コメント集(2014年10月第4週~)
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11月第1週


参照情報;NBCNews.com 11月19日 エボラ患者の治療費は2人で1億円、ネブラスカ医学センター

 ネブラスカ大学医学センターは米国内に4カ所あるエボラ治療に対応した特殊施設であるが、今回の発表では1人の治療に5000万円要するという。
 西アフリカから特殊医療用専用機を使って搬送する費用も膨大である。

 これまで西アフリカから搬送されて、ネブラスカを含む米国内の専門病院で治療された患者に要した費用は、誰が負担しているのかは不明である。

 ネブラスカ大学の医学センター総長は、国が費用を払うべきとの意見を述べている。


参照情報:産経ニュース 11月17日 エボラ危機で搬送訓練、関西空港到着後の発症想定大阪

 エボラ発生国に1ヶ月滞在後の50代女性が帰国から10日後に発熱し、関空検疫所を通じて府に連絡が入ったと想定し、感染症専用の搬送車を使い、患者の移送や防護服の着脱などを実際に行い、手順を確認したようだ。

 訓練内容で気になるのは、この例は患者と断定されてないと思われるが、もしエボラに感染していたとしても、単に発熱をしたという段階で、感染症専用の搬送車の中に陰圧隔離ユニットの中に発熱女性を収容して、さらにスタッフの防護服着用は過剰ではないだろうか。患者からいかにもウイルスがブンブンと飛び出しているかの印象をあたえる。

 これは対象者がエボラに感染と確認され、症状が発熱の他に消化器症状などを呈すなど進行した患者を運ぶ場合の訓練である。患者から明らかに感染性の吐物や下痢便が見られ、周辺にウイルスが拡散する可能性がある場合である。
 単に帰国後21日内に発熱したという状態での帰国者と、エボラが発病した患者では医学的に対処方法は全く違う。
 発熱しているだけでは感染力はほとんどない。

 発熱しているだけでは疑い例であり、患者ではない。
 H5N1鳥インフルエンザ等は飛沫感染するから、疑い例でも搬送は厳重に行われなければならないが、エボラは飛沫感染しない。嘔吐や下痢が見られる場合は、周辺にウイルスが混入した汚物が飛び散る可能性があるから、十分な予防装具は必要となる。

 搬送訓練と称して、発熱しただけの患者を大袈裟な感染予防態勢で、特殊医療機関に搬送するという光景は、エボラという言葉の過剰な脅威を与える効果しか持たない。

 発熱後1~2日以内なら、救急車または保健所の車で目立たないように医療機関に運ぶか、または自宅隔離のまま、医療スタッフが問診、診察、血液検査を行えばよいと思う。

 西アフリカ帰りで発熱してもエボラでない確率の方が遙かに遙かに高いが、もしこうした事例が、本当にこのような対応を受けたとしたなら、患者自宅周辺ではパニックとなり、検査が陰性と確認されても、患者や家族は周辺から村八分状態となるかも知れない。


参照情報:ニューヨーク・タイムズ 11月12日 西アフリカ外で一般市民へのエボラ感染者はない

 西アフリカ外でエボラ発病者の治療が19例行われてきた。
 3例以外は西アフリカで感染、発病したもので、西アフリカから母国などに航空機で搬送され、先進的医療機関で治療を受けた。
 院内感染で3人の感染者が発病したが、それ以外、一般市民等での感染は起きていない。
 
 ダラスでのリベリアから身内を訪ねていたダンカン氏の場合は、発熱した後2日間は身内と同居、および無防備の医療スタッフと接触していたが、感染者は出なかった。

 院内感染した米国とスペインのナース2人は、微熱が出ていた期間に民間航空を利用した旅行していたが、感染者は出なかった。

 エボラは重体化した発病者からの接触感染でうつるが、重体患者の適切な輸送と適切な院内での対応で感染は防止出来る。さらに重体化する以前の感染者(微熱または無熱)が一般市民と接触していても、感染する率は極めて低いと判断される。


参照情報;毎日新聞他 11月11日 エボラ流行国の滞在者が帰国後発熱した場合は一般医療機関を受診しないこと

 エボラ流行国で感染者に接触しなくても帰国時に検疫に報告しなければならない。
 検疫では21日間体調チェックを行い、発熱などの体調不良が生じた場合、検疫所、保健所に報告してその指示に従うように伝えている。
 発熱等の体調不良(微熱、悪心、嘔吐、下痢)が現れた場合は、エボラウイルス感染の疑いがあることから、直接一般医療機関への受診は避けるべきとされる。
 しかし、もし保健所に連絡したらどのような指示が出されるのだろうか?
 地域の保健所はエボラについてどの程度の知識を持っているのかが気になる。

 いきなり感染予防装具を装着した保健所職員や救急隊員が、自宅に現れても困る。

 一般人がエボラ流行国から帰国後発病することは極めて希に近い。
 帰国後21日以内に通常の風邪などで発熱する確率の方がはるかに高い。

 帰国後発病する場合は感染5~10日後前後が多い。
 エボラが周辺に感染するのは重症化した10日前後である。嘔吐物や下痢便などからの感染が主である。
 たまたま発熱したからといって、強力武装した保健所職員が自宅に乗り込んだとしたなら、結果的にウイルス陰性だったとしても、本人や家族は周辺の人々から警戒の視線を浴びることになる。

 帰国後発熱した場合、検疫や保健所がどのような対応をとるのか、明確に情報を出しておくべきである。
 多分、通常の保健所は過剰に対応する可能性がある。

 発熱したとしても、通常の車で対応病院へ連れて行くだけである。
 発熱だけのエボラ患者から感染することはない。
 またマスク着用も意味はない、エボラは飛沫感染しないからである。

 重要なことは、いつ感染国を出ているか、そして現在の症状の詳細である。
 発熱している場合、いつから発熱したか?発熱2日内以内なら感染は絶対しない。
 米国、ダラスの事例がエビデンスとなる。
 昨夜から発熱、または今朝から発熱は問題なく感染しない。

 感染して2日以上経過し、悪心、嘔吐などの消化器症状が出ている場合は、周辺への感染の可能性があると考え、その場合はスタッフは感染対策を十分行い、陰圧式の隔離室を持った救急車が運ぶ必要がある。
 ただし、ここまで重症化した例が出てくるとは思えないが。

 以上の情報は医師会などを通じて一般病院へも十分周知する必要がある。


参照情報;国内報道多数 11月7日 日本国内でエボラ疑い第2例が報告

 リベリアへ滞在した既往のある男性がリベリア出国12日後に発熱し、検疫所に報告しエボラ検査となった。(リベリアを10月26日出国、11月4日に帰国、7日に発熱)。
 12日後に発熱したということは、エボラの潜伏期間内となり、エボラ感染が完全には否定出来ない。詳細検査が必要となるが、発熱だけの症状ならエボラの可能性は低いが、発熱が続き、さらに消化器症状がでてきたらエボラの可能性が大きくなる。
 現状ではエボラの可能性は否定出来ないということだけで、よしんばエボラに感染していても周辺にウイルスを感染させる危険性は極めて低い。


・参照情報;TIME (米国)11月6日 エボラ戦争の先頭に立つキューバの医学国際主義

 キューバが多くの医療スタッフをエボラとの戦いに西アフリカへ派遣している。
 その秀でた能力と行動力は注目されるが、なぜキューバが国際的医療災害へ多くの医療スタッフを派遣するのかについて色々な見方がされている。

 WHOはキューバの行動を称えている。

「キューバは優秀な医師やナースの訓練で世界的にも有名な国家である」、とWHOのチャン事務局長は9月の記者会見で語っている。
 その会議でキューバの保健大臣は、全ての国にエボラ撲滅を呼びかけた。

 しかし、なぜキューバはエボラ対策に即反応できているのだろう?

 キューバの医学教育は、”キューバ流医学国際主義(Cuban Medical Internationalism)に基づいている。

 キューバの世界的健康危機対応教育は、国境なき医師団の教育システムを取り入れている。

 キューバの医学生が卒業すると、彼らは医療伝導( medical missions)のボランティアとなる機会を選ぶことが出来る。エボラ流行や自然災害が対象となる。
 エボラのような対象に立ち向かう準備のために、彼らは厳しい医学的トレーニングだけでなく、地域の文化や歴史を学ぶ。


 一方、キューバの医療スタッフの海外への派遣を利他的行為ではなく、一種の商品化された政治的行為との見方もあるようだ。
 多くの国が自国民をエボラ流行地に派遣するのを躊躇っている中、キューバは率先して多くの医療スタッフを派遣することで政争の具としているとのコメントもある。
 純粋の好意からか、それとも米国と敵対して、未だ国際的に特異な立場にあるキューバの政策の一つとみるか、色々な意見がある。

 しかしカストロが最近国営新聞で述べている、{米国のスタッフと協力してエボラに対峙出来ることは極めて幸せなことであるが、目的は米国との和平を探す目的からではなく、あくまでも世界平和につながるいかなる事件に対しても我々が出来うる、そしてすべき目的としてである}との意見は非常に説得性が感じられる。

 米国CDCのスタッフがキューバにエボラ会議のために出かけたことを、米国共和党は非難しているが、民主党のオバマ政権が非力になるにつれ、全てが米国主導型となり、それは逆にエボラ対策の国際協力にとってネガティブが効果となるかも知れない。


・参照情報;ニューヨーク・タイムズ(米国)、インデペンデント(英国) 11月4日 エボラ治療の遅れは製薬企業の利益優先姿勢が大きな原因、WHO事務局長

 エボラがアフリカのスーダンやコンゴで見つかってから40年経過している。
 その間、ワクチンや抗エボラウイルス薬の開発は進まなかった。そして今、西アフリカで拡大し、欧米にも感染者が飛び火し出した。

 そうした中、製薬会社は慌てたように治療薬の開発やワクチンの開発に着手した。
 これまで市場として儲けにならないアフリカ限定の感染症に世界の製薬企業は関心を抱いてこなかったが、世界に拡大する可能性があるとなると、それは市場が拡大し利潤につながることになる。
 
 WHOのチャン事務局長は利潤優先型の製薬企業が、アフリカのエボラ熱に関心を抱かなかったことが、未だ治療薬がなく、ワクチンも製造されてない理由であると、激しく製薬企業を責める発言をした。

 ワクチンは来年夏にはグラクソ社などから数十万人分製造される可能性が高い。
 でもそれは誰を救うためのワクチンだろうか?支援に向かう海外からの医療担当者や軍隊のために用意されるのだろう。
 既にアフリカでは推定1万人近い死者がこの9ヶ月間に出ているし、来年夏までは数万人の死者が出るかも知れない(一桁上の数値を出している報告もある)。

 途上国を踏み台にして科学を先取りした先進国は、その科学がもたらしている恩恵を途上国に分け与えてこなかった。

 国連が非力になり、WHOも予算不足の状況で、アフリカのエボラ流行を心から心配してサポートする国は少ない。

 頼みの綱の米国ですら、国民の70%が西アフリカに支援に出かけた医療スタッフの帰国時の21日間の隔離を望んでいる(よしんば感染していても無症状である限り、周辺への感染の危険性はないと頻回に伝えるCDC長官の言葉は、エボラに怯える世論を変える力を「持っていない)。
 すなわち米国民の多くは西アフリカの閉鎖を望んでいるようだ。
 人権侵害でもある。


・参照情報;産経ニュース 11月1日 エボラ対策、理性をもって判断したい

 論説委員の{主張}である。

 米国ではエボラパニックが起きた。科学よりもエボラという言葉に感情的に反応し、それを選挙を控えた議員達が煽った。帰国後の医師がエボラを発症した際の当局の不手際や対策を責めた。そして西アフリカ帰りのエボラ治療支援医療スタッフの21日間の隔離を要求した。
 エボラは無症状段階では感染しない。発熱初期でも感染しない。
 ダラスで死亡したダンカン氏が発熱後も同居した家族、初期に誤診診療した医療スタッフ等から感染者は出なかった。これがエビデンスである。
 しかし米国社会はエボラに対する恐怖から、西アフリカ帰りの人々を全てエボラウイルス感染者と見なすかのように、潜伏期間の最長である21日間隔離せよと叫んだ。
 しかしCDC長官は無症状者を隔離する必要はないと主張し、法廷も隔離を指示した行政機関の誤りを指摘した。

 日本でもやや過剰な政府の動きがある。感染しているかも知れない(無症状者)人の搭乗していた航空機の便名や、検査のために運ばれた病院名を公表した。

 産経ニュースの{主張}には正論が論理的に述べられている。それも分かりやすく。
 このような正論は我が国のマスメディアでは目にすることはない。全て政府に歩調を合わせた、やや過剰な内容を含んでいる。NHKも然り。酷い解説委員が知ったかぶりで画面に向かって説明する。公共放送である。

 無症状期、軽度の発熱期では感染はしないと明確に説明し、感染は症状が進行すると現れる嘔吐や下痢を介して起きる、と明確に述べている。だから症状発現前、さらには元気で動き回れる微熱状態では感染する危険性はほとんどないと説明している。
 こうした科学的判断を社会に広めるのが報道の役割である。

 富士フイルムのインフルエンザ薬がいかにもエボラ特効薬であるかのように説明し、世界的に関心を浴びていると報道し、株価のつり上げを狙う報道機関が多いのには呆れているが、今回のような正論を目にすると思わず我に返り、これは本当に日本の新聞なのかと感動すら覚える。

 多くの新聞記者やジャーナリストにとって非常に有用な記事となっている。


・参照情報;New York Times (米国) 11月1日 エボラに立ち向かう

 タイムズ専属記者がリベリア田舎地帯のエボラ治療施設を訪ね、そこでエボラと闘う医療スタッフと患者の生の写真を撮影、そしてインタビューをして、それらを特集としてまとめてある。

 正しくエボラと闘う人々の実像である。
 ショットだけでもその顔、姿が何を伝えているか、我々の感性を通して伝わる。そして語った言葉の数々。

 ニューヨーク・タイムズは世界に向かって、互いに通じ合える感性を信じ、今、エボラに対して我々がどのような姿勢で対峙すべきかを伝えている。

 国内の報道が無味乾燥な情報を伝えるだけなのに対して、タイムズの報道には人の心の扉をたたく作用がある。
 報道とは何かを改めて感じさせる。

 素晴らしい報道カメラマンの写真集ともなっている。


10月第5週


・参照情報;New York Times (米国) 11月1日 エボラ・ヒステリー 

 ”…我々米国人はウイルスと戦っているというよりも、一部の政治家や無責任なメディアにより煽られた社会的ヒステリーと戦っていると言った方が良い。

 エボラがパンデミックとなることを防ぐ最善の方法は(いかに米国内にウイルスを入れないかということではなく)ウイルス発生の元を絶つことである。すなわち西アフリカでの流行を抑えることである。そこでは数千人が死亡し、さらに数千人が発病している。…彼らは自力では解決できない。世界の援助を以前から求めてきていた…”

 今日のタイムズの論説は、、管理人としてウエブで語ってきた内容と同じであり正論である。エボラは無症状である限り感染しないのである。また発熱だけでも感染はしない。そこから症状が重症化すると(嘔吐、下痢など)、周辺がウイルスで汚染されだし、他人が感染する危険性が出てくる。発熱だけでウイルスがどうして周辺に拡散するだろうか?発熱はあくまでも一つの症状であり、感染するかどうかは症状によってきまる。体からの熱波でウイルスは周辺には出て行かない。エボラは呼吸器疾患でないから、飛沫感染は起こさない。エボラ初期にインフルエンザにも罹患して、咳やくしゃみが酷い例があったとしたら別であるが。

 米国の主要な報道機関は正しい情報を初期から伝えていた。またCDC長官も絶えず正しい情報を発していた。
 にも関わらず、噂、デマ、扇動、視聴者受けを狙うマスメディアの影響の方が、正当な科学による啓発以上の影響を持ったようだ。

 我が国も、エボラ流行国からの変哲のない入国者があった。入国後微熱があり、2,3日隔離されたが、ウイルス検査で陰性であったから解放されている。
 無症状、または微熱程度があったとしても人には感染しない。
 若干の民度の低い週刊誌が煽り記事を出したが、驚くことにNHKも過剰な報道を数日間続けた。

 西アフリカの悲惨な状況をNHKは夏にはほとんど伝えてなかった(今もであるが)。
 しかし米国で感染者が出ると突然ニューストップで報道しだした。今年の3月以来、既にエボラで数千人以上の人々が西アフリカで死んでいるのに、ほとんど情報を発しなかったNHK.。
 同盟国でる米国にエボラが波及するかも知れないと判断したのか知らないが、集団的自衛権に関係すると判断したのか知らないが、米国でエボラ発生以来、エボラ情報をNHKは頻繁に放送に載せている。(これはやはり集団的自衛権の一環か??)。

 そこでは西アフリカという国の説明や状況を伝える報道は一切なく、単に西アフリカと一括りにして、そこから怖いエボラが這い出て米国にも入ったというようなストーリーで語られている。
 西アフリカのリベリア、シエラレオーネ、ギニアはかって米国、英国、フランスの植民地であったこと、植民地が解放された後、十分な経済的、文化的支援がなされてこなかったこと、、そうした国でエボラが流行しだしても、製薬会社は貧しい国相手の薬の製造には消極的であったこと、ましてやワクチンも儲けにはつながらないと判断し、開発に熱心でなかったこと、等、NHKや大手新聞が伝えただろうか?米国のタイムズやポストにはそうした内容の論説は何回か載った。

 9月に入って米国で感染者が見つかってから、これは国際的に金になると判断した製薬企業は実験的治療薬やワクチンの製造に積極的になった。米国政府も積極的に後押ししている。やっと動き出した国連も口ばかりではあるが、大きなかけ声を韓国人総長は発している。米国の場合、世界に派遣した軍隊をまず守る必要があるし、国内で拡大した場合に備える必要を感じだしたからだ。

 しかし多くの視線は未だ西アフリカに向いていない、
 多くの医療スタッフと施設、医療用具が未だ全然足りていないのだ。

 今、エボラの本質と対策のための本質的課題を世界に伝えるのは、米国や英国の国際的報道機関だけである。

 国内で知ったかぶりして放送で解説する解説者は、エボラが日本にとって脅威であるとかないとか、そうしたローカル的テーマでしか捉えない。

 エボラは直に克服されるのは自明である。
 その過程で日本はどのような関わりを持つのだろうか?
 米国の億万長者達が提供している金額よりも少ない支援金、キューバから派遣されている医師達の十分の一にも足りないボランティア、または国から高給を支給されている医師達がわずかに出向いていたり、出向こうとしている。

 長い歴史の流れの中で見ると、現状の日本は未だ1900年初頭から本質的に脱却できていない。自己本位的富国強兵の時代。
 日露戦争や日清戦争で勝利を収め、それを大々的に報道したマスメディア。そうした時代に回帰するのだろうか。


・参照情報:NHK 10月31日  エボラ指定医療機関 82%が「準備不十分」

 9月上旬には日本での体制は大丈夫であろうか、と当ウエブで何度も問い続け、米国で初のエボラ患者が確認された際も、ダラスの病院での急患室での誤診、混迷する接触者調査等を掲載する中で、絶えず日本でもいつか発生することは間違いないが、対応は十分出来るのか、ウエブで問題を提起していた。

 それが2ヶ月遅れでNHKが調査して指摘している。

 先の新型インフル騒動でも、報道機関の本質を極めてない情報発信が相次ぎ、国内が非科学的、かつ古い慣習に基づいた情報で氾濫した。

 現在、日本の各地の保健行政担当者がエボラなる感染症をどの程度理解出来ているか、それも調査すべきである。

 ・エボラ熱とインフルエンザの違いは?
 ・両者の感染性の違いは?
 ・一般社会でどちらがより危険か?
 ・エボラ感染者は周辺にウイルスを感染させるか?
 ・エボラ患者はどのような状況で確認され、それはどのように対処されるべきか?
 ・発症前のエボラ感染者は周辺に感染させるか?
 ・無症状の感染者は検査で確認出来るか?

 さぁ、厚労省や地方の保健所に聞いてみよう!!


参照情報;ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト 10月30日 リベリアで感染者数減少に転じた可能性

 WHO発表によると;
 遺体埋葬数、検査で確認される数、一旦ウイルスが消えた地域(感染者が発生しなくなった地域)での再発など、数値が減少している。
 リベリアでエボラが流行し始めてから初めての減少とされる。

 これは西アフリカのエボラに関して初めて聞かれる良い情報である。
 今後さらに減少傾向が同国、他の国でも認められ出したら、エボラは終息への過程に乗り出したといえる。


参照情報: 毎日新聞 10月29日 エボラ出血熱:オバマ氏、強制隔離批判 治療環境整備を強調

 無症状のエボラ感染疑い者を隔離することの意味はあるのか、と問われれば医学的にはノーである。特に西アフリカでエボラ施設で働いて帰国した医療ボランティアを、そのまま21日間隔離するという当初のニューヨーク州の対応は異常だった。今は、自分の判断で自宅などに21日間自己隔離の方法がとられている。エボラは発熱などの症状が出ない限り、人への感染性はない。

 新型インフルエンザやSARS
、および中東呼吸器感染症(MERS)のように、呼吸器感染を起こし、咳やくしゃみ等で周辺に飛沫感染を起こす感染症、そして潜伏期間内に気道から飛沫と共にウイルスが飛散する呼吸器系感染症エボラは本質的に異なる感染症である。その本質的差を理解せずに、全て一緒くたにしてしまって世界的パンデミックを起こし得る感染症として捉えるところから全ての誤解が発している。

 エボラが感染し出すのは発病者の体内中でウイルスが増殖しだしてからである。特に消化器症状が始まり、大量の嘔吐、下痢が始まるとそこからウイルスが体外に排出され出す。
 患者のこういう状態は医療機関の隔離室またはICUに収容されてから起き出す。故に治療にあたる医療スタッフが感染しやすい状態になる。医療スタッフの予防装具の種類、作り、脱着の方法、脱着後の処理方法等が厳密になる。

 多少の発熱があっても、通常通り生活が出来る状況なら周辺に感染はしない。
 現実にダラスで死亡したダンカン氏が発熱してから同居していた家族、発熱したダンカン氏を診察し誤診した急患室の医療スタッフ他は、誰も発病していない。
 また本日アトランタのエモリー大学付属病院を退院したナースは、ダラスのダンカン氏の治療チームに加わっていたが、業務を終えた後(ダンカン氏が死亡)、微熱があったが民間の航空機に搭乗していた。ダンカン氏治療の過程でエボラが感染していたのはその後判明している。しかし搭乗した民間の航空機内の乗客からは感染者は出ていない。

 要するにエボラは致死率が高い怖い感染症ではあるが、呼吸器感染症ではないため、潜伏期間中には周辺に感染することはないし、発病初期にも呼吸器症状がないことから飛沫感染を起こさない。
 過剰に不安が煽られるのは”エボラ”という言葉のせいであることを理解すべきである。
 ニューヨークやニュージャージー知事が西アフリカで医療行為に従事してきたボランティアを病院に21日間隔離するという方針を打ち出したのは、正しく社会の感覚的脅威を抑えるための非科学的対策であったと考えられる。
 
 先の羽田で確認された微熱のジャーナリストの件も、やや非科学的判断が働いた報道がテレビなどで見られたようだ。
 よしんばジャーナリストがエボラ陽性だったとしても微熱程度の病期では、機内でも屋外でも感染性はないのである。そうした科学的事実を専門家は明確に報道を通じて情報を発する責任がある。米国のCDC長官は孤軍奮闘に近いくらい正論を吐き続けてきたし、それは正しかったはずだ。

 リベリアから戻った国境なき医師団の医師が入国後に発病しても、それはアンラッキーということであり、彼には責任はないし、無症状の間に地下的に乗ったりボーリングをしたことは責められない。彼は日に二度体温を確かめていて、発熱を確認してから医療機関に連絡し隔離された。全ては正しい行動であった。
 それを非科学的に判断したニューヨーク他の知事は、西アフリカで患者に接していたいた医療スタッフは帰国顔21日間病院隔離しなければならないと決定した。

 そうした対策に、WHO、CDC他の専門家とオバマ大統領が強硬に反対したのは正しい。
 医科学的判断はこれまで得られたエビデンスに基づくべきなのだ。

 日本は誰が陣頭指揮をとる責任者なのか曖昧であるが、科学的エビデンスに基づいて対応し、またマスメディアも科学的エビデンスを学んだ上で報道するのか気にかかる。


参照情報:USA TODAY  (米国) 10月29日 米国のエボラ生存者は、充実した支持療法が効果を奏した可能性

 大量に失う体内の水分(1日数リットル)、それの伴った多くの電解質の電解質も失い、心機能や腎機能が低下して行く。さらに出血。
 近代的病院でも、より最新的設備を要した病院でエボラ治療が行われると、8割以上の患者は助けられる可能性を米国は示している。
 8人治療し、1人が死亡。死亡したダンカン氏はダラスの大病院であり、エボラ治療には十分対応できているが、そのレベル以上の病院に患者は収容されている。
 アトランタのメモリー大学付属病院、ネブラスカのオマハ医学センター、国立衛生研究所。

 こうしたレベルに匹敵する病院は日本にいくつあるのだろうか?
 東京都内、成田周辺、大阪、さらには国際便が発着する空港周辺に必要だ。


参照情報:国内報道各社 10月28日 カナダ男性はウイルス陰性と確認。
 詳細は発表されてないが、現時点ではウイルスは検出されなかったと発表。

 検出機器の精度は分からないが、男性がウイルス感染していた場合、未だウイルス量が少ないため陰性と判断された可能性もあるため、数日間の症状の進展具合と、再度の検査が必要と考えられる。

 なお男性はカナダ国籍のフリージャーナリストとされるが、今後、このような例は時折現れると思われる。
 西アフリカの状況を調査に出向くジャーナリストや支援団体の人々が、エボラに感染していなくても検疫で詳細にチェックを受けたり、またエボラ以外の原因で発熱や下痢症状を呈している場合もある。


参照情報;NHK他国内情報 10月27日: リベリアから帰国したカナダ国籍の男性が微熱を呈し、隔離検査へ

 リベリアに8月から10月18日まで滞在したフリージャーナリストが10月27日羽田空港で入国。入国時の検査で37.7℃の微熱があったため、エボラが疑われ国立国際医療センターへ隔離、そして血液検体を国立感染研へ運んだ。
 微熱程度の症状なので、もしエボラとしても周辺に感染の危険性は非常に低い。
 他に症状は出ていない。
 感染していたとして、最長の潜伏期間は10月18日に感染したとして11月8日頃となる。


参照情報;CNN (米国) 10月27日 ;アフリカ帰りのナース、ニュージャージーの規則で空港から隔離。「隔離されている状態は許されないし、基本的人権が剥奪された思い」

 ニューヨーク、ニュージャージー、イリノイの3州の知事が、公衆衛生当局に相談することなしに、ニューヨークのJFK空港に西アフリカでエボラ診療を行っていた国境なき医師団の医師が帰国後数日してエボラを発症したことから、西アフリカでエボラ患者に接した医療担当者は帰国後3週間隔離する指示を出した。

 その第一例となったニュージャージーの空港に降り立ったリベリアで働いていきた国境なき医師団のナースは十分の説明もないままに空港から隔離された。
 ナースはまるで囚人のような扱いで、とても耐えられないと語っていた。
 ナースは次のように声明をCNNの番組に出している。
 「この状態は非常に極端な行為であり、また現実的に受け入れることは出来ない。自分の人としての基本的権利が奪われたように感じる」
 ナースはCNNの番組でそのように話した。

 しかし我々日本人もよく思い出してみると、2009年春の新型「インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が発生時に、水際作戦を行い、何人かの修学旅行を成田近くの指定隔離病院に閉じ込めた経緯があった。
 そのとき担当した医師は、子供達は家族とも面会できず、単に電話でしか話せず、まるで刑務所と同じで可哀想だったとメール伝えてくれた。
 あの頃(5月)、豚インフルエンザは通常の季節インフルエンザよりも軽症であり、国境でチェックの必要はないとWHOではいっていた。また潜伏期間ないの無症状者は検疫ではチェックはされなかった。

 その後、ニューヨーク州知事は、スタッフの帰国後21日間の病院隔離は廃止し、自宅での隔離に変更した。

 あまり科学性のない判断が続いているが、全ては突然ニューヨークに帰国した医師がエボラを発病したことからの混乱した判断である。知事がマスコミ、市民世論、医療機関から対策の強化(ニューヨーク市内に広がらない)を求めらた結果、公衆衛生専門家の意見を聞かずに独断で判断したようだ。
 正しくダラスパニックに引き続く、ニューヨークパニックが始まっている。CDCは当初から反対していたが、米国社会のエボラの亡霊に振り回される市民や議員達の圧力で、知事が独断での判断だったようだ。

 さて東京パニックは起きるのだろうか?


・ 参照情報; New York Times (米国)  10月26日 ニューヨークのエボラ患者、深刻な病期に入った、当局が発表

 ニューヨーク市Bellevue Hospital Centeに隔離されているスペンサー医師。
 当局は同医師が、次の病期であるより深刻な身体症状を呈し始めたことを発表した。
 大量の下痢と嘔吐を主とする胃腸症状が始まったようだ。
 下痢は一日に数リットルの水分を失う。適切な水分量と電解質を補わなければ、腎不全と心不全、さらには他の臓器障害が起きる。

 エボラの病期で最も深刻な症状は今後さらに出血症状がでることでピークとなる。
 そうしたいくつかの深刻な身体症状を十分な支持療法でコントロールし、次第に体内の免疫力が活発化し、エボラウイルスに対する抗体が産生されてくるのを待つ。発病後2~3週間は要するとされる。

 エボラは西アフリカでも2~3割の回復者がいる。経口的に大量の水分を補っているようだ。また補液が可能な施設では十分とはいえない量の補液も行われている。
 近代的施設の整った病院なら、さらに治癒率は高いと考えられる。


10月第4週


参照情報:Reuters (国際)、Houston Chronicle (米国) 10月24日  国境なき医師団の医師、ギニアでエボラに感染、ニューヨークに帰国後に発病確認

 国境なき医師団で働いていたコロンビア大学の国際的感染症危機の専門家でもあるスペンサー医師がギニアで感染。
 感染予防装具、方法は盤石であったと考えられる。 
 17日に帰国し、23日午後に高熱を呈した。
 この1週間にニューヨーク市民が感染した可能性は状況から考えて極めて低いが、ニューヨーク市長も、同様のことをコメントし、パニックが起きることを懸念している。
 なお医師は帰国後日に2回体温を測定し、体調の変化には注意していたとされる。
 現在、婚約者と友人2人が隔離されている。

 大都市ニューヨークでの発生であるから、これは結構な騒動になりそうだ。
 市当局は接触者調査をどの範囲まで広げるかが問題であるが、エボラ自体、重症者の体液に触れない限り簡単には感染しないという事実もあることから、判断が非常に難しくなる。

 また国境なき医師団の医師で、また感染症専門家でもある医師が感染するという事態は、多くの憶測を呼びそうだ。

 基本的にエボラは発症前には感染しない。発病初期でも感染しない確率が高い。
 現場の医師達が対応する患者は重症でかつ末期にある場合が多く、体内には大量のウイルスが存在し、それ故些細なミスで感染するのだろう。


参照情報;ニューヨークタイムズ(米国)10月24日  億万長者、ポール・アレンがエボラ対策に100億円を寄付
 ビルゲイツと共にマイクロソフト社の共同創立者であり、その後退社して様々な企業経営に成功してきたポール・アレン氏は、エボラ支援のウエブサイトで一般市民に小さな援助を求めてきていた。今回は100億円の寄付を行ったが、先にビル・ゲイツは同氏の財団から50億円を寄贈している。

参照情報;ニューヨークタイムズ(米国)10月24日  ギニアからの帰国医師が発熱

 ”国境なき医師団”の医師がギニアでの業務を終えて10月14日帰国。23日から発熱し、ニューヨークの病院に隔離された。
 経過から考えてエボラ発症の可能性があるが、国境なき医師団の感染予防主義は厳しいことで知られており、今回改定したCDCマニュアルも参考にしているほどである。
 現在接触者調査が行われているが、同医師の感染が否定されることを祈るが、結果は1,2日後に発表される。


参照情報;Reuters (国際) 10月23日 推定死者数15000人を越える、WHO

 WHO、エボラ死者数4877人と発表したが、実際の数は15000人を越えると予測している。WHO統計は各国からの情報に基づいているが、シエラレオーネ、リベリアでは十分感染者数や死者数は把握されてないのが現状のようだ。当局の係官が各家庭を訪ねるなどの作業を行わない限り詳細は掴めない。
 感染者数と死者数は対数的に増えているので、健康な人口数の把握も出来ない可能性がある。


参照情報;Boston.com  (米国) 10月23日 

 世界のエボラ発病者は9936人(5日間で720人増加)、死者数は4877人(5日間で322人増加)。


参照情報;ニューヨークタイムズ(米国)10月23日 米国、西アフリカからの入国者全員に21日間の体温測定報告と滞在先連絡の報告義務を課す

 この方法は米国内にエボラウイルス侵入を防ぐ方法としては理論的にベターではあるが、多くの問題が生じる。もし西アフリカ以外の西欧国、またはアジアの日本を含めた国で流行した場合はどうするのだろうか?多分西欧では流行しないという前提のもとの規則であろうが、西アフリカ人に対しての差別化につながる。また国内でも黒人に対する警戒感が強くなる可能性もある(どの黒人が西アフリカから来て3週間経っていないのか不明)。まさかそのうち西アフリカからきて3週間経っていない人々は、ワッペンを貼ったり、首から認証カードをつるす等ということにならねばいいが。
 日本を含めて世界各国が米国の方針をまねするのだろうか。

 もし米国で流行したならどうするのだろう。特に日本は?


参照情報;ニューヨークタイムズ(米国)10月22日 数千人の医療スタッフがエボラ感染予防装具の使い方を指導される
 
 唐突的とも思われるが、これも米国のエボラパニックの余韻かも知れない。しかし改めて正しい予防装具の使用方法を指導されることは、決して意味のないことではない。これまでのCDCガイドラインには不備があり、改訂ガイドラインに沿った指導が行われた。 
 一方、我が国ではどうなっているのだろうか?


参照情報;The Guardian (英国)10月22日 ZMappの大量生産が可能となり間もなく大量出荷に
 
 エボラに対する実験的治療薬は数種類以上世界で開発されているが、ZMappはその中でも効果が確認されている数少ない実験薬である。
 早期に使用することでほぼ間違いなく効果を発揮するエボラウイルスに対するモノクローナル抗体製剤。その作成方法が変更され大量に製造可能となったようだ。この数週以内に出荷されるようだ。非常に強い武器を世界は手にできる。
 日本の富士フイルムが開発したインフルエンザ薬のファビピラビル(アビガン錠)は、既に大量在庫していることから提供しやすいが、米国では使われておらず、またWHOもサルの治療実験で効果を認めてないことから推奨してない。いつでも提供可能ということでヨーロッパで何例か使われたが、支持療法(補液、輸血)が効果を持ったこともあり、薬自体の効果は定かではない。近々臨床試験が行われるとされるが、数値が大きく動いたのは株価だけである。


参照情報;ニューヨーク・タイムズ、CNN 10月22日:米国とスペインのエボラ治療中の患者2名が治癒と宣言
 
 米国ネブラスカの病院で治療中だったフリーカメラマンが治癒し退院。スペインマドリッドの病院で治療中だったナースが検査でウイルスが陰性化したことが確認された。
 これで現在エボラで治療されている患者は欧米ではいなくなった。
 西アフリカで感染発病した患者からの二次感染は起きたが、現在まで三次感染は起きていない。重要な事実である。米国では相当数の接触者疑い者がリストアップされたが、全て陰性であったことは重要な事実となった。



参照情報;ワシントンポスト(米国)10月21日 リベリアのエボラ患者の消息が把握されてない悲惨さ

 リベリア、多くのエボラ患者が医療施設に収容されても、死亡が相次ぐことや、ベッドの問題で他施設に移動したりして、入院後の患者の足跡が不明なケースが多い。家族は写真を携えてエボラ患者収容施設を訪ね歩く。施設では患者が死亡しても家族に連絡する余裕がなく、次々と埋葬している。それを知らずに家族や友人達は患者を捜し歩いている。
 ワシントンポスト、ニューヨークタイムズは、西アフリカの状況を頻繁に伝えている。特派員やカメラマン(フリーかも知れないが)が現場を取材しているからだ。彼らは戦場カメラマンと同質かも知れない。
 その点、日本の報道はあまい。西アフリカのエボラ流行の本質を伝えていない。それは残念なことだ。あの世界的戦場カメラマンの岡村昭彦がいたら、西アフリカに乗り込んでいたのかも知れない。
 国境なき医師団長のリュウ医師は語っている。シリア等の戦場の方がまだよい。砲弾が飛んでこないときに休むことが出来る。しかしエボラ治療施設では絶えず気が休まることはない、油断すると感染するからだ。


参照情報;ABC News  (米国) 10月21日 ナイジェリア、エボラ終焉

  アフリカで最も人口が過密なナイジェリアでエボラ流行宣言が行われた。
  20人の発病者が出たが、8人の死者に終わった。致死率4割。他の国が7割を超している中で最も低い。
  徹底的な接触者調査と隔離が奏効したようだ。
  発病者には大量の水分補給が行われ、1日5リットル必要で、飲むということが相当大変な状態だ。完全に予防衣をまとって患者に頻回の水分を与える労力は想像を絶する。回復した医師が語っているが、口も喉も痛くて飲むことが非常に辛く、それは体力を失い、飲む意欲も失せていても、がんばり続けて行わなければならない。
 完全に感染予防の施された先進国の医療機関であれば、補液という手段で水分補給は行われる。しかし重症エボラ患者を粗末な施設内で治療を行っている西アフリカのエボラ流行地では、補液どころか、頻回に大量の水分を与えることすら難しいのかも知れない。


参照情報:New York Times 10月20日 ダラスパニックの終焉
 
  ダラスにおけるエボラ患者ダンカン氏との接触した疑いのある人々は親族も含めて、感染危険性のある接触後21日間を経過した。初診時無防備で診察し自宅に帰した医療スタッフも感染しなかった。
 患者(死亡)ダンカン氏と同居した親族4人、診察医療スタッフ達、その他発熱してから接触した可能性ある人々数十人は、全て感染しなかった。
 感染したのはダンカン氏の治療に参加したナース2人。

 なぜ無防備でダンカン氏と共に住んだ人々や、当初診察した医療担当者が感染せずに、感染予防装具を身に着けたナース2人が感染したのか?
 答えはダンカン氏のその時点における病状の違いである。上記表にまとめてあるが、発病初期まではウイルス量は少なく感染する可能性は低い。しかし発病後期になると体内のウイルス量は多く、汗を含む体液からウイルスは大量に外に出てくる。
 初期の感染者に対する感染予防は比較的簡易でも安全といえるかも知れないが、感染後期にある感染者に対する予防対策は相当厳重にする必要があることが、今回のダラスの事例でも確認された。
 このことは発熱した当初の患者がいても周辺への感染性は低いと考えられる。

 ダラスにおけるエボラパニックは終焉を迎えた。それは多分米国内におけるエボラパニックの終焉にもつながるように思われる。


 ・参照情報:産経ニュース 【エボラ出血熱】政府、西アフリカへの自衛隊派遣の検討着手 緊急医療チームなど  10月19日
 
 9月上旬、国連、国境なき医師団などが、エボラが拡大する西アフリカへの支援をおこわなければ、西アフリカは立ち直れなくなるとの緊急発表を行い、米国他の国際支援を求めた。でもその時点では西アフリカでのエボラ流行は完全に制御不能になっていた。
 また4月には既に国境なき医師団が制御不能とのWHOへの報告、それを知っていたWHO内部のスタッフがWHO高官に送ったとされるメモの存在がAP、AFPから暴露。
 9月まで動かなかったWHOと国連。
 そうした事実がありながら、国連総長は現在各国に支援を呼びかけている。

 自分たちに火の粉が降りかからない間は見て見ぬふり。
 火の粉が降りかかりそうになったら、もっともらしく人道的支援が重要と大声出す先進国。

 9月、かっての米国の奴隷達の子孫が建設したリベリア共和国。過去にノーベル平和賞を受賞した大統領が、やはり過去にノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領に支援を懇願した。それらから米国は動き出した。米軍兵士の派遣など。

 今、我が国は動き出したが、その緩慢さはどうなっているんだろうか。国立感染症研究所のスタッフがシエラレオーネに視察にゆくとされるが、あっと驚く話である。シエラレオーネの地獄図は8月に頂点に達していたはずだ。
 後手後手に回っている米国ですら、CDC長官は自ら西アフリカの現状を見て回ったのは数週間前である。日本の反応は完全に一ヶ月遅れた。これが安倍政権のいう積極的平和主義なのであろうか?彼の血筋の中の首相もかってノーベル平和賞を受賞した。


参照情報;USA TODAY 10月19日

 WHO内では西アフリカでのエボラ流行が拡大の一途を辿り、制御不能になる可能性をスタッフの一部が指摘していた。そのメモ(正式なコメントの草稿)が海外通信社が入手して公開した。早期から西アフリカのエボラ対策を強化すべきであったにも関わらず、それを無視していたWHO。現在、懸命に各国に支援を呼びかけているが、なぜか空々しい雰囲気が漂う。国境なき医師団は4月の段階でWHOに状況が極めて悪いことを伝えていた。WHO本部はジュネーブという風光明媚な場所にあるため、高官達は途上国の地獄絵図には目を向けなかったのだろう。
 今すべきは、各国首脳、国連総長、WHO事務局長、世界銀行首脳などが、西アフリカの現状を視察し、そこで対策会議を開くことである。
 大都市の高級ホテルで集まって、現地からの報告を聞くだけでは、心には何も伝わらない。人道支援は論理ではなく感性なのだ。

中国でH7N9鳥インフルエンザに2人が感染し、1人が死亡したことが発表された。死亡したのはウイグル自治区の女性であるが、もう1人は北京の少女である。いよいよ鳥インフルエンザのシーズンが近づいてきたが、このH7N9鳥インフルエンザウイルスは、もしかしたら中国本土の家きんの間で風土病化してないのだろうか。家きんでは無症状で、感染した人だけが症状を呈し、それも中高齢者では重症化する。ウイルスの変異によってはパンデミックあり得る。要注意だ。この冬に日本へ拡大すると、日本はエボラどころではなくなる。感染した鶏を見つけるのが至難のワザだ。人が発病して初めて周囲で家きんがウイルスを保有していることが分かる。まだ日本には来てないと思うが…。