると発言し たが、実際はそうは行かない。
 ウイルス学者のヘインズ・フェルドマン博士(Dr Heinz Feldmann)は、この20年間をエボラ出血熱やウイルス性出血熱の研究に捧げてきた研究者で、西アフリカの大規模な臨床試験で顕著な効果が確認されたエボラワクチンの製作者でもある。
 実は、エボラワクチンは10年前以上前に開発され、フェルドマン博士と共同研究者が動物実験でその効果を証明し、臨床試験の準備を整えたが、臨床試験を実施する資金が集まらず、製薬会社の巨額な開発費に報いる利益還元も見込めないことから、臨床試験は一度も行われていない。

 製薬会社は決して人道支援組織であろうはずがなく、正直なところ、製薬会社は、ワクチンが利益を産まなければ市場参入の価値がないと公言する。大手製薬会社は、病苦に苦しむ少数派を救済する 薬品から巨額な利益を得られないことを知っている。
 
 それではエボラワクチンの開発資金はどこから得られるのだろうか。1976年にエボラウイルスが発見されて以来、25回の流行を数えるが、以前の流行では、米国防総省と国立衛生研究所がエボラウイルスの生物兵器への転用に危惧し数百万ドルをつぎ込んだ。今回の西アフリカの大規模な臨床試験は、生物医学慈善団体ウエルカム・トラスト(the Wellcome Trust)が基金を提供し、新たな基金設立を呼びかけた。今まさに必要なことは、各国政府や慈善団体、産業界からの貢献による世界規模のワクチン開発基金の設立である。

3. ウイルスの変異は止められない

 人に感染するエボラウイルスは、バンディバグヨ・ウイルス(Bundibugyo virus)、スーダン・ウイルス、タイフォーレスト・ウイルス(Taï Forest virus)、ザイール・ウイルスの4株が存在する。今回開発されたワクチンは、西アフリカで現在進行中のザイール株にのみ効果があるが、他の3つのウイルス株には効果がない。
 フェルドマン博士はすでにバンディバグヨウイルスとスーダンウイルスから抽出したタンパク質を用いたワクチンの作製に成功しているが、製薬会社はザイール株以外のワクチンの開発に興味を示さず、臨床試験は行われていない。このことが意味することは、来たるべき流行は回避し難いが、しかし、研究者に臨床試験をする資金さえあれば、ワクチンの製作につながり、感染者数を最小限に抑制できる可能性がある。
 フェルドマン博士が開発した遺伝子組み換えウイルスは、エボラウイルスの変異株から抽出したタンパク質を組み込むもので、理論的に、「最善のシナリオでは、ワクチン完成まで少なくとも6ヶ月から1年を要する」が、「すでにワクチン開発の技術を持ち合わせ、その技法はいたって単純であることから、研究者の協力があれば、かなりな短期間にワクチンが作製できる 」とフェルドマン博士は予想している。 (高橋雅人訳)


Family cluster part of Riyadh flurry of MERS cases CIDRAP (米国、ミネソタ大学感染症情報センター)  リヤドにおけるMERS感染者の一時的増加における家族内感染

 最近サウジの首都リヤドでMERSが突発的に発生しているが、その中の家族内集団感染例について、サウジ当局は発表した。

 リヤドにおける最近のMERS発生は医療機関内と一般社会内における感染が関与している。

 その中で6人の家族からなる一族内で5人の集団発生が起きた。
 最初の感染者は父親で、現在入院中、ラクダからの感染とされる。
 母親は発病後死亡した。2人の息子は入院、もう1人の家族員は自宅に隔離。

 保健省の発表によると、このような家族内発生は以前にも認められているという。


6日
5日


UPDATE 1-Only two Ebola cases reported in past week, but risks remain - WHO Reuters (国際)  WHO - 先週 新規感染者わずか2例、再燃リスクあり


 WHOは火曜日(8月4日)、エボラ感染症のリスクは残るものの、先週のギニアとシエラレオネでの新規例はそれぞれ1例のみであったと公表した。感染者数はここ1ヶ月、週を追うごとに30例、25例、7例と減少し、先週2例となった。

 しかしながら、今後、感染者数ゼロを達成しても、エボラ根絶には数ヶ月間の発生を見ないことが必要で、その間に新規感染事例が発生する可能性も否定できないことから、今後、仮に、新規感染者ゼロを達成しても、それはエボラ根絶に対する非現実的な期待となるリスクがある。今週シエラレオネのトンコリリ郡で新規2例が確認され、1名が死亡、濃厚接触者約600名が隔離観察中とされる。しかも、8月は雨季にあたり、昨年8月に感染者が増加したことを考えると、非現実的な期待は禁物である。
 WHOは先週金曜日、顕著な効果のあるワクチンの開発が進んでいることを公表したが、エボラ出血熱の撲滅には、感染者の発見と追跡調査、迅速な隔離、安全な埋葬が求められる。


WHO: West Africa Ebola Epidemic Could Be Over by Year End Voice of America (米国) WHO、西アフリカにおけるエボラ終息は今年度末と予想される

 WHOの高官は、西アフリカにおけるエボラ終息は今年度末と予想することが現実的で適切な判断であろうとコメント。

 西アフリカにおけるエボラ患者数は週に35人から今週は2人に減少。シエラレオーネとギニアで各1人発生。しかし注意すべきは患者数は突然増えることがあり得ることである。

 WHOはエボラ対策の内容はより適切になっており、この数か月間、医療担当者はエボラ感染の輪の有効な切り方を把握しだしたとコメントしている。


4日

韓国 新たに3人のMERS疑似症患者が出現、66人の接触者に隔離観察を命令 新華ニュース  (中国、日本語版)

 {海外メディアの2日付記事によると、最近、韓国の保健当局は中東から帰国した3人の中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染疑似症患者に対して隔離治療に入り、疑似症患者と接触した66人に対して隔離観察を命じた。

 韓国メディアによると、3人の疑似症患者は最近クウェートなどから帰国した人で、第1回目の検査では陰性反応を見せ、第2回目の検査は3日に行うことになっている。

 韓国でMERS感染は連続して28日間新規感染者が確認されず、22日間連続で死亡者が発生しなかった。5月20日に感染が確認されてから沈静しつつあった。

 世界保健機関(WHO)の提案に基づき、韓国政府は最後の感染患者の全快日から28日間新規感染者が確認されなかった場合、MERS感染の収束を正式に宣言することにしている。}

 管理人コメント:中東帰りの発熱者を感染疑い者として隔離、検査を行っている。陽性である可能性は低いと思う。


MERS余波…旅行収支の赤字、6月だけで10億ドル=韓国 中央日報 (韓国、日本語版)

 {中東呼吸器症候群(MERS)の余波で6月の旅行収支が4年半ぶりに最悪となる赤字を出した。外国人観光客が急減したために慢性的なサービス収支赤字はさらに深刻だった。逆説的に全体的な経常収支はむしろ史上最高の黒字を出した。低原油価格と需要不振にともなう「不況型黒字」との分析だ。

◆旅行収入10億ドル以下に

韓国銀行が3日発表した「6月の国際収支(暫定分)」によれば6月の旅行収支の赤字は10億4100万ドルで前月(4億900万ドルの赤字)の2.5倍に達した。2011年1月(12億9600万ドルの赤字)以降で赤字幅が最も大きかった。

外国人観光客や留学・研修生が国内で使ったお金(旅行輸入額)よりも内国人が海外で使ったお金(旅行支給額)がはるかに多かったという意味だ。2011年1月の旅行収支の赤字はウォン高傾向によって内国人の留学と旅行支給額が急増した結果だった。

6月はMERSの余波が大きかった。外国人観光客が急減する中、旅行収入は前月よりも37.5%急減した9億5400万ドルに終わった。2011年2月(7億6800万ドル)以降で最低だ。

◆一時的な衝撃であっても

旅行収支に運送・建設などを加えたサービス収支赤字は先月24億9000万ドルで、2010年12月(26億5000万ドル赤字)以降の最高値を記録した。サービス収支は1989年の海外旅行の自由化以降、慢性的な赤字の部門だ。

MERSによる内需不振は4-6月期の成長率を前期対比0.3%に引き下げた。韓銀は一時的な衝撃に近いと解釈した。実際にMERS恐怖が徐々に薄れてきた先月末から外国人観光客が再び増えている傾向だ。

だが慢性的な旅行収支の赤字から抜け出すのは難しいという分析が多い。内国人の海外旅行人気が相変わらずである上に、昨年からは円安で中国人が韓国の代わりに日本へと向かい始めた。最近停滞したりしていたが根強いウォン高傾向だった。

サービス収支と商品収支の不均衡はさらに深刻だった。半導体や自動車などの商品輸出から輸入を差し引いた商品収支は先月132億2000万ドルの黒字で、前年同月(66億5000万ドル)の2倍に肉迫した。商品輸入の減少幅(17.3%)が輸出減少幅(2.0%)より大きかったことによるものだ。低い原油価格も原因だが、根本的には需要不振による「不況型黒字」という解釈が多い。

◆経常黒字年1000億ドル超えるか

サービス収支や商品収支・投資所得などを全て合わせた経常収支の黒字は121億9000万ドルに達した。史上最大で40カ月連続の黒字行進だ。1986年6月から38カ月続いたこれまでの最長黒字記録をいち早く達成した。

一部では今年の経常黒字が史上初めて1000億ドルを超えるだろうという展望が出てくる。韓銀の経常収支の黒字の展望値も980億ドルに達する。今年上半期だけで523億9000万ドルの黒字を達成しながらこのような予想に後押しさられている。

大規模な経常黒字は、グローバル経済の衝撃に備えられる武器になるが行き過ぎれば問題になる。国内にドルがあふれながらウォン高への圧力として作用する恐れがある。 }


3日


Ebola Vaccine: The Need to Act Now The New York Times. (米国) エボラワクチン:今すべきこと


 先週金曜日(7月31日)、医学雑誌ランセットに掲載されたギニアでのエボラワクチンrVSV-ZEBOV 臨床試験第3相の暫定結果は、エボラ感染症予防における短期的な安全性と顕著な効果を証明した。
 また、ワクチン接種した人々に限らず、ワクチンを接種していない人々が住む広域な地域での感染者数を減らす効果も確認された。


 今後の臨床試験を通じ、ワクチンの長期的な予防効果と安全性の確立、ギニアのみならず他のエボラ感染地域での治験が求められる。加えて、感染地域で医療活動にあたる医療関係者や、感染者との接触が認められる者へのワクチンの供給も必要である。それには、臨床試験第4相の終了までに、ワクチン接種後の効果期間や長期的な安全性、予防の効果を確実に把握しておく必要がある。
 今回のギニアでの臨床試験は単なる調査にとどまるだけのものではなく、公衆衛生に基づく介入であるという事実を忘れてはならない。今まさに広域な感染地域での臨床試験が求められている。 (高橋雅人訳)


2日

国連エボラ熱支援団、任務終了「画期的な目標に達した」 産経ニュース

 {国連の潘基文事務総長は31日、西アフリカで感染が拡大したエボラ出血熱の封じ込めに向け活動してきた国連エボラ緊急対応支援団(UNMEER)の任務を同日で終了すると発表した。新規感染者が減少傾向にあることを受けた措置。任務は今後、世界保健機関(WHO)に引き継がれる。

 潘氏は声明で「エボラ熱の流行終息への努力は続くが、われわれは画期的な目標に達した」として、UNMEERの活動が事態改善に大きく貢献したと強調した。

 WHOは29日、1週間当たりのエボラ熱の新規感染者が過去1年間で最低となったと発表していた。

 WHOは、エボラ熱の感染拡大が深刻化していた昨年8月、緊急事態を宣言した。対応が遅いとの批判を背景に、潘氏が昨年9月18日、UNMEERの設立を発表した。}

 管理人コメント:西アフリカでのエボラ流行に対する国連の反応は遅すぎたことは明らかで、”国境なき医師団”などが国連総会で訴えたことから国連は重い腰を上げた。WHOの対応も遅すぎたことは、この4月にチャン事務局長がWHO総会で謝罪の意を表した。昨年9月に西アフリカのエボラ流行はピークに達していたが、その後減少に転じていて9月下旬には明らかに終息に向かいだしていた。国境なき医師団等の世界のNPO組織と現地の医療担当者達の懸命の努力が実りつつあった。
 国連の事務総長が自らの組織が事態改善に大きく貢献したというのは詭弁である。
 なお米国のオバマ大統領も9月に入ってから介入し始めたが、それも遅すぎる反応で、実際にはあまり貢献しなかったことは世界の常識である。


有望なエボラ熱ワクチン、試験方法に批判も ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 {西アフリカで臨床試験中のエボラ出血熱ワクチンに非常に高い予防効果がありそうなことが分かった。欧州の研究チームが7月31日、英医学誌「ランセット」に発表した。将来的な流行予防に活用できる可能性が高まっている。

 このワクチンはVSV-ZEBOVと呼ばれ、米国のメルクとニューリンク・ジェネティクスが開発を進めている。昨年、西アフリカでエボラ熱が大流行したことを受けて、ワクチンや治療薬の研究が加速していた。

 世界保健機関(WHO)は英国のウェルカム・トラストやフランスの国境なき医師団などの団体から財政支援を得て、今年4月からギニアで臨床試験を実施。試験は今後も続けられる。

 WHOによると、これまでに約2万7780人がエボラ熱に感染し、約1万1290人が死亡した。

 臨床試験では、エボラ熱ウイルスに接触した人のうち、4123人を接触直後にワクチン接種を受けるグループ、3528人を接触から21日後に接種を受けるグループに無作為に振り分けた。

 その結果、接種から10日目以降の効果について、非常に高い可能性があることが分かった。ウイルスに接触した直後にワクチン接種を受けた人は10日経っても、エボラ熱を発症しなかったが、21日後にワクチンを接種されたグループでは16人が発症した。

 メルクの公衆衛生・科学担当最高責任者、マーク・フェインバーグ氏は「今回のエボラ熱発生の抑制・撲滅に間に合うようにワクチンが開発されることを期待していた」と言い、「この研究はワクチンの有効性を裏付ける有力な証拠だ。この証拠が全ての関係者に最終的なものとして認められるかどうかは重要な議論になる」と述べた。


 舞台裏では、研究の方法論をめぐって議論が続いている。この問題に詳しい関係者によると、米食品医薬品局(FDA)は今回の臨床試験について、科学的な基準を満たしておらず、その結果は統計学的に有意ではないという批判的な論評を準備、ランセットで発表する予定だった。

 しかし、ランセットは31日にFDAの論評を掲載しなかった。ランセットの編集トップのリチャード・ホートン氏とアストリッド・ジェームズ氏に問い合わせたが、回答はなかった。

 一部の米国政府関係者は、研究チームが試験中に手順を変更し、ワクチン接種から10日後の感染例しか評価していないと指摘した。研究チームの1人、ジョン=アルネ・ロッティンゲン氏は被験者の評価は最初から10日後に行う予定だったと述べている。}


1日

 エボラワクチンが成功

Experimental Ebola Vaccine Tested in Guinea Shows Promise, Report Says New York Times  (米国) ギニアで臨床試験されたエボラワクチンが効果を発揮、研究報告が発表

 ギニアで実験的エボラワクチンが臨床試験された。
 7651人が分析対象とされたが、その中の3500人以上が実験的エボラワクチン接種を受けた。
 研究結果は英国の医学雑誌である、The Lancetに発表された。
 結果からワクチンがエボラウイルス感染を予防するのに高度に効果的である可能性が示唆された。
 WHOのチャン事務局長は、良いニュースであるとしているが、同時にワクチンは必ずしも将来の流行を阻止する確実な手段ではなく、監視能力を伴った強力で良い公衆衛生体制に代るものはないと、コメントしている。
 以下略。

Vaccine success holds hope for end to deadly scourge of Ebola  Reuters ( 国際 ) エボラワクチン、ほぼ完全なる臨床的効果が確認:致死的エボラ惨事終焉の期待


 WHOは7月31日、ギニアでのエボラワクチン( VSV-ZEBOV )の試験で100%の効果を認めたと発表した。
 エボラ感染者に接触歴のある4000人の被験者に対する試験は、接種10日後に100%の効果をもたらした。

 今年3月23日にギニアで始まったワクチンの効果と安全性を確認する試験には、「Ring Vaccination(包囲接種)」と呼ばれる、感染者に接触した人のみにワクチンを接種する方法が採用された。
 投与されたワクチン( VSV-ZEBOV )はカナダ保健局が開発し、NewLinxtu Genetics社が認可を受け、Merck社が研究・開発・製造・流通を担っている。
 被験者は、感染者に接触直後に接種を受けるグループと、接触後に時間を空けて接種を受けるグループの2つのグループに分けられたが、ワクチン接種の直後に顕著な効果が認められたため、倫理的理由から7月26日に接触後に時間を空ける接種は中止された。試験は現在も継続されており、今後13歳から17歳と6歳から12歳を含めた小児を対象とする試験も予定されている。

 WHOのマーガレット・チャン事務局長は、この結果は現在の、そして将来的エボラ流行に対する管理体制に大きな変化を及ぼすだろうとコメントしている。


Evaluation of candidate vaccine approaches for MERS-CoV Nature.com  (国際) 実験的MERSコロナウイルスに対するワクチンの評価

 大論文
 米国研究チームによる。多くは中国系研究者。

South Korea may not be declared MERS-free until September Science /AAAS  (米国) 韓国、9月までMERS終息宣言はできないだろう

 WHO定義に基づいた終息宣言は、最後の患者が死亡、またはウイルスが体内から消失して、潜伏期間の倍の期間28日間、患者が出ない状況下で出される。
 しかし現在韓国では最後の1人の患者は検査で未だウイルスが陽性とされている。
 早くても終息宣言は9月初旬の可能性。

 しかし政府は実際的終息宣言を今週初めに出して、韓国社会からMERSに対する不安感を除去する政策に転じた。

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