ジカウイルス関連疾患群
by TONOOKA 2016/4/09
ジカウイルス感染症の多様性-神経親和性から来る多彩な疾患群の形成

 ”ジカ熱”はジカウイルス感染による全身性の急性期炎症反応の一種であるが、同時に、または経過中、さらには急性期後にウイルス感染による神経組織障害の多様性ある疾患群が形成される。
 そこで発現される症状は”年齢によって異なり”、神経組織が発達途上段階にあるほど、障害症状が出てくる。そうした意味では今後、発達期の小児感染が増えてくるとどのような障害が出現されるか大いに危惧されるところである。
 ジカウイルスは数十年前アフリカで見つかっているが、その時点のウイルスから現在の南米のウイルスは変異していると考えるのが妥当と考えている専門家は多い。
 現在のウイルスの病原性は未だ明確に評価できていない。
 神経組織に障害を与える神経親和性のウイルスであるから、今後世界的に脅威となってくることは確実である。

 まだ昨年からブラジルで流行しだしたばかりであるから、今夏の五輪などを経過した後に、中南米諸国から米国、そして我が国を含め感染者がどのような症状を呈するのか、感染率はどの程度なのか、胎児->小児->若年成人->成人->高齢者という年齢層で生じるウイルスに起因する疾患に関して、経過を注視して、詳細な疫学調査を続ける必要がある。

 ウイルス感染も蚊媒介と性行為媒介による人人感染が中心とされているが、他に輸血、尿、唾液を通じてどれだけの感染が起きえるのか不明が点が多い。

 ジカウイルス感染症は、単にジカ熱だけを評価するのではなく、ウイルスの起こす疾患の多様性に目を向ける必要がある。
 ウイルスは変異しつつけている。今後のウイルスの病原性は、過去のウイルスのそれとは異なるとする作業仮説の元に疫学調査を行う必要がある。


ジカウイルスの引き起こす多様な疾患群
by Tonooka,2016/4/08 一部改変 2016/6/08
胎児期*1 小頭症( 脳、前頭葉破壊、脳神経破壊) 死亡、小頭症、聴覚・視覚障害、知的障害
新生児期以降*2  外見的に小頭症はなくても知的発達障害・精神発達障害が起きている可能性。  終生家庭・施設でのケアが必要。
小児・成人期 ジカ熱(ウイルスの全身感染による急性期症状)  感染者の2割で症状、症状は1週前後で消失、その後ウイルスはしばらく体内に残存して他疾患を引き起こす可能性。無症状者も同様。
小児・成人期 ギランバレー症候群(感染神経細胞への自己抗体産生による) 軽症治癒、身体部分麻痺、重症麻痺、死亡
小児・成人期 髄膜脳炎、脊髄炎、髄膜炎 重症な場合は死亡、中等軽症例は治癒
小児・成人期 様々な神経障害(中枢・末梢神経障害)等、報告例が増えてきている。 発達期の小児が感染した場合、ウイルスがどのような病原性を発露するか危惧される。
感染はヤブ蚊媒介による人人感染、STD(性行為感染症)による人人感染他
 
参照
Zika mystery deepens with evidence of nerve cell infections Reuters(国際) 他
 
 *1と*2は胎生期にジカウイルス感染を受けたための発達(および発育)障害であることから、これら様々な症状を呈している乳児を”ジカウイルス先天性症候群”としてまとめる傾向にある(WHO)。CIDRAP

 米国CDCジカページ
大陸合衆国内感染者数 4175人  11/09  (92人増加/1週間)
大陸合衆国内妊婦感染数  1057人 (25%)  11/03 (53人増加/1週間)
 

ジカ情報時系列
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2016/2/1~
更新2016/10/19