世界的拡大を秘めるエボラ出血熱の状況 
2014/10/4   by T.Tono-oka 
管理人の考えを記載しているので参考にしてください。転載は不可。
感染者数8399人以上、死者数4033人以上(西アフリカ、2014年10月8日)
(完全改訂)エボラは接触感染と飛沫感染、さらには蚊によるウイルス伝搬の可能性もある(いわゆる蚊による媒介感染症との表現は妥当ではない。ウイルスが蚊の中で増殖していることが証明されているのではない)。
 完全に感染様式が分かっていないだけ危険な感染症である。発病者の身体に触れることで、汗(ウイルス量は少ないとされる)や嘔吐物、下痢便等からウイルスが接触者の手指や身体に付着し、それが経口的または経呼吸器的に侵入して粘膜からウイルスが侵入する。または嘔吐物や下痢便が飛沫して同様の感染を起こす。さらに感染者や発病者の血液を吸ったが周辺の人間を刺すことでウイルス感染が起きている可能性も高い。エボラウイルスは数個の粒子で感染が成立するとの報告もあるようだ(エビデンスは明確ではない。実験的証明が困難)。
 患者の早期発見と隔離が十分に行われる限り拡大はしないと考えられてきたが、実際の感染様式には不明な点が多いため、今後は我が国も含めて先進国ではウイルスの拡大に十分警戒する必要がある。また発病者が叫んだり話をする際に、飛散される唾液による飛沫感染の可能性はあり得る。

感染源は患者の血液と体液であり、呼吸器からの飛沫感染または空気感染が無いと考えられることから、先進国では十分な対策を講じることで流行は防止可能と考えられている。米国CDCもWHOもアフリカでの流行から世界への流行する可能性は極めて低いと表現していたが、現在はその可能性の低さはそれほど強調されていない。日本も含めて感染者が入国し国内で発病することはあり得る。その水際で阻止できなかった(見逃した)場合、周辺で感染者が発生することはあり得るし、それが医療機関で起きた場合は10人以上の感染者が出ることもあり得る。

・感染地域を旅行してきた場合、検疫で留められる。その後3週間の健康状態が監視されるべきである。 もし国内で発病者に無防備で触れることがあった場合は、周辺に感染者が発生する

潜伏期間は2~21日とされているが、発病前には周囲への感染は起こらないと考えられていて、発病しても症状が軽い段階では感染する可能性は低いとされる(体内のウイルス量が関係、血液や汗、などの体液中にウイルスが存在。呼吸器からの飛沫感染がないことが、インフルエンザやMERSのように周辺に容易に感染を広げない理由と考えられる:管理人)。そのため発病者に対する適切な対応で感染拡大が防止できるとされる。

潜伏期間中に出国し、航空機内で発症し機内で感染を広げる可能性はあり得るが、空気感染はないことから、他搭乗者と接触をしない限り、感染者は出ない。発病した搭乗者に対するキャビンクルーがその対応に十分気をつける必要がある。発病者を動かすのではなく、周辺の搭乗者を移動させる。発病者に接触するキャビンクルーは、感染防御服、ゴーグル、グローブを用いて、患者との接触は最低限とする。
 なお機内におけるウイルスの空気感染が起こりにくいことは次の事実でも説明される。機内ではHEPAフィルターを介したエアーが上下の層流となって流れているので、前後方向へのウイルス伝搬は起きることはない。前後1列の範囲内で感染は起きえるとされているが、実際H1P1パンデミックインフルエンザの際にも機内での感染者はほとんど出なかった。

治療薬は実験的段階のモノクローナル抗体ZMapp。日本の富山化学が開発したインフルエンザ治療薬アビガンが効果を持つ可能性が指摘され、米国で緊急に承認予定。ZMappは2人の米国人とスペインの神父に使用されたが、スペイン人神父は死亡した。75歳という高齢が影響していた可能性はある。その後リベリアで3人の医師に投与されたが、1人は間もなく死亡した。

・8月12日にWHOの医療倫理委員会は、人での臨床試験を行っていない実験的エボラ治療薬の使用を認める決定をした。しかし9月中旬段階では、実験薬の具体的使用推奨はなされてない。

・9月8日、WHOは回復者からの輸血または血漿、または血漿から分離した抗体等の利用を積極的に行うべきであると専門家会議で決議されたと発表した。

・カナダ政府は実験的段階にあるエボラワクチンの西アフリカへの提供を発表した。

・中国政府は8月14日、エボラ迅速キットの製造が行われていることを発表し、必要ならアフリカへの提供を申し出ている。

コンゴ民主共和国でもエボラ流行が発表された。流行株は西アフリカで流行中のザイール株ではなく、スーダン株や他の株とされ、西アフリカの流行とは関係のない新規流行と考えられている。

・日本、ファビピラビルをナイジェリアに2万人分提供予定としたが、WHOでは推奨していない。サルでの投薬実験では6匹中1匹しか生存しなかったとの報告がある。

・米国でグラクソスミスクライン社製エボラワクチンが女性2人で臨床試験。

・リベリアの感染者数が対数的に急増、収容ベッドが完全に不足。

・9月初旬、WHOと国境なき医師団は西アフリカにおけるエボラ拡大は完全に制御不能となっていると発表した。

・9月12日、ニューヨーク・タイムズは、米国の専門家の多くが、有効な対策が取られない場合、エボラ流行の終息には1年から1年半は要し、それまで数十万人の感染者が発生し、その半数以上が死亡する可能性があると予想していることを報道した。これは8月にWHOがは発表した終息まで9か月は要し、それまで2万人の感染者が発生するとの見通しは大きく超えた。もっともWHOは9月に入ってから現段階では制御不能との絶望的観測を発表している。

キューバ、10月初旬に165名の医療専門家をシエラレオーネに半年間派遣と発表(9月13日)。

・米国指導的感染症専門家(ミネソタ大学オステルホルム教授、エボラウイルスが変異して空気感染する可能性を指摘(9月12日)

オバマ米国大統領、西アフリカのエボラ支援対策を拡大強化することを発表(16日)。
  3000人の米軍兵士-物資、人員輸送など(司令部はリベリアの首都モンロビア)
  100床ベッドを持つエボラ治療施設17カ所設置(リベリア)
  公衆衛生教育が週に500人可能な体制
   ホワイトハウス 広報

国連安保理、エボラ流行封じ込めのための強力な世界的対策を決議(18日)

ギニアでエボラ啓発中の保健チームが村人に襲われ8人が殺害される(17日)

シエラレオーネ、3日間の国内封鎖(19~21日)。

・国連会議;オバマ大統領、世界的支援の緩慢さを批判、日本44億円相当の支援を発表(25日)。

キューバ461名の医師団を派遣準備。最終的に15000人の医療担当者を派遣予定(9月26日)

・米国、ダラスでリベリアからの旅行者がエボラ発病(10月1日)

日本への感染拡大は現在のところ可能性は非常に低い。発病者の来日の可能性も低いが、決して否定は出来ない。