コロナ第2波、年齢によらず死亡率低下 その理由は? 日本経済新聞



 国立国際医療研究センターは9月30日、新型コロナウイルス感染症で入院した患者を対象としたレジストリ(患者登録による観察)研究の中間解析結果を公表。国内では、第1波の入院患者に比べて、第2波の入院患者では、あらゆる年齢層において死亡率が低下していることが明らかになった。

これは同センターが中心となって進めているレジストリ研究「COVIREGI-JP」に9月4日までに登録された345施設の6070人を解析した結果。6月5日以前に入院した患者を第1波、6月6日以降に入院した患者を第2波とした。

その結果、第1波の入院患者に比べ第2波では、(1)高齢者の割合が低下した(2)入院時に重症だった患者が減った(3)発症から入院までの日数が短くなった──ことが明らかになった。(3)に関しては、発症日が記録されており、かつ、発症日より入院日が遅い症例についてのみ解析を行った結果、第1波では発症から入院まで平均7.6日かかっていたのに対し、第2波では5.1日だった。

入院した症例を、0歳から29歳、30歳から49歳、50歳から69歳、70歳以上で層別化した上で、解析を行った。その結果、第1波の入院患者に比べて第2波では、(1)あらゆる年齢層において、入院時に重症だった患者の割合が低下した(2)あらゆる年齢層において、入院後の死亡率が低下した(3)入院時に軽症または中等症だった症例のみを対象としても、あらゆる年齢層で入院後の死亡率が低下した(0歳から29歳は0%で同率)(4)入院時に重症だった症例のみを対象としても、あらゆる年齢層において入院後の死亡率が低下した──ことが分かった。

入院患者にどのような薬が投与されたかを調べたところ、第1波よりも第2波の方が重症度にかかわらず、ステロイド薬(入院前からの使用などは除く)の投与は増加する傾向が、抗凝固薬の投与は減少する傾向が示唆された。同様に、重症度にかかわらず、ファビピラビル(商品名アビガン)の投与は減少、レムデシビル(ベクルリー)の投与は増加、ナファモスタット(フサンなど)の投与は横ばいといった傾向が示唆された。

さらに、5月31日までにレジストリに登録された2638人を対象として、入院後の重症化因子や死亡因子について解析した。その結果、(1)腎機能障害、肝機能、肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病を有する症例は、入院後に重症化する割合が高い傾向にある(2)心疾患、慢性肺疾患、脳血管障害、腎機能障害を有する症例は死亡する割合が高い傾向にある(3)重症化因子と死亡因子は異なる可能性がある──ことが明らかになった。

今回、第1波に比べ第2波で入院した患者では、重症度にかかわらず、あらゆる年齢層において死亡率が低下したことが明確になった。その理由について、同センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は、「発症から診断までの時間が短縮していることが大きいと考えている。軽症のうちに見つかれば、重症化率は下がり、医療的な介入も早期に実施できる。その結果、重症化率や死亡率が下がる可能性はあるだろう」と指摘。第1波と第2波で流行株のゲノムが変化し、病原性が下がっている可能性について、齋藤翔医師は、「ゲノムの解析は行っていないので、回答を控える」と説明した。

(日経バイオテク 久保田文)